5月15日(水)
松浦亜弥が戦後初の日本プロ野球の海外公式戦、台北でのダイエー・オリックス戦のセレモニーに参加した。彼女の役どころは試合前の"君が代独唱"と始球式のバッターである。さしもの"アイドルサイボーグ"も今回はかなり緊張していたらしい。君が代は音程があやふやで、始球式では台湾政府の要人が投げたボールをまさかの見送り、という結果だったとのこと。
それにしても・・・、ちょっと心中複雑なものがありますよね。いや確かにぼくは左翼だけど、ここで君が代自体に文句をつけようという気はないんです。でも、野球の試合と君が代ってどう考えてもミスマッチですよね。これが大相撲の表彰式前なんかだと、あの歌ってそれなりの説得力がある。厳粛なムードと、"日本の伝統"に対するバクゼンとした敬意みたいなものが館内に広がっていく感じで、まあ悪くないと思う。でもサッカーとか野球の試合前に歌手やタレントが君が代を独唱するっていうの、醜悪だと思うんだけどなあ。あの歌、ポップスの歌手が上手に歌えるような歌じゃないし。外国の真似なんだろうけど、あれはどうしても無理がありますよ。
まあそれはさておき、松浦亜弥は大きくなりましたね。デビューの時に一目で感じた「こりゃただ者じゃない」というぼくの印象は正しかったなあ、と改めて思います。そう言えば近田春夫が『考えるヒット5』の単行本の書き下ろし原稿の中で彼女のことを褒めちぎってますね。いや、褒めているというか、正当な評価を与えている、というか。ほぼぼくがこれまで言ってきたことと同じ内容です。たぶん「トロピカ〜ル 恋して〜る」の評を書いたときはまだ本人の歌っている姿を見ていなかったんだろうなあ。
5月5日(日)
更新サボりすぎ。まあ仕事が忙しくて平日家に帰るのが遅いというのも一つの理由なんだけど、とりたててこの日記に書かなくちゃいけないようなネタがないというのも大きな理由です。あとモデムの調子が悪くてftpをやろうとすると再起動が必要になるというのも問題。
苅谷剛彦「教育改革の幻想」(ちくま新書)。教育改革とか学力低下についてウンチクを垂れたかったら必ず読むべき本。
あと映画ではこの2ヶ月の間に「恋ごころ」、「ビューティフル・マインド」を見てるんだけど、感想は割愛。
市井紗耶香inCUBIC CROSS「人生がもう始まってる」。
どうでもいい曲。平凡な曲。引っかかりが何もない曲。いかにもキーボーディストが作ったという感じの曲。それに加えてヴォーカルにも何の特徴もない。いっそもっと音痴なら・・・というくらい。「可もなく不可もなく」というのは、不可よりももっと悪いのだ。シングルCDは1000円以上もするのであって、つまり牛丼が4杯喰える値段なんだということを、1年半のあいだ無為に遊んでいた市井にはちゃんと認識してもらいたい。
あと、この間から手塚治虫の「火の鳥」を読んでます。手塚治虫が神様だと知ってるから感動するのか、作品の力なのか、後からこの作品を読む人間にはもはや判別できないのが残念。というか初めて描かれた時点で手塚治虫はもう神様だったんだよな・・・。
4月21日(日)
山田詠美「ベッドタイムアイズ」。この人に芥川賞を渡さず直木賞を渡してしまった審査員たちは、本当に作家を見る目がないと思う。でもあれですね。黒人のペニスと日本人のペニスを比較するような文章を読むと、アホみたいにムカっ腹が立ちますね。腹が立ったあとで情けなくなりますね。やっぱりぼくの心の奥底にも卑小な男根主義みたいなのが眠ってるんですね。怖いですね。
吉田秋生「櫻の園」。ぼくの個人的な映画ランキング第1位、中原俊監督「櫻の園」の原作コミック。こうして原作を読んでみると、ぼくの解釈は中原監督とはちょっと違うかなあと思いました。映画のチヨ(白島靖代)と志水(中島ひろ子)の関係はかなり同性愛に近いように見えたんですが、コミックを読む限りでは全然そうじゃないように思える。
もう少し細かく言うと、クライマックスの「倉田さん、好きよ」という志水のセリフは、コミックにおいては「『好き』/男にも女にも/捧げられる/あいまいな言葉」というト書きの数ページあとに登場していて、そのため「好き」という言葉はどうにでも解釈できるものとして放置されている印象がある。だからこその感動である。ところが映画では、杉山(つみきみほ)の「レズとかそういうのじゃなくて」というセリフは生かされているし、確かに"同性愛"がはっきりと示されいるわけではないのだが、それ以上に、二人で椅子を移動させながら写真を撮るシーンのカメラワークのなまめかしさが、やはり同性愛を連想させてしまうわけである。この辺り、女と男による「女子高」を見る目の違いが出ているような気がする。
・・いや、だからって映画の価値が下がるわけでもなんでもないんですが。
4月16日(火)
小倉千加子「セックス神話解体新書」(ちくま文庫)。フェミニズム関連ではけっこう有名な本なので読んでみました。正直、すでにだいぶ古くなってるかなあ、というのもあるし、まあ講演録を下敷きにしてるせいだろうけど、啓蒙してやろう感が強く感じられてかえって反発心を覚えてしまう面もあるような感じ。全体として、生物学的決定論を打破しないといかん、というのがこの人の主張の主要部分なんだけど、たとえばその根拠が19世紀の野生児の記録だったりするのはやっぱり弱いと思うし・・・。
あと、「強制された性交は強姦だ」というのは話としては分かるんだけども、じゃあ、まったく、一切、「強制」のない性交っていうのはどういう形のものなのかが、読んでても伝わってこない。極端な話、男女どちらかがセックスの誘いをしたら、その時点で何らかの「強制」は生じるという気がするんだけど。で、その割に、「恋愛」については肯定的なんですね。「性は恋愛とともにあるときこそ、真実の性たりうる」なんてことを言ってる。ここがどうも分からない。恋愛だって強制じゃん、とか思ってしまうのは小谷野敦の読みすぎなんだろうか。
4月12日(金)
突然休暇をとることになったので、塩田明彦監督、宮崎あおい主演の映画「害虫」を見に行く。
正直、見終わってかなり鬱になる映画ですね。萌える以前に鬱。映画としては非常にいい出来だと思うんですけどね。特に宮崎あおいがクラスメイト役の蒼井優の家に・・・・というシーン。ああ、鬱。
ちょっとネタバレになっちゃいますが、映画のサチ子(宮崎)と夏子(蒼井)の関係は、山田詠美の「蝶々の纏足」を思わせます。ただしそれはセリフでも映像でもほとんど説明されず、いきなりラスト手前の衝撃的なシーンに行き着く。衝撃的、と言ってもそのあたりも説明が少ないんだけど・・・。何しろ説明の少ない映画です。で、足フェチで制服フェチで髪フェチでロリです。
宮崎あおいについては、ぼく的にはイマイチです。この映画の演技が、ということではなく(演技はパーフェクトだと思う)、なんかこう、彼女を見ていると、女性誌からの意味不明の悪意に満ちたバッシングを受けて表舞台から去っていった、あの裕木奈江を思い出してしまうんですね。ある種の痛々しさ、というか。好きな人にはそこがいいのかもしれませんが。
4月10日(水)
昨日は誕生日で31歳になったわけだが、特にこれと言って感想はない。30歳も31歳も特に変わらないもんなあ・・・。
ところで我が家のルーツは大阪にあるので、今年はプロ野球が大盛り上がりである。まあこれから9連敗するということも考えられるし、あまり今のうちから大騒ぎしても仕方ないかな・・・。前回のタイガース優勝のときぼくは中学3年生で、文化祭の準備の真っ最中だったのをよく覚えている。
4月7日(日)
「アンナ・カレーニナ」を読み終わりました。なんだかんだ言って3週間くらいかかってるな。でも本当、トルストイって、まさに「文豪」と呼ぶにふさわしい作家だなあと思いました。最近はずっと現代小説っぽいものばかり読んでたので、そういうものとは小説の書き方自体がぜんぜん違うことに最初は面食らいました。ものすごいリアリズムっていうか、登場人物の仕草だの服装だの、部屋の様子だの風景だの、何から何までぜーんぶ小説の中に書いてある。猟犬が考えてることまで書いてある。ものすごく大きな細密画って感じ。やっぱりロシア人は冬の間外に出られないからヒマなのかな。
トルストイはこの小説の中で、第二の主人公とも言えるレーヴィンという登場人物を通して自分の思想を語ってるんですが、トルストイの思想ってかなりの部分、現代にも通用するような気がしました。というか、たぶん30年前くらいにはいったん古くなっていた思想なんだろうと思うけど、ソ連の崩壊だとか過激な民族主義・原理主義の台頭だとか、そういうのを経た21世紀において、彼の思想は再び注目すべきものになっているんじゃないでしょうか。
4月1日(月)
今日から社会人9年目に突入。厭になっちゃうな。早すぎるよ。
週末はまたしても熱を出して寝込んでしまいました。明らかに寝不足が原因です。
全く関係ないですが2ちゃんねるのスレッドから。
ソープで童貞を卒業した人の体験談Part3
非常に気色悪いです。北方謙三先生の想定しているのとはかなり違う結果がもたらされているような気がする。「もてない男」研究のためのいい材料になりそう。