Night's Prelude

Running#3 "Night's Spawn"

〜 ランニング#3 夜の落し子 〜

 11月を迎え、灰色の空に覆われた東京スプロール。今日もまた、大都会の影に生きる者たちの物語が始まる‥‥。

 新円やカルマのたまった一行は能力値を強化。桐原はチバのストリート・ドクの元で最新型のサイバーを埋め込んだ。ダメージ(STR+2)Lの改良型(インプルーヴド)ハンド・レイザー。サイバーアイのオプションに、大光量補正(フレア・コンペンセイション)網膜時計(レティナル・クロック)視野拡大(ヴィジョン・マグニフィケーション)のエレクトリック1。

Street Samurai Catalog
Fields of Fire

 十六夜はお洒落なセキュアテック・クローシングから、日本のデザイナーブランドの巫女風のアーマー・ジャケットを購入。
 ヴィッキーはプロの傭兵達が好む基本ダメージMクーガー・ファインブレードナイフを入手、ついでに最新技術が産んだDikoteTMの合成ダイヤモンドでコーティング、ダメージなんと6S! ちなみにお値段は24500\!(←ヴィッキー、セラーなら24年半も暮らせるぞ)

Night's Prelude

 謎のテスカトリポカ計画、至天計画(プロジェクト・アセンション)の情報を集めるべく、コンタクト等を頼って一行は行動を開始した。

 テスカトリポカはアステカの運命(フェイト)告白(コンフェッション)、春と復活(リニューアル)学習(ラーニング)の神。アズトランにはケツァルコアトル大神殿とアズテクノロジー総本社の次に大きなピラミッドがあるとか。

 フチ・ニホンの企業秘書、出羽弥生(でわ・やよい)の話では2つの計画は別々だという。そしてフチ・インターナル・セキュリティのチームが最近、東京で何者かに全滅させられたとも。
 レンラクのミスター・ヤマダの話では、アレス・マクロテクノロジーの有力部門、アレス・アームズの工作員が斬り殺されたらしい。アズテクが52〜53年頃に激しく動いていたという話もあった。

Aztlan

 そのうち、十六夜にフラグが立って目黒氷川(ひかわ)神社の野分巌(のわき・いわお)から、仕事の依頼が入ってくる。
 上野のシャーマン達から、足立区の非居住地域を調べてきて欲しいという話だ。生活レベル分の新円を支払ってしまい現在は貧乏な一行は、早速引き受けた。
 ギグ前のヴィッキーは「もうリハーサルはやらなくて大丈夫よ」と〈シェイQダウン〉をすっぽかした!

Night's Prelude

 覚醒後の原生林が広がる上野。場違いな一行は好奇の視線を受ける。バーンナウトの道を歩む神薙には冷たい視線もばっちり飛んできた!
 湖畔の木の下には、静かに瞑想するローブ姿の白髪の老婆が。

「姿は見えています。いらっしゃい。これはこれは、日本の神のトーテムとは珍しい」
 欧米から日本に渡ってきたシャーマン、“銀の癒し手”が一行を迎える。既にイニシエーションを何度も通過した彼女は強力な身体呪文や幻影呪文を自在に操るイニシエト――しかもトーテムは自由と純粋の象徴、ユニコーンだ。

 1ヵ月前までシアワセ・バイオテクの研究所があった一帯で、不気味な唸り声や黒い影、娼婦が消えるなどといった噂がたっているという。クリッターがらみの事件のようだ。
あのシェイプシフターという可能性もある」
 前のセッションで会った狐の女傭兵の正体を見破れなくてウラミのある中が呟く。

Awakening

 老婆が言うには、上野の人間が出向いてもいいのだが、彼女の弟子の一人がイニシエーションの儀式中でここを離れられないらしい。ついでに特殊技能のオーラ・リーディングを誇る老婆はアストラル観察から一行の幾人かに険しい視線を向ける!
「そこのメイジ。貴方はかなり魔力を失っていますね。イニシエーションはさらなる魔法の神秘の扉を開く大事な儀式。それに背を向けてまでなぜバーンナウトの道を?
 そしてそこのサムライも。貴方の生命の輝きは今にも消えようとしている。人の限界を踏み越えた先には破滅があるだけです。
 そしてそこの貴方も。そちらはサムライではないようですが?」

「くッ‥‥オレ達にはどうしてもやらなければならないことがあるんだ〜!」
 と答えるエッセンス0.13.0のレッド・スコーピオンの二人組。
サムライでもないのにエッセンス0.1のチュン‥‥中は「目的があったから(今はない)」と答える。
 ついでにヴィッキーまでオーラを見て欲しそうにしている。
「貴方は感情が豊かなようですね」と老婆に言われるとエッセンス5.8の健全なヴィッキーはウキウキした。ぐは〜! 真面目な雰囲気が〜!

Night's Prelude

「道案内はオレ達がするよ。あの辺には詳しいんだ。よろしくな、兄ちゃん達」
 と2人のメタヒューマンが歩み出る。ストリート育ちの牙を生やしたオークの少年、(ゆう)と、妹分らしい可愛いエルフの少女、(はるか)だった。灰色の空が曇り出した中、一行は足立区へ向かう。

 そのうち雨が降りだしてくる。桐原のハーレー・ダヴィッドソン・スコーピオンの低い排気音が響く横で、中のウェストウィンドの後部座席では十六夜と遥が話していた。

「お姉ちゃん、エルフなんでしょ? どうして耳が尖ってないの?」
問いかける少女。
「‥‥色々訳があったのよ
と十六夜はシェードの陰で答えた。う〜んシリアス。

 一方、雨粒の叩き続けるフロントガラスの外では‥‥少年の乗るエンターテイメント・システムズ・パプースマキシマスというバイクがちゃちいことをいいことに、ヴィッキーがヤマハ・レイピアで煽っている! はううぅ!

Night's Prelude

 雨が強くなってきたので、一行は近くのファミレス『マックヒュー綾瀬店』で休憩することにした。これは英語サプリメントに載っていた、値段の安さ、安全さでシアトルのダウンタウンでも有名なチェーン店である。

 車が突っ込んできても大丈夫という頑丈な入口を入り、一行は基本の大豆(ソイ)バーガー大豆コーヒー(ソイカフ)プロセスチーズのフレーバード・フード・サブスティチュート(風味食品…ようは代用品らしい)の入った“ザ・ヒュー”、チーズ風味食品と、フライドエッグ代用品の入ったトリプルバーガー“ザ・ビースト”等を注文。少年と少女の二人にも奢ってあげる。
 ヴィッキーは13種類の味のある大豆(ソイ)サンデー全種類試そうとして回りに止められた!

Neo Anarchists' Guide To Real Life

 嵐の今夜、客はあまり入っておらず、俸給奴隷(ウェイジ・スレイヴ)の一家が和やかにバーガーを食べている。油断なく店内を見張る、反射神経をブーストしてそうな警備員は6人。手には中が持っているのと同じ、例の変なビリビリ手袋(ショック・グローヴ)、服の下にはどうやら銃を隠していそうだ。

 桐原は見晴らしのいい店内を見渡して、遮蔽がほとんどない事に気付いた。試しに神薙がテーブルの下を確かめてみると、しっかりと床に固定されていた!

 二人は嬉しそうに食事をする。
「食えるだけ幸せだよ。食べる物もない人だって封鎖区にはいるもんな。姉ちゃんたち、メタヒューマンを差別したりしないよね? よかった。‥‥この東京じゃ、あんまりいい顔されないもんな」
とオークの少年の悠はしみじみと話し出す。
 上野の近くに二人で暮らしており、魔法の素質のある遥はあの老婆のところに時々顔を出しているという。いつかもっと強くなって、自分の力で生きて見せる。遥もきっと、優秀なシャーマンになるよと少年は語った。

 二人に家族はいないらしい。その事を聞かれると、二人の表情が少し陰った。
「ああ‥‥こいつ、記憶喪失なんだ。こんな‥‥嵐の夜だったんだ。道端で、髪をくしゃくしゃにして、一人で泣いてて‥‥。オレも孤児院育ちだったからさ、何だか可哀相で‥‥」

 ストリートの孤児らしい遥の記憶はその2年前の秋からまったく戻っていないらしい。ただ‥‥トリデオでアズテクノロジーのマークを見た時、彼女は激しく泣きじゃくったという‥‥。

Aztechnology

 外では相変わらず強い雨が吹き荒れていた。十六夜はふと思い出す。

 フチ社の何者かが私兵を送り、彼女を拉致しようと襲ってきた夜。育ての親の長門(ながと)夫妻の死に激昂し、旋風精霊(ストーム・スピリット)を呼び出して私兵を皆殺しにしたあの夜も、こんな雨が降っていた‥‥。
 が! 「嵐の日は得意の旋風精霊が呼び出せる」と彼女はミラーシェードの陰でややうきうきしている! あうううぅ〜!

Night's Prelude

 酸性雨にも大丈夫なレインコート等を買った一行は徒歩で北に向かった。俸給奴隷の住む集合住宅群を抜け、緑の多い寂れた地域に入る。雨はやや収まり、遠くでは犬か何かの遠吠えが。
 公園にも誰もいず、不気味な雰囲気が漂う。その時! 十六夜の〈敵探知(ディテクト・エネミーズ)〉の呪文に反応が!

Paranormal Animals

 茂みからコケコケならぬコカコカッとコカトリス夫婦が突進してきた! 思い切り銃で反撃する一行。接近する前に何とか撃退。と! 今度は後ろからコカトリス夫婦2組目が! 危ういところで射殺!
 犠牲者の敏捷力を下げて麻痺させる恐怖のクリッター・パワー〈麻痺接触(パラライジング・タッチ)〉を食らう間もなく、不意を突かれなかったお陰で一行は勝利する!(よかったね〜)

「すげぇなぁ‥‥兄ちゃんたち」二人組も感心したように物陰から出てきた。
 例のシアワセ・バイオテク研究所から逃げ出してきたコカトリスだろうか? しかし件の研究所も、もうコンクリートの土台しか残っていない‥‥。と! 遠くから微かに、女の悲鳴が聞こえてきた!

Night's Prelude

 急ぐ一行の前に、廃棄された古い教会が姿を現す。遠くの稲妻をバックに、屋根の十字架が空しく輝く。
 北アメリカで興った新宗教『 全 地 球 教 会 』(ザ・チャーチ・オヴ・ホウル・アース)。都市圏のシャーマンやウィッカが集うプロテスタント+シャーマニズムのリベラルな多神教。大地の母神ガイアを主に信仰していることを、魔法使いである十六夜や神薙は思い出す。このへんではあまり流行らず、信者たちはどこかに移動してしまったと悠たちが教えてくれた。

 蔦の絡まる門を抜け、霧の立ち込める中を一行は進む。一人だけで隠れる意味はいまいちないにもかかわらず、相変わらず影の好きな中は[隠密]する。

 扉を開けると中は礼拝堂‥‥奥にはサングラスと黒いジャケット姿の若者が! 口には血が一筋流れている。腕に抱いているのは肌も露な娼婦‥‥だが死んでいる?

「死んじまったよ。バカな女だ」
 若者はサクッと女の首を引きちぎると、隅の死体の山の上に放り投げた!
「よく来たじゃないか。最近は誰もこなくて寂しかったんだ。歓迎するよ」

 十六夜はアストラルに知覚を切り替える。若者は人間ではない‥‥何かのウィルスに侵されているようだ! 用心する一行はなかなか彼に近づかない。
「そうさ。僕は永遠の夜に生きる。僕はヴァンパイアさ。闇の口づけを受けてから、僕の人生は変わったのさ!」
 暗い礼拝堂で、若者は犬歯を剥き出しにして笑った。
夜明けのバンパイア?」よく解らないことを言う中。(←だからアン・ライスを読んでたって別に自慢しなくていいんじゃぁ〜)

「この辺には邪魔なヤツもいない。さあ、楽しいパーティーを開こうじゃないか?」
 礼拝堂に霧が立ち込める中、若者はすらりと日本刀を抜き放った。が! 一行は話を聞かないまま、距離があるのをいいことによってたかってバリバリ銃撃! 当然死亡!

 しかし! ヴァンパイアの傷は即座に再生し、彼はむっくりと立ち上がった! 判定に失敗し、一行の誰も奴の弱点や能力を詳しく覚えていない!
「ハハハ、知ってるぞ。サムライに魔法使い‥‥シャドウランナーだな? パーティーはこれからさ! 一緒にダンスを踊ろうじゃないか?」

 再び銃撃! 再び死亡! 今度はしばらく動かない。
 桐原は死体の山を調べてみた。身元もないようなストリートの住人や娼婦やらだ。全て破壊されている。
 その時! 振り返るとまたもやヴァンパイアが立ち上がる! 十六夜の呪文〈疲労(スリープ)〉が炸裂。精神ダメージと肉体ダメージの両方を与えれば倒せるかと考えた中は武器を手に接近。ヴァンパイアの日本刀が襲いかかる!
 中は防御集中を宣言、コンバットプールを温存。
 しかしこれは失敗だった! 〈身体能力増強(エンハンスド・フィジカル・アトリビュート)〉のパワーで筋力が14に増えていた敵の日本刀はダメージなんと17M! 拡大して17D、プールを使ってもほとんど減らせずに中は一撃で致命傷! まさに大斬りで一本っ! (当時、格ゲーでサムスピ等が流行っていたのです)

 が、その時神薙が、判定に成功して脳髄を破壊すればヴァンパイアを倒せることをようやく思い出した。バーンナウトらしく血を吐きながら、呪文が炸裂して一行は何とか吸血鬼を倒す!

「ウゥ‥‥フ、フフ‥‥君たちは大都会の影に生きてる。僕だって永遠の夜に生きてるんだ。言ってみれば僕たちは仲間じゃないか。似た者同士、仲よくできないのかい?」
 今度こそ本当に、彼の生命のオーラは消えていこうとしていた。
「僕を殺したって無駄だ。僕の仲間は世界中にいる。覚醒世界の夜に潜んでるのさ。Ordo Maximus(オルド・マキシマス)の旗の元にね‥‥」

Threats

 一行は死体を前に、吸血鬼の言い残した謎の言葉に顔を見合わせた。オルド・マキシマス? ‥‥が! 知力テストで目が走った桐原が(マジになぜか)知っていた!
 英語サプリの『Threats』 などで見ることのできる、影深きシャドウラン世界に数多く伝わる、真偽も定かでない噂話の一つ。存在するかも分からぬ、謎に包まれたヴァンパイアの秘密結社が、その名を持っていたはずだ‥‥。

Night's Prelude

 入口から見ていた悠と遥も駆け寄ってくる。
「大丈夫かい、みんな?」
「十六夜お姉ちゃん、あの人、死んじゃったの?」
 おおっと! あと50分放っておくと中は本当に死んでしまうぞ(笑)!
 応急処置の後、目標値10のキツい〈負傷治療〉(ヒール)で欄が1個だけどうにか回復。リストホンのボタンを押して、一行はドク・ワゴンTMを初めてコール! かみさまも偶然資料を持ってたぞ! 都合がいい(笑)!

DocWagon


 てな訳で割合早くスタンダード・レスポンス・チーム(SRT)が到着。中を早速運んでいった‥‥。

 一行は教会を焼き払うことを決意。雨も既に上がっている。礼拝堂の壁の大地の母ガイアの絵も、十字架も、全てが炎の中に消えていった‥‥。そのうち、夜明けが訪れる。

Night's Prelude

 一行はマックヒュー綾瀬支店へ戻った。悠と遥は自分たちのバイクで上野の方へ帰還。一行も一度は家に帰り、その後雨の上がった上野に全員集合。

「まさかヴァンパイアまでいたとは‥‥。随分と危険だったようですね。ありがとうございました」
“銀の癒し手”は予定より多く、一人6千新円を渡してくれた。
「何か、聞きたいことがあれば何なりと」

 老婆は一行の質問に教えてくれた。52〜53年頃、魔法の素質を持つ身元のない子供たちが消えた事件があちこちで起こったことがあったという。企業のスカウトにしては多すぎる。だが、尻尾は掴めず、ある時期を境にその噂もぱったり止んだという。
「企業を信用してはいけません。彼らは大地を汚そうとしています。いずれにせよ、気をつけることです」

Night's Prelude

 緑に包まれた上野は、静穏な雰囲気が漂っている。昨夜の雨の中を案内してくれた二人組も、今日はさっぱりしていた。
 エルフの少女、(はるか)の長くつややかな髪を見て、神薙はアズテクに殺されたレッド・スコーピオン時代のエルフの恋人、瑠夏(るか)をまざまざと思い出した。性格は正反対だが、彼女もこんな髪をしていた‥‥。
 それに気付いた桐原は、何も言わずに相棒を眺めていた‥‥嗚呼、男の友情
 でも<や○いネタはやめよう! 天が許してもかみさまが許さないぞ!(笑)

Shadow Beat

「ところでさ、ヴィッキー、ロッカーなんだって? オレも音楽は好きだよ。シーナ・Mとかテディ・Xマリア・マーキュレルにエルフのダークヴァイン‥‥日本だったらメサイア・メーカーとかね。ギグなんだって? ねえ、オレ達も行っちゃだめかな?」
 目を輝かせている悠に、ヴィッキーは入場料25¥がタダになる紙切れに手書きのバリバリな特別招待券をあげた!

 しばらく上野に留まり、十六夜は「よきかなよきかな」と和やかな一時を過ごす。
「私の方でも調べておきます。何かあったら、またいらっしゃい」と“銀の癒し手”は見送ってくれた。

 一方神薙と桐原はドク・ワゴン・クリニックへ見舞いに行き、包帯ぐるぐるまきの中に彼の分のクレッドスティックを渡した。外を見るとまたにわか雨が降りだしている。

Night's Prelude

 病院を出たその時、路地裏の方で微かに断末魔の叫び声が!
 雨の降りしきる中、急いだ二人は入り組んだ路地の一角で立ち尽くした。背広を赤く染めた“さらりまん”が二人倒れている。その側には、アレスのモノフィラメント・ソードで体を支え、黒っぽいコートの男がうずくまっていた。

 何かのドラッグを含み、ゆらりと立ち上がった男は弾かれたように振り向く。後ろに流した長い髪。鋭そうな顔のクローム一色の瞳。二人ははっとした。

 かつて池袋のストリートをさ迷っていた頃。やはりストリートに蠢くクズの一匹だった若者――“陽炎(かげろう)”によく似ている? ここ数年、姿を見かけたことはなかったが‥‥? 相手も、二人の顔を見て少し驚いたようだ‥‥。

「“陽炎”か?」
 桐原は呟いた。モノソードのエッジが雨に濡れ、クロームの瞳が妖しく光る。
「‥‥だとしたら、どうする?」
 遠くの稲妻が輝く。殺し屋(ヘヴィ)は呟き、何かに操られるように、ゆらりと動いた。次の瞬間、彼の姿は影の中へ消えていた‥‥。

Cybertechnology

 咄嗟に反応しきれなかった二人は顔を見合わせた。反射神経を増強した二人から見ても、今の動きはかなり速かった‥‥。
「イニシアチブはサイコロ3個か‥‥」
 登場していないのに呟く中の亡霊。ちなみにリプレイにある通りダイスは6個でした。チミは黙って包帯巻かれてなさい。

 桐原たちが見下ろすと、“さらりまん”の一人が震える手で鞄を差し出す!
「こ‥‥このカバンを、チバへ‥‥!」それだけ言うと、気絶してしまう!
 ドク・ワゴンTMを匿名でコール。ヴィッキーや十六夜も合流する。鞄の中には、なんと、厳重に封をされた、『レンラク・コンピューター・システムズ』とでかでかと書かれた書類が!

Night's Prelude

 再び中のいる病院へ。携帯電話で電話すると、レンラクのミスター・ヤマダが出てきた。ベッドの中から非論理的支離滅裂な説明をする中。
「‥‥相変わらずですな、あたるさん」
 冷静なヤマダ氏に、神薙が書類を指し示した。ヤマダ氏の表情が流石に変わる。本物だと確認したヤマダ氏は、
「すぐそちらに向かいます。用心して仲間と一緒に行動してください。場所はこちらから連絡(レンラク)します」
ナチュラルな洒落を残して電話を切った。
 用心の為、十六夜が〈敵探知〉の呪文をかけて病院で待つ。そのうち、秋葉原を指定する連絡があった。

Renraku Computer Systems
Night's Prelude
Virtual Realities 2.0

 日本有数のハイテク・マーケット、秋葉原の電気街。ホットな最新プログラムを探すデッカーやIN◎UEコーポレーションのゲームデモに見入る子供達、髪の毛を後ろで結んだ若者や道の真中で荷物を持ったまま横文字の多い意味不明な会話を交わす人間などが溢れている。

 すぐにダークスーツのカンパニーマンが運転するバンがやってきた。
「確かに本物だ。噂は本当のようだ‥‥東京に腕の立つ殺し屋がいるようですな。これは謝礼です。あたるさんにも宜しく」
 書類を確認すると、ディープ・スロートライクなカンジのミスター・ヤマダは車で去っていった。

 後には、ゴールドのクレッドスティックが。思わぬ副収入である。
「‥‥この新円でバイオウェアの道に走れという天のお告げなのね」
 呟く十六夜。それを言うなぁぁ〜!

Night's Prelude

 やがて中も回復。一行はナイトクラブ〈シェイQダウン〉に集合した。悠と遥も、例のメモ書きのバリバリな特製入場券を持ってやってくる。
「ワア〜ォ。クールな入場券だゼ。こんなことをするのはヴィッキーしかいないからな。OKだぜ、ベイビー」
 DJのテクノ−Z(ゾンビー)は快く入れてくれた。

 やがてヴィッキーのギグが始まる。英語サプリ『SHADOWBEAT』にしたがって判定するとダイスの目が悪く、パフォーマンスの結果はアベレージだったがエブリワンがハッピー・ウィズ・イット(注:サプリメントの原文通り/笑)。悠と遥も本物のギグを見れて大満足のようだ。

Night's Prelude

 かくして、また一つの“仕事”が終わった。物語はいよいよ核心に近づく。
 吸血鬼の残した言葉の謎は? アズテクノロジーの謎めく極秘計画は実在したのか?
 エルフの少女の記憶にはいかなる秘密が? そして、謎の殺し屋の正体は?

 一行は本当に、IN◎UEコーポレーションの新作ゲームソフト『キング・オヴ・ときめきハザード大戦’56』奪取のハードなランをする羽目になるのか?(はうはうはう〜) 
 そして、十六夜の出した「ベータやデルタ級の極限まで気合いの入ったサイバーな敵と戦い‥‥たくはないけど一度見てみたい」‥‥という今後の要望に「あァ、それもいいですねェ」と快く相槌を打つかみさまの真意は?(あうあうあう〜)

Aztlan

 闇深まる第六世界を舞台に、冒険は続く‥‥。

〜 またまたウソ広告 〜
(96年当時、劇場版エヴァンゲリオンが公開間近だったのです)

リプレイ用最終セッション

第伍話

Title From 映画『ストレンジ・デイズ』
Song by ピーター・ガブリエル featuringディープ・フォレストより

 1996年12月公開予定・SF研のえばお向け前売券全国限定5枚
(アスカもといアステカの特製カレンダー付き)

補・完・セ・ヨ・!
(かみさまはしないぞ)

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