第七回:ドリアンモードの妖しいかほり

(はじめに)ワタクシハ、モードさっぱりわかりましぇん。ので、とんちんかんな事が書いてあるとおもいます、苦情はメールでおねがいします・・。

JET STREAM

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遠い地平線が消えて
深々とした夜の闇に心を休める時
はるか雲海の上を音もなく流れ去る気流は
限りない宇宙の営みを告げています・・・・・・

11時55分のFM東京ニュースが終わって時報が鳴ると・・別世界でした。
ユーミンの「ジャコピニ彗星の日」という曲は「夜のFMからニュースを流しながら・・部屋の明かり消して窓辺にいすをはこぶ・・」と始まりますが、この歌詞に出てくるニュースは11時55分のFM東京ニュースに違いありません(と妄想します)。そして午前0時ちょうどに始まるのがJET STREAM。中学のころ、一息ついて聴きながら眠ってしまうのに最適でした。

番組内ででよくかかってたポールモーリアはいまや手品ソングもしくは安売りスーパーのBGM(にも使われなくなった)くらい陳腐ですが、1970年代、JET STREAMで聴くイージーリスニングミュージックは結構好きでした。高校に上がってからは、ハードロックごっこにあけくれて、イージーリスニングなんてハナからばかにしてました。が、一日の終わりはやはりJET STREAMでした。

そんな頃、「知ってっか?ジェフ・ベックのソロはモード奏法なんだじぇい」と自慢する早奏きギター野郎がいました。「モ、モ〜ドソウフォウ??」負けてはならじと攻略本を買ってきたものの、こともあろうに高尚で難解なJAZZの本しか楽器屋になくて、エオリアンだのミクソリディアンだの名前だけでくらくらし、結局モードのなんたるかなど、ワタクシ全然理解できないまま今日に至ってます。そんな、わからんちんな「モード」でありましたが、ただ一つ気になったのは「ドリアンモード」と言うやつでした。

たとえばAのドリアンモードは、ラ、シ、ド、レ、ミ、ファ#、ソ、ラという音階で、特にファの#がなんとも不思議に妖しい輝きのある音階だなあ・・んで、この音階かき鳴らしてみると・・・あれ、これって・・・あれじゃん、ポールモーリアのLove is Blue(恋はみずいろ)のイントロじゃん「これって・・モード?」。

(楽譜にすると、超超超こんな感じ)


邦画「スウィングガールズ」で横断歩道の音楽に立ち止まって「これって・・ジャズ??」と気がつくシーンがありますが、ちょうどあんな感じの「気づき」でした。

では、ここでいっしゅん、てえしゅとガレージおケツ虎の演奏をお楽しみください。

コードは
Am→D7→G→C→Am→F→G7→C
Am→D7→G→C→Am→F→E7→Amです。

このわずか8小節のなかでキーはめまぐるしく替わり、メジャーになったりマイナーになったりするのに、なんの異和感も境界もありません。しかし「ドリアンモード」の曲と考えれば、当然コードよりモードが優先されてもいいわけで、キーだの転調だのは、無用のヘリクツかもしれません。

もう一度Aドリアンモードの音階をよく見てみると、これはGメジャー(ト長調)もしくはEマイナー(ホ短調の自然短音階)の音階をそのままで、Aから始めただけとゆうことにきがつきます。ようするにAドリアンモードとは、AマイナーだけどGメジャー(またはEマイナー)みたいな、キメラな音階なのです。音楽では、ベタ=ダサい、キメラ=カッチョいい、という法則がほとんどの場合あてはまります。どうもこのあたりに「モード」のひみつがありそうです。なお、Love is Blue後半の「こぉーいぃーわぁ〜、みぃずぅいぃろぉー」というところでは普通の(ベタな)Aメジャーのスケールになって雰囲気ががらっと(つまんなく・ふつうに)変わります。

「モード」は「チャーチ・モード」ともいわれ、中世の教会音楽に基づいたもんだとか・・ワタクシのへっぽこな耳ではマイルスデイビスやコルトレーンの演奏する「モードジャズ」と教会音楽は、どうしても結びつきません。が、Love is Blueのメロディーを聴くと、何となくヨロイをまとった中世の騎士とかヨーロッパの古城が思い浮かびませんか。教会といわれればそんな気もいたします、Love is Blueは、いわばわかりやすいモード音楽でしょうか。

では、ここで今一度、ガレージキャッツの演奏をお楽しみください(スウィングしてないけど、ごめんよ)。

Love is Blueに、よくにているこの曲「GreenSleeves」は16世紀のイングランドとスコットランドの国境付近で生まれた民謡、いわば音楽のシーラカンスで、日本では織田信長の頃、西洋音楽の父バッハの遙か前、つまり「和声:コード」なんて概念が出来る前からあったわけです。そして、この曲こそまさに「ドリアンモード」で書かれているのです。そんな骨董品が今も歌い継がれているのはものすごいことです。
そういえば「スウィングガールズ」がアフタービートに気づいた横断歩道の音楽「故郷の空」も英国の民謡でした。イングランド人すごい!、偉いぞスコットランド人。

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