七章

いまわしき死の使い

 

 鎧武者の骸骨が目覚めようとしていた。骨だけになった手がゆっくりと地面の中から抜け出し、体全体が震える度に洞窟の地面が激しく揺れる。兜の下の面頬の奥には、邪気漂う二つの光が灯っていた。この平家の亡霊が完全に自由を取り戻すまで、あと僅かしかない。

 

GM:後2ターンで出てきますよ。

鏡:とりあえず重くします。成功!

GM:威力10は関係ないね。あ抵抗した。全然余裕。こっち[妖術抵抗]高いもん。

一同:なにー!

GM:安心して下さい。直接攻撃系の妖術に妖術抵抗なんて関係ありませんから。はい次。

向島教授:[風撃(かまいたち)]行きます。成功!

GM:どう考えても「よけ」られる状況じゃねえよな。(ころころ)刀で「受け」ました。

向島教授:うっ、なに〜!

飛丸:ディフレクションしてきたぞ(笑)!

GM:安心して下さい。リフレクションで跳ね返ってきたりはしません。

 

●今のは『トーキョーN◎VA The 2nd Edition』のカブトとカタナの特殊技能だな。飛丸先生によると、なんかこのGMは救いようのないのば中毒者なんだってさ(笑)。なんてたってIN◎UEコーポレーションの総帥だもんな。ちなみにオレは由緒正しいケツァルコアトルの子孫だから、『シャドウラン』の方が好きだけど‥‥。
 RI財団のウェブページに二つとも載ってるから、ついでに見ていってくれると嬉しいな。

 

向島教授:うー、生意気な奴だ!

飛丸:「部位狙い」はどうするの?

GM:(マスタースクリーンを見せる)この通りですが。ただ大きさがでかいんで修正は半分でいいです。

飛丸:よーし、飛んで頭を狙って破壊光線じゃっ!

 

●上級戦闘ルールの部位狙いの頭は「修正−5、防護点無視でクリティカルは頭部打撃クリティカル表を参照」だ。
(後で見てみたら、実はここは「頭蓋骨による防護点無視」の誤植だったけどね(笑)。)
 射撃系の妖術は大雑把な射撃と考え、マイナス修正が2倍、威力レベルも2減ってしまう。だけど「ピンポイント攻撃」の増強を行っている飛丸先生の吸血破壊光線には関係ない! 10レベルの怪光線が、鎧武者の兜を貫く!

 

GM:もう「受け」らんねえ。受動防御も失敗。

飛丸:(ごろごろごろごろ)え〜とえ〜と‥‥34点。

GM:はい分かりました。

飛丸:‥‥よく考えたら期待値通りだな(笑)。やはり10個ともなると偏差は少ないか‥‥。

GM:では次のターンですね。

一同:待った! [加速]の分があるぞ!

向島教授:今度は‥‥26点。さすがオーヴァドライブ!

GM:なるほど分かりました。では次ターン、足元までばりばりと完全に起き上がります。イニシアチブ。

 

 鎧武者は立ち上がった。骨だけになった体には古の鎧を纏い、腰にはぼろぼろの鞘を帯びている。
 武者は尋常でない大きさの刀を構えた。錆の浮いた刀身は一見、もはや刃としての意味をなさないかに見える‥‥だが三人には、その刀に漂う妖気が見て取れた。
 武舎は妖しい輝きを放つ刀を振り上げると、気合一閃、勢いよく振り下ろした。途端に激しい風が巻き起こった。

 

GM:という訳で目標はあなたです。「受け」「止め」に使える妖術を使っても構いません。

飛丸:ひー、かまいたち系だー! いや、「よけ」よう。‥‥7以下よ出ろ! ‥‥やっぱり失敗。

(GM、ダイスを用意している)

鏡:あー、なんかダメージでかそうー。

飛丸:哀れな飛首に襲いかかってくるよー。

向島教授:(GMを見て)なんかジャラジャラいってますよ。頑張ってー(笑)。

飛丸:♪どーしよ、どーしよー。あーパッパラパのパッパラパのパオパオパパパ〜
<↑重大なメンタル・ダメージがキャストの制御値まで到達。スタン判定に移行(ウソ)>

鏡:‥‥錯乱してるのね。

GM:「切り」の31点。

飛丸:という事は26点の1.5倍で39点。追加HPが残り11だ〜(泣)。

向島教授:じゃあ二撃で死ぬって事っスね。

鏡:こっちはあと一撃で死んじゃうよ。じゃあこっちの番だ。重くなれ〜! と眼鏡がきらんと光ります。[重力増加]成功。

GM:(ころころ)全然余裕。だってこっち[妖術抵抗]15レベルあるんだよ。

鏡:いつかは失敗する。それにこのキャラはこれしかやることがない。

GM:はいわかりました。ああ、あと一つだけ言っときます。近くに白蛇がいるんで、[幸運をもたらす]で一時間に一回、気に入らないダイスの目を振り直せます。相手も同じですよ。

向島教授:[風撃(かまいたち)]成功。

GM:(ころころ)「よけ」ました。
 ああ、「よけ」ないで全力攻撃しとけば良かった。

鏡‥‥:い、イヤすぎる‥‥。

 

●「全力攻撃」は、そのターンの「よけ」「止め」「受け」の能動防御を放棄して、「ダメージ+2で攻撃」「技能レベル+4で攻撃」「フェイントして即攻撃」「2回攻撃」のどれかの全力攻撃を行うことだ。元々の技能レベルやダメージの高い『妖魔夜行』世界だと、「フェイント即攻撃」「2回攻撃」が有効だな。先を見越してこんな事をやろうとするなんて‥‥このGMはオニだよな(笑)。まあ、いいや。
 またもや、飛丸先生の破壊光線も「よけ」られた。牙の普通の攻撃は成功して「切り」の17点。で、向島教授の[加速]分のかまいたちが飛ぶ‥‥。

 

GM:「よけ」てない。

向島教授:8Dは‥‥う、1が三つもあるよ。24点。

GM:このターン終わった所で知力判定していいですよ。こいつ強すぎ〜って思いますから。だってさっきのかまいたちほとんど効いてない。

 

 三人の頭の中に、神社の御堂にかかっていた一枚の絵が浮かび上がった。確かにあの絵には今対峙している鎧武者が描かれていた。後は白蛇と八咫烏と‥‥もう一つ何か描かれてはいなかっただろうか?

 

鏡:あの鏡が必要なんだろうか、と思う。

飛丸:うー、僕は鏡に弱いんですよー。
(↑彼は弱点で「鏡を向けられると身動きできない」を取っているのだ。)

鏡:という訳でその辺を探します。

飛丸&向島教授:その辺に‥‥落ちているもんなのだろうか?

GM:<探索>は−7成功? じゃあその辺にはないのが瞬時に分かった(笑)。

鏡:確か八咫烏が持ってたような気がするから、奥の院かな? よし逃げよう。

向島教授:俺は『韋駄天』で逃げるぞ(笑)!

GM:一人だけ16倍速で逃げてる人がいますけど。じゃあ後ろから「ふはははは」と笑い声が聞こえてくるけど、洞穴の外には出てこないようだ。

 

●美鈴を連れて三人は急いで引き返す。奥の院には鏡はなくて、下の神社に戻った。八咫烏と神主が驚いた顔で一行を出迎える‥‥

 

GM:では傷だらけの八咫烏と住職のお爺さんがいます。

鏡:住職じゃなくて神主でしょ。住職は坊主の方だ。

GM:ああ失礼、そうだった。

向島教授:副業で坊主やってたらすごいな。副坊主とかいって(笑)。

鏡:いや、神道からキリスト教まで何でも承る人かもしれないよ。という訳で八咫烏に鏡の場所を聞きます。

飛丸:てぇへんだ! 大魔神が動き出したぞ!

GM:「なに、もう動き出したのか?」

向島教授:おう、バリバリよ。

鏡&飛丸:(悲鳴)きょ、教授〜!

GM:「鏡はこの地図の場所にある」

向島教授:なんだ、分かってるんだったら最初から渡せよ〜。

GM:「そう言われても俺もこんなに早く復活するとは思わなかったんだ」

 

●地図に記されていた場所は、奥の院のさらに奥の森の中、目印の石の所だ。

 

向島教授:おー、ダウジングっスか。

鏡:ダウジングじゃなくても分かると思うぞ。

GM:これは裏説ですけど(←注:裏の説明ということを言いたいらしい)、なんで八咫烏だけ記憶を失わなかったかというと、彼の記憶もなくしちゃうと鏡の在りかが分からなくなっちゃうから。鏡を破壊したかったわけ。

向島教授:誰がやったの?

GM:さあー。それは最後に話してあげましょう。

鏡:きっとサーズデイ村上でしょう。

向島教授:ここ掘れワンワン。

GM:じゃあ鏡が出てきました。昔の鏡‥‥銅の表面を磨いたようなやつです。じゃ、行きましょうか。

向島教授:え、行くんスか(笑)? この鏡はどうやって使うんだろう。

鏡:教授、考古学なんだからしっかりしてよ。

飛丸:僕に向けないで下さいね。

向島教授:うん、オッケイ。じゃあ行きますか。

 

梟の仕切り線です‥‥
......ガープス・妖魔夜行リプレイ『玉静 〜たましず〜』...七章 いまわしき死の使い......
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