Prologue::

Rozenbaum

プロローグ::ローゼンバウム

 歓喜と災厄の街、トーキョーN◎VA。今日もまた、この街を舞台に物語が始まろうとしている。以下に述べられるのは、 ト ロ ン (コンピュータ)系の巨大企業レ・トロン・ド・ルテチアの内部抗争に巻き込まれたある一団の顛末である。

 今より4年前。ルテチアのヴィレ・ヌーヴ本社の重 役(エグゼク)のトップ、ギュンター・ローゼンバウムは巨費を投じ、旧北極海で社の海上部隊を用いて大捜索を行った。結局収穫は何も得られず、ギュンターは責任をとって一族当主の座を甥のアレクサンダーに譲る。世界有数の名家が取ったこの行動は大きな波紋と数々の憶測を産んだ‥‥。
 後に偶然、ピーター&マイア社という小さなトロン企業がギュンターの捜していた物を発見する。それは人間を超えた完全なる人工知能プログラム【ユグドラシル】だったのだ。
 同社のトロン技術者ステファン・バインは発見された謎のトロンの研究を進めるうちにその事実に気付き、敵に奪われぬよう、プログラムを二つに分割するとアタッシュケースの中に保管した。片方は、彼の恋人メアリー・エランに預けられる。その彼が、ルテチアのトーキョーN◎VA支社にヘッドハンティングされる時がやってきた‥‥。

 フリーの走り屋(カゼ)D . E .(ディー・イー)と他の人間たちは、恋人を追い掛けてヴィレ・ヌーヴから来日したそのメアリー・エランの護衛を頼まれる。彼女の持つアタッシュケースを狙う正体不明の様々な敵を撃退し、結局、ケースの中身は守り通して無事ステファンの手に渡った。 一方、ルテチアN◎VA支社のエグゼク 七尾 雅 (ななお・みやび)は、ピーター&マイアからルテチアに引き抜いたステファン・バインを房総南国際空港からルテチアのアーコロジーまで護衛する仕事を、ノヴァ・インヴェスティゲーターズ・カウンシル(N.I.K.)(N◎VA探偵協会)のサイファ・ヴァンデルン、そして中国拳法使いの 明月寺 霞 (みょうげつじ・かすみ)らに依頼する。
 また、ルテチア第二特別企画部部長の夢野 風人(ゆめの・かぜと)、その部下のエリーには、ステファンの持つアタッシュケースを狙う一団の拠点を壊滅せよとの指令も下した。
 彼らの前には襲撃者の他に異なる敵が現れ、アタッシュケースは奪われてしまった。ステファンは無事に送り届けたものの、依頼人の七尾雅が何者かに暗殺されてしまった。

 七尾は影武者(カゲムシャ)を使い何とか生き延びていた。この件に関わった者全員の身にも危険が迫っていると説いた彼女は、護衛に携わった一団を隠れ家に招く。
 エリーに掛かった七尾殺しの容疑を晴らすため、夢野風人らは上司の力を借りて彼女の隠れ家に向かう。
 だが、そこには敵の罠が待ち受けていた。仕掛けられていた爆薬で、彼らは危うく死にそうになる。

 一行を救ったのは、ドリュアディスと名乗る超常能力を持つ少女だった。彼女の話で、一行は罠を仕掛けたルテチアの上司の正体を知る。 王 龍 (ウォンロン)――ファヴニール。ルテチアのトップクラスのエグゼクであった彼も、アレクサンダー・ローゼンバウムに忠誠を誓う敵の一派だったのだ。
 それを聞いた“幻龍”こと明月寺霞が驚きの声を上げる。王龍こそ、彼の習得した華山龍星拳の師匠“白龍”の、そのまた師匠だった“黒龍”を殺した男だったのだ。
 王龍がこのN◎VAにやってくることを掴んだ一行は国際空港に忍び込み、死闘の末に王龍を倒す。だが死体は何者かの手により転移され、消えてしまった‥‥。

 かくて舞台に役者たちは揃った。運命の輪が回りだし、物語は再び幕を開ける‥‥。

 
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