第五回:青い空に郷愁の70年代

いささか唐突に亭主ことわたくしがホームページに音楽をちりばめることを思い立ったわけは、もちろんもともと音楽が大好きということが発端でありますが、MacのおまけでついてきたGarageBandにはまってしまったというのが最大の理由であります。

GarageBandは、レディメードのドラムパターンやギターのリフを適当にドラッグするだけで何となく一曲出来てしまうという、ハイパーカード以来の優れものではないかと思います。最新型ではポッドキャスト制作にも対応しているようです。ハイパーカードのようにいつのまにか消滅するのでなく、ぜひ末永くMacにバンドル(死語?)していただきたいものです。

ちなみにわたくしは、電子ピアノのMIDI→USB経由で内蔵音源を鳴らし、アナログの生音は¥1500でハードオフにうち捨てられていたジャンク品のミキサーを通してこれもUSB経由でMacに入力しています。

さて、今回のお題でありますが、実はすべてこのカラオケ一本のみでメロディーパートを変えるだけという方法で作ってしまいました。文字通りの同工異曲が多い一世風靡したコード進行です。キーがC(ハ長調)の場合、Dm7→G7→Cmaj7→Am7(繰り返し)で、世界的に有名なのはこの曲「カリフォルニアの青い空」です。しかし、ただ空が青いだけでなく、何とも温和な温暖な風を感じさせるコード進行ではありませんか。

ハ長調の曲は途中で転調しない限り、始まりのコードはCでおわりのコードもCであることが基本です。「青い空」コード進行の場合、CではなくDm7から始まっているのが特徴ですが、実は伴奏が始まる前に空白の1小節があることにお気づきでしょうか。
Seems it never rains in southern California〜のSeems itの部分です(あーわかりにくい説明)この空白の1小節にはAm7が入るとしっくり来ます。つまり青い空コード進行は空白の1小節を埋めると(Am7)→Dm7→G7→Cmaj7(繰り返し)であります。一種の循環コードですが、順番を替えてC→Am→Dm7→G7とするとポールアンカの「ダイアナ」で有名な60'sポップスの王道のコード進行になります。

さて、このコード進行を季節の移り変わりにたとえると「ダイアナ」進行が素直に春から始まって、春→夏→秋→冬と循環するのに対して「青い空」進行は春をとばして一足飛びに夏から始まる夏→秋→冬→春の様な季節の並べ方になります。

カリフォルニアの青い空の歌詞は、「チャンスをもとめてボーイング747に搭乗した・・」とはじまります。歌詞に出てくる主人公は、恐らく寒い都会の冬から一気に脱出したかったのでしょう、春を飛ばして一気に夏へと脱出するためにジェット機に乗ったのです。だからコード進行も夏から始まる必要があったのです。コード進行と歌詞の心憎いまでのマッチングがここにもありました。

そういえば日本でも同じころヒットした堺マチャアキが歌った筒美京平作曲のこの歌が「盗作ではないか」と言われたそうですが、実はわずかに筒美さんの方が早かった・・らしい。さらにさかのぼってマチャアキ氏もかつて在籍したザ・スパイダースのこの曲も同じコード進行で、さらにびっくりするのはユーミンのこの曲です。なんとサビまでまったくスパイダースと同じなので「あのとき君は若かった」のカラオケで「12月の雨」をまるまる1コーラス歌うことが出来ます。

ああ、時はまさに佐藤栄作総理大臣の時代、沖縄返還を思い出すこの歌(筒美さん作曲)もまさに「南からの温かい風」を感じさせます(出だしのアレンジがローズ・ガーデンに似てるとゆう説もありますが)。

あったかい、郷愁のコード進行のトリは何といってもこの曲でしょう。亭主は「迷信」や「アナザースター」みたいなノリノリのファンキーな、首を八の字に振り回したくなるような曲が好きですが・・・。

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