第二回:イースターの朝はホテルでコーヒー

ひとまず、このコード進行を聴いてください。

マイナーな曲調のなかに凛とした透明感、どこかしらヨーロッパぽい歴史と風格を思わせるコード進行です。

原曲はCマイナーですがAマイナーに移調すると

Am→E→G→D→F→C→B7→E7という進行です。変形としては

Am→E(bassG#)→G→D(bassF#)→F→C(bassE)→B7(bassD#)→E7があります。この場合、ベース音はA→G#→G→F#→F→E→D#までキレイに半音ずつ下がっていく形になります。

まだ肌寒い3-4月はじめの小雨の日曜日の朝、ベッド(フトンではない)のなかでまどろみながら聞きたい曲調ですが、なんとなくおとなっぽい、苦いブラックコーヒーが飲みたくなります。

当時(1970年代初頭?)「違いのわかる」人のためのコーヒーというCMがあり、小学生くらいのころよくみてた記憶をたどってみたのでチョットうろ覚えですがこんな曲が流れていました。

あ゛〜!これ同じじゃん。

冒頭に示したコード進行が12/8っぽいシャッフルリズムなのだったのを、早くして、バロックっぽく変奏しただけじゃん。なるほどなんとなく「大人っぽい」コードと感じていたのは「違いの解るコーヒー」CMのサブリミナル効果だったのかもしれません。

霧深い古都とか、くすんだ景色が似合うコード進行ですが、意外なことに亜米利加の国鳥の名を冠したロックグループの1976年最大のヒット曲はなぜかヨーロッパ風のこのコード兄弟ですね。そのせいか、歌詞が解らなくてもピッカピカの近代的なホテルではなさそう・・という察しはつきます。

Last thing I remember, I was Running for the door
I had to find the passage back To the place I was before
'Relax,' said the night man,
We are programmed to receive.
You can checkout any time you like,
but you can never leave!

気がつくと僕は出口を求めて走りまわっていた
もとの場所に戻る通路をなんとかして見つけなければ・・・
すると 夜警がいった
「落ち着いて自分の運命を受け入れるのです
チェック・アウトは自由ですがここを立ち去ることは永久にできません」

・・・それにつけても謎めいた歌詞だ

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