岐阜県人事委員会却下決定書の要旨

1、不利益性とは何か

「不利益な処分」とは法律上保護されるべき職員の権利・利益を侵害する処分と解するべきである。

2、本件処分により申立人に不利益性が生じたか

@申立人の転任によって昇任の機会が失われたとは考えられない。
A教員のセンターへの一時的な派遣と、教員への復帰は従来から行われてきたものである。
B処分によって給与上の不利益は認められない。
C通勤距離25キロは受忍限度範囲内である。
D転任処分は処分者自らの裁量で行われるものであり、理由の説明や本人の同意を要するものではない。
E「同一所属に長期間勤務する職員を対象」として行われた異動に、センター在職四年での転任処分が社会通念上妥当性を欠くとはいえない。
F文化財保護行政に関する問題は処分者およびセンターにおいて組織的に対応すべき事柄であって、個々の職員の利益・権利に直接影響を及ぼすものではない。
G「本件処分によって報告書作成の遅延・遺漏がもたらされ文化財が不十分な形で公開されることになり、県民の立場からすれば不利益を被る」との主張は、地方公務員の身分・地位にかかわるものではない。

3、総合的判断

 以上より本件処分は申立人の身分、給料等に不利益を生じさせるものではない。

4、労働組合問題等

 申立人に本件処分の取消しを求める法律上の利益を認めることができない以上、この点については判断するまでもない。

5、結論

 本件不服申立ては不適法として却下されるべきである。