第一回:律儀で前向きなカノン姉妹

パッフェルベルのカノンと聞いてもピンとこなくてもこれ(注意:でかい音がします)をきいたら「ああ」と思うことでしょう。

原曲のキーはDですが便宜上C(ハ長調)に移調すると
C→G →Am→Em →F→C→F→G(繰り返し)
の循環コードで成り立っている曲です。ベース音はド・ソ・ラ・ミ・ファ・ド・ファ・ソとルート音を取る場合のほかにド・シ・ラ・ソ・ファ・ミ・ファ・ソと音階をなぞる変形もあります。厳密に同じでなくとも似たようなコード使いの名曲は数えきれず、たとえばビートルズのLet it Beの歌い出しはカノンの従姉妹かもしれません。

物の本によりますと、カノンが書かれたバロック時代は、チェロなどのベース音の楽器とチェンバロには和音の指定があるだけ、いわゆる「通奏低音」で各メンバーの好みで好きに弾いて良かったのだそうです。つまり「ベースとサイドギターはコード譜だけで、ヘッドアレンジ、ノリノリでよろしく」ということでしょうか?。循環コード+リフで盛り上がっていくところといい、パッフェルベルのカノンはロックそのものです。

しかし、この循環コード、聞けば聞くほどありがたい、崇高な宗教的法悦??を感じさせるためか、教会のイメージがどうしてもついてまわります(山下達郎の「クリスマスイブ」なんかサビにもろに出てくるし・・)。

教会イメージのせいか、カノンのコード進行でできた曲は、どう料理してもお下劣にはならないようです。少し古めのチューリップのこの曲なんか天国に逝ってしまいそうですね。

多くの場合60-80bpmくらいのスローバラードで使われることの多いカノンのコード進行ですが、アップテンポも多々ある中で、ミッシェル・ポルナレフの「シェリーに口づけ」なんか大好きです。そういえば「村人たち」やペットショップの少年たちが唄ってヒットし、巨人軍の清水選手の応援歌でも有名なこの曲もカノン姉妹に間違いありません。

アップテンポのカノン進行の曲は、根っからの折り目正しさに加えて、力強さやみなぎる勇気も加わってエネルギッシュな曲調に変わります。そういえば「し〜んぱ〜いないからね・・・・か〜な〜ら〜ず〜、最後に愛は勝つぅ〜」というベタな歌詞の唄もカノン姉妹の一人でありました。

育ちの良いミッション系出身のかほりを漂わせながら、前向きで純粋に人を勇気づけるカノン姉妹です。

聖なんたら医科大学の校歌にこそカノン姉妹を使うべきだったと思いました。

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