〜ニューセンチュリー・バイオテック・コーポレーション〜
バイオ研究所から出発した企業複合体。
バイオテクノロジーの力でこの新世紀を――安直ではあるが創設者新道宗一郎の願いの込められたこの社名と想いは、彼が世を去った現在でも受け継がれている。
ニューセンチュリー・バイオテック・コーポレーションは突出したバイオ技術全般から始まった総合企業だ。企業としての総合的な規模と力は列強各社に一歩譲る中堅企業だが、多角化した業務で安定した経営を続けている。
バイオ関係技術の例としては、かつて現在の地球では滅んだ種の動物をデモンストレーションを兼ねてDNAから再生させるのに成功した時は話題になった。動物の頭脳に似せたバイオニックトロンの研究結果は、現在では本物そっくりのペットロイドの頭脳中枢に活かされている。
また、発光苔のメカニズムを利用したバイオ苔を中枢に応用したホログラフ基盤技術は革新的で、N◎VA中央区のアミューズメントパーク“twiLite”南部にある巨大ホロスクリーン【ムーンヴェイル】には同社の技術が全面的に使用されている。
世界の支社に比べると、港湾都市アデレードにあるオーストラリアの本社は非公開の部分が多い。最近は世界各地の遺跡調査や研究団体への出資に力を入れているともいう。これは前から密かに囁かれていたミステリアスな噂――“彼らは災厄前のアーティファクトを集めている”――を信じる一部のロマンチストたちを、一層確信させることとなった。
バイオ関係以外の多角経営の一環として情報サービス全般も始まり、、各方面の最新動向や技術系各社へのインタビューなどが、専門の子会社であるプラグドNC・ドットコム社のウェブエリアで公開されている。出来のいい番組はマリオネットや他メディア企業が買い取ることもあり、そうした業務には広報部が活躍している。
創設者が人生の大半を送ったオーストラリアで小さな研究所からスタートしたこの会社は総合企業として成長し、拡散を続け、本拠地よりむしろ世界各地の支社に重きを置いた企業となった。この間、キャンディス・フーズ・コーポレーションでは有名なウィンダム機関の流出危機からテンプルトン・ライフシステムズ社が分離し、オセアニアにおける生命科学そのものにおいてはCFC、テンプルトンの二強に先んじられる結果となった。
また日系人だった創設者存命の頃は比較的親日派のスタンスを取っていたが、彼の後を継いだ現在のCEOはその姿勢を改め、オーストラリア資本の他非日系企業とも協調路線を敷いている。
よく言えば中立な、悪く言えば日和見的な進路は結果にも現れた。オーストラリアの首都区特別行政地域キャンベラAXYZは地上世界は日系企業、首都ヴァラスキャルヴに通ずる軌道事業においては非日系資本が支配している。NCB社はAXYZでも事業を展開はしているものの、ルテチアやGCI、リサ・グループ程には、天空を見据えたアクシズ・プランに食い込むことができなかったのだ。
この経験からの反省を踏まえ、北米連合における事業展開は速やかに成功を収めた。ヨコハマLU$TにてLIMNETヨコハマ社らが試験的に事業導入したニュース配信事業には子会社のプラグドNC・ドットコム社が早期から参入。その後、LIMNETのトータルマルチメディア事業に同社はいち早く提携を発表。その成功を元に北米の情報メディア市場に大きく食い込み、NCBノースアメリカはそれなりの勢力として認知され始めた。
これも同社の多角経営を象徴するものといえよう。そのため、現在ではバイオテックよりも、むしろそれ以外のイメージを連想されることも多い。
バイオニックトロン研究部 ヒューマナイズ計画班主任 N◎VA支社 広報部2課対外取材班主任 N◎VA支社 総務部渉外4課業務推進班 NCB North Amerika 統合情報部部長 |
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