労働問題
民法の基本原則(信義則、権利濫用の禁止) 民法第一条 第一項 私権ハ公共ノ福祉ニ遵フ 第二項 権利ノ行使及ヒ義務ノ履行ハ信義ニ従ヒ誠実ニ之ヲ為スコトヲ要ス 第三項 権利ノ濫用ハ之ヲ許サス
出向・転籍・転属には本人の同意が必要 民法第六二五条 第一項 使用者ハ労務者ノ承諾アルニ非サレハ其権利ヲ第三者ニ譲渡スコトヲ得ス
本人の同意の無い、労働条件の不利益変更は禁止 労働基準法第二条 第一項 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。
不利益扱いの禁止 労働基準法第一〇四条 第一項 事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働 者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。 第二項 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしては ならない。
限度を超えれば違法 転籍や退職の勧奨行為は、限度を超えれば違法な権利侵害となり、損害賠償の支払い義務が生じる。 (1980年7月10日、最高裁判決)
解雇権の濫用は無効 使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当として是認するこ とができない場合には、権利の濫用として無効になる。 (1975年4月25日、最高裁判決)
整理解雇の四要件 「整理解雇の必要性」 人員整理をしなければ、どうしても企業が倒産する等、経営危機が差し迫っているか。 「解雇回避努力」 新規採用を止めるとか、希望退職を募る等、会社が経営上の努力をしたか。 「解雇手続きの適正」 労働組合や労働者に十分説明をして、労働者の納得を得る努力をしたか。 「人選の適正」 誰を解雇するかの基準がはっきりしていて、基準が適正で、基準の適用が正しくされているか。 以上、四つの要件を満たしていない場合、その整理解雇は無効。 (1979年10月29日、東京高裁判決)