かすみ》‥‥ここでいいか。誰か喋ってくれ。

サイファ》もう入っとるんですか? 「わ〜い」

RL》ではカードで出てくる順番を決めます。サイファが最初で‥‥最後がD.E.。

D.E.》イェーイ。

サイファ》何がイェーイなんだか(笑)。

D.E.》だから真打ちは最後なんだよ。

かすみ》ひひひ〜。

RL》現在は12月ということにしましょう。えー、前回のアクトの最後で、あなた方は外からやってきたとはいえ正真正銘のルテチアのエグゼクを地獄送りにしましたね。幸い神業でも使ったのか犯人として追い掛けられることはありませんでしたが。なぜかというと‥‥命を狙われて散々な目にあったからですね。

サイファ》(思い出す)そうだ。口座まで狙われてひどい目にあったんだ!

◆“災厄”以前の現実世界の皆さん、お元気ですか?
 このコーナーではわたくし、NCB広報部所属の静元涼子が、“トーキョーN◎VA The 2nd Edition”リプレイ・アクト『よみがえる薔薇』(リヴァイヴァル・ローゼズ)の実況中継をしていきます。これからもルールや用語なんかの解説をこんな調子で時々していくので、よろしくね!
 さてさて、アスキーから第2版としてようやく復活したこの『トーキョーN◎VA』。このゲームの核の一つには、 “劇的かつ映画的” (ドラマティック&シネマティック)があるの。映画や小説のような、ワクワクするような活躍を体験できるようなRPGを目指してる訳ね。
 それは用語にも現れてるわ。このゲームではPCを『キャスト』、主要なNPCを『ゲスト』、全てを支配するGMを『ルーラー』と呼ぶの。ちなみにいわゆる雑魚クラスの弱いNPCは『トループ』、話にほとんど関係しない脇役は『エキストラ』。
 また、一つのシナリオを行う1セッションは、オペラや劇の一幕になぞらえて『アクト』と呼ぶわ。さらに一つのアクトの中は“場”になぞらえて幾つかの『シーン』に分かれてる。各シーンでは付属のタロットカードの大アルカナを一枚表にして、そのカードのキーワードがそのシーンを支配する(かもしれない)、というわけ。なかなかミステリアスで面白そうでしょ?

 

Chapter.1::

THE MAN WIZ THE GOLDEN GUN

第1章::ザ・マン・ウィズ・ザ・ゴールデン・ガン

シーン・カード》 “星” (ザ・スター)“拝乱駄”(ハイランダー)
象徴》“希望”

 わいはサイファ。サイファ・ヴァンデルンや。この辺じゃ銃の腕前はちったあ知れてるんやで。きっかりキャッシュさえ貰えば、“フレイムランナー”の腕がどれくらいかすぐにも見せてやるさかい、安心しな。
 なに、ヴィレ・ヌーヴのヨーロッパ人のくせに大阪弁と共通語が混ざったような妙な言葉遣いするな、やと?
 ちゃうねん、しょうがないんや。オーサカM○●Nでコヘイ・ヤマダと暴れ回ってた頃にうつってしもうたんや。堪忍したってえな、な?

 《リトル・キャット》は精度の高い銃を求むプロでいつも賑わっているが、彼ほどまめに通う若者も珍しかった――というより、暇になると彼は新しい銃を買うわけでもないのにこの店でうろうろしているのだ。
「♪キグナスセダンに乗って〜
 カーチェイスに出かけたら〜
 スートないのに気づいて〜 そのままクラッシュ〜」
 メアリ・ランズベリは再びため息をついた。
「シヴァ、だからその変な歌はやめてくれない?」
 赤い髪のサイファは笑った。それほど背の高くない彼は彼女と目の高さがそれほど違わない。その目許は埋込式のミラーシェイドに覆われて分からなかったが。
「そうかいな〜。この前のにちょっとアレンジ付けてみたんやけど、やっぱり駄目か。おねーさんにはこの歌の良さがわからんかなぁ」
「‥‥‥‥シヴァ、この前も言ったけど、仕事の邪魔なの。AP弾も買わないし、手伝うつもりもないなら、他のお客さんの邪魔だから、いい加減帰ってちょうだい」
「相変わらず冷たいなー。そんなに可愛いんやから、もっと優しかったら言うことないんやけどなー」
 サイファは向こうにあるチューンナップされた“AS17”CAWSを眺めながらぼそぼそと呟いた。
 その時、メアリの耳に軽快な電子音が入ってきた。聞き慣れた音。携帯用のポケットロンの音だ。自分の店のものではない。
「何をぶつぶつ言ってんの。ほらシヴァ、あんたのポケットロン鳴ってるわよ。仕事じゃないの?」
「あ、ほんまや」
 言われてサイファは気がついた。フェイト・コートからポケットロンを取り出すと開く。2Dディスプレイの中で、アニメーションのアヒルがグワグワとわめき、家のDAKに連絡が入ったことを告げた。


  RL》(一応)かくて運命の扉は開かれた。という事で始めさせていただきます。まずサイファ。君だ。

サイファ》なんや〜?

RL》あなたは《リトル・キャット》にいるんですね。ポケットロンが「家の方にメールが入ってるよグアグア」と告げてきます。

サイファ》じゃあポケットロンの方にデータを移してくれと言う。

RL》差出人は『ドリュアディス』とだけ書いてありますね。思い出したければ<知覚:追憶>で8。

風人》ドリュアディスさんは味方‥‥じゃなかったっけ?

RL》その場にいない人は口を出さないように。

D.E.》ツッコミは入れていいんだぞ。

サイファ》(カードを出す)失敗です〜。誰やそれって感じ。

◆このゲームの一般技能は1〜4レベルまであって、レベル毎にどのスートに対応するのか決めておくの。技能を使うときは対応するカードを出して、その数(JQKは10、Aは11)に能力値(例えばスペードのカードを出したなら、理性の能力値)を足して達成値を出します。
 エースなら決定的成功(クリティカル)だから最低でも21ね。手元の四枚にいいカードがなかったら山札から引いてもいいし、わざと失敗していらないカードを捨ててもOK。但し山から引いた絵札は致命的失敗(ファンブル)
 ダイスを使うフツーのRPGと違って、こんな風にN◎VAではある程度まで運命に介入することができるの。いらない所でわざと失敗しておいて、ここぞという所までカードを取っておいたりね。ちなみに能力値はスペードが理性(リーズン)、クラブが感情(パッション)、ハートが生命(ライフ)、ダイヤが 外界 (マンデイン)。なかなか変わった決め方でしょ?

RL》場所は《VIVAはらいそ》のプラネタリウム。時間は午前零時。当然普通入れる時間ではありません。メールは重要な用件があるとしか言っていません。

サイファ》真夜中の遊園地やなー。

RL》あなたは今リトルキャットのカウンターのとこにいるんですね。(マイクに向かって)《リトル・キャット》は銃砲店です。オーナーのメアリはガンスミスね。

D.E.》その割にタタラじゃないんだよな。

RL》彼女はタタラ、カブトワリ=カブトワリですよ。

D.E.》???? カブトじゃなかったっけ?

サイファ》ああ思い出した。カブトだったんだけどそこがタタラに変わったんだ。

RL》転職みたいのはルールには書いてませんけど当然有りうると私は思いますよ。でも変わるだけで前の特殊技能とかを持ってこれる訳じゃありませんが。だってクグツだって出世すればエグゼクになるじゃないですか。
(注:スタイル変更のルールは現在、『カムイST☆R』で見ることができます)

D.E.》地べたをはいずり回ってる人だって上に行く権利を貰えればハイランダーになるかもしれないぞ。

RL》キャストの場合も理由があればそれは認めます。が、有りうるのはあなた(風人)が左遷されてエグゼク(ぶちょう)からクグツ(ヒラ)に落とされるぐらいですね。

風人》でしょうねー、あーっはっは(空笑い)。

◆このゲームにおける『スタイル』は“職業”を超えて、各キャストのカードによる象徴や生き方にまで踏み込んでます。
 スタイルはタロットに対応して22種類、マイナスタロットの分を入れて計25種類。キャストはそれから3つ選んでゲームを始めるんだけど、同じスタイルを複数選ぶのも可(その場合は取れる特殊技能の数が増え、そのスタイルとしては強くなる)。25枚から3つだから組合せはほぼ無限大、PCの個性化という点ではこのゲームは非常に成功しているわ。
 スタイルが違えば能力値と最初の持ち物、さらにそのスタイルしか持てない12個の特殊技能が違ってきて、いろいろと考えられるわけ。各スタイルが表す人物像は一つではなく、説明がつけば自由に想像をふくらませていいの。
 例えば大アルカナ11番目の “欲望 / 力” (ラスト/ストレングス)のカード、“カタナ”は接近戦闘の専門家で戦闘用の特殊技能が並んでいるけど、カタナのキャストは全身にサイバーウェアを埋め込んだサイバネティクス戦士かも知れないし、日本刀を携えた正当なる剣術の継承者かも知れないし、傭兵で戦闘のプロなのかもしれない、というわけ。
 スタイルで(ペルソナ)を付けたものが表向きの顔、(キー)を付けたものは本質、どちらでもないスタイルはシャドウとなるわ。

 例えば、“探偵で、SMGを自在に操る小火器戦闘のプロ”のサイファくんのスタイルは、“フェイト◎(修正のカード),カブトワリ(塔)=カブトワリ●”。
 “ルテチアの企画部部長だけど、風を操る元力使いで、実は軌道コロニー生まれ”のユメノ君は“エグゼク◎(運命の輪),バサラ(魔術師),ハイランダー●(星)”。
 “企画部の工作員で、単分子鞭を操る戦闘のプロ、実は四菱グループの尖兵である黒幕”のエリーさんは“クグツ◎(吊られた男),カタナ(欲望),クロマク●(隠者)”。
 そして、“貧乏な刀鍛冶だけど、実は中国の秘拳『華山龍星拳』の後継者”のカッちゃんは“タタラ◎(女司祭),チャクラ(技巧)=チャクラ●”。
“バリバリの走り屋で、銃器の扱いにも長けている”D.E.は“カゼ◎(戦車)=カゼ,カブトワリ●(塔)”となるわけ。
 サイバーパンクな未来世界とタロットの神秘的イメージの融合‥‥なかなかお洒落な雰囲気よね。

 ちなみに“ニューセンチュリー・バイオテックの社員で、広報部所属で報道や編集、情報関係に強く、課の面々を束ねてみんなの支えになってる(みたい)”なわたしのスタイルは“クグツ◎(吊られた男),トーキー(太陽),ミストレス●(女帝)”。
 ‥‥う〜ん、さすがは山札から引いて決めただけあってけっこうよく解らない組合せねー(笑)。

サイファ》メールは見たから、あとはこの店が閉まるまでブラブラしとく〜。

RL》「あなたの相手をしてても一文の得にもならないのに‥‥」とかブチブチ言ってます。

サイファ》あ、そうや。今夜仕事があるんやけど、AS17(チハヤ製の近接突撃兵器システム。フルオート射撃可能の強力な12mmブルパップショットガン)貸してくれへん?

RL》「私が? あなたに? フッフッフ、貸してあげるわ」といって銃を持ってきます。

サイファ》なんかイヤな予感‥‥。

RL》いや、安心して下さい。外見は普通のAS17です。ただ彼女なりの違法改造が施されてるだけで‥‥。

D.E.》ショットガンだろ? ゲージ変えるとか?

風人》チョークいじるとか?

サイファ》「まあねーちゃんの腕は信用してるから‥‥」と言って素直に借ります。借り代は?

RL》タダです。「でも腕が吹っ飛んでも何が起こっても治療費払わないわよ」とか言ってますが。

サイファ》まあねーちゃんだから大丈夫やろう。と言って世間話を始める。「そーいやこの頃ねー‥‥(笑)」

RL》始められました。世間話モードに入ると問答無用で舞台裏行きです。

 
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