早期診断が大切な子供のリウマチ
適切な治療で軽快する子も多い

 慢性関節リウマチは成人だけの病気ではない。小児がかかる場合を「若年性関節リウマチ」と呼ぶ。4、5歳で発症することが多いそうだが、大人と、どこが違うのだろうか。東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターで小児のリウマチを担当している藤川敏医師に話を聞いた。
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【病型】アメリカリウマチ学会の基準では、「16歳以下で6週間以上持続する関節炎」を若年性関節リウマチとしています。日本でもこの基準が用いられ、次の三つの病型に分けられています。
▽全身型=40〜41度の高熱や発疹が数日から数週間にわたって続き、リンパ節の腫れや肝肥大、心膜炎などを伴う。初期には関節炎を起こさない例もある。
▽多関節型=症状は成人の慢性関節リウマチと似ている。朝のこわばりや関節の痛み、腫れなどが、最初は、とくに手・指関節などに見られることが多い。
▽少関節型=小児特有の型で、四ヵ所以下の関節だけに限定して発症する。膝や足首に症状が出ることが多い。虹彩炎を起こすことも。
【検査・治療法】成人と違い、関節以外の症状に注意しながら診察を進めます。血液検査やレントゲン検査をし、別の病気の可能性を除外していきます。とくに全身型では、感染症や白血病などとの鑑別が必要です。
 治療は病型や進行具合によって少しずつ異なります。成人では多くの薬が使用できますが、子供への使用は認められていないのが現状です。基本的にはアスピリンなどの非ステロイド抗炎症薬を中心に、抗リウマチ薬、免疫抑制薬、ステロイド剤などを組み合わせていきます。これで軽快する子がたくさんいます。しかし、関節に障害を残してしまう例もありますので、早期の診断・治療が大切です。
 いまのところ若年性関節リウマチなどを専門にしている医師が少ないのも問題です。早期から適切な治療を受けられないでいる小児も少なくありません。どのような治療が最適かを考え、その子の環境を見直し、心のケアを含めたトータル的なアドバイスが望まれています。
【互助団体】患児の親同士が情報交換をしている「あすなろ会」という互助団体があります。1985年に杏林大学医学部小児科の渡辺言夫(のぶお)教授(現在は名誉教授)らの呼びかけでスタートした会で、専門家も協力して勉強会やサマーキャンプなどを開いています。
 インターネット上にページも開設しています。気軽に利用してみてください。

'99.7.2週刊朝日より転載(一部改変)

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