第六回:木もれ日と夜風の季節

風薫る五月、何をするにも良い季節ですが、日中の日差しは案外容赦なく、昼寝するには緑陰が必要な季節であります。まずはこの曲を聴いてください。

「6オクターブの声域」がキャッチコピーのMinnie Ripertonの1975年のデビューヒットで、シングルカットバージョンには南国を思わせる小鳥のさえずりがSEで使われていました。高校生の頃、リアルタイムで聴いてから、30cmLPのアルバムを買いまくった、大いいいぃぃ好きなシンガーでしたが乳ガンのため、1979年31歳の若さで惜しまれつつ亡くなりました。本当はオリジナルを紹介したいのですがそういうわけにもいかず、雰囲気だけは似せてみたつもりです。

原曲はキーがAですが、C(ハ長調)に移調すると
Fmaj7→Em7→Dm7→Cmaj7という繰り返しです(Dm7の次にG7が来る変形もあります)。山なし・落ちなしな、やおいコード進行ですが、そよ風に吹かれながら木もれ日の下で昼寝・・のイメージがあります。

このコード進行も至ってスタンダードなので、探せばいくらでもあるのですが、このミッシェル・ポルナレフの初期のヒット曲のサビの場合は、ロッカバラード風の12/8拍子のせいか昼寝と言うよりは、夜、それもなぜか雨上がりの温かい春の宵が感じられます。

そういえば「ラストワルツ」という曲もこのコードだったな・・・と思い検索していたのですが、THE BANDのばかり出てきて、どうも雰囲気が違うと思ったら・・じつは同名異曲でえんげるべるとふんぱーでぃんくというけったいな名前の外人さんの歌った曲でした。やっぱりこれも春の宵だなあ・・

五月の日中は太陽が高く、真上から照明されるので、新緑のまぶしさは時として金属のような光沢に見えます。そんな一瞬の景色をストップモーションでとらえた名曲をお聴きください(この歌うたってたひと、どこへ行ったのだろう?)。

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