基本的な機能、性能は123A,R CARDMATIC TUBE TESER と同じですが、いくつかの追加機能があります。
AN/USM118Bの操作面
まず基本機能として
@陽極電圧が0〜260Vまで10V刻みで設定できる。
AAUX B+用の電源回路が付加されており30〜300Vまで任意に設定できる。つまりプレートとスクリーングリッドの電圧を別に設定できる。
B12AX7や6SN7のような同じ特性をもった双3極管は、1枚のカードで両ユニットの測定ができます。プッシュボタン4を押すことにより、第2ユニットの選択をします。プッシュボタン4を押さないときは第1ユニットが選択されます。
プッシュボタン(左から2,3〜4)
さらに付帯機能として
Cバイアス電源、陽極電源、AUX電源、フィラメントDC電源にヒューズが設けられている。このヒューズがブローしたときはネオンランプが点灯し、どこがブローしたかわかるようになっている。
ヒューズとブローを示すネオンランプ
以上のような機能が追加されています。ただし、その分回路が複雑になっています。
図1に、このテスタの簡単な構成を示します。
@陽極電源部
250VACを5U4GBで全波整流し6CD6GA、6AW8、6C4による定電圧制御電源で0〜260Vを発生しています。電圧の切り替えはプログラムカードで行います。電圧は10V刻みです。
A固定バイアス電源部
200VACをSiダイオードで全波整流し、0A2(VR150MT)で安定化し、その後ブリーダ抵抗で目的の電圧を作成します。このブリーダ抵抗値はプログラムカードで選択します。
Bヒータ(フィラメント)電源部
0V〜0.9V 0.1Vステップ、0V〜9V 1Vステップ、0V〜110V 10Vステップの3巻線をもったトランスで0V〜119.9Vまで0.1Vステップで任意に設定できるようになっています。フィラメントの各電圧タップの選択はプログラムカードで行います。1次側は、電源電圧の変動やフィラメント電流負荷による変動を補正出来るように、タップがもうけられています(97.5Vから125.0Vを2.5V刻みの12タップをロータリースイッチで切り替えできる)。
CGm用入力信号部
豆球を用いた、安定化AC信号源。1次電圧の変動影響を受けないように豆球をブリッジ接続した回路になっています。信号電圧を半固定抵抗で0.222Vrmsに調整できるようになっています。
DGm測定ブリッジ部
ダイオードを用いたブリッジ回路。Gm測定時には、陽極側に挿入されるようになり、被測定管で増幅された信号を検出します。
Eカードリーダ部
11列×17行のマトリックス状に設置されたピンスイッチ群。プログラムカードの穴部(ホール)では、ピンが穴を抜けるためOFFとなります。一方穴が無い(ノンホール)場合はピンが押さえられてONとなります。
このピンのマトリックスは、プログラムカードが挿入されるとマイクロスイッチがONになりその結果ソネロイドが働き、ガツンとピンスイッチを有効にします。123A,Rと同じ構造です。
AN/USM118Bのカードリーダ部
F測定用真空管ソケット部
一般的な真空管のソケットがサブユニットとしてついています。UX,UY,UZ,UT,US,ロクタル、7ピンMT、9ピンMT、サブミニチュアなどです。NOVAL9ピン(大型9ピン)とサブミニチュア管のソケットは、本体のパネルに搭載されています。このこの機種もコンパクトロンには対応しませんが、外付けのアダプタがあれば可能です。
AN/USM118Bの測定用真空管ソケットサブユニット
G操作・表示部
大型のメータでGm(%表示),Ib(%表示)のほかにヒータ・カソードリーク(合否)、ガステスト(合否)を読み取ります。また電極間ショートは、ネオン管による表示で各電極間ショートを5個のネオン管で判定します。フルスケール時のリーク電流値や、Gm値、Ib値はプログラムカードで設定します(メータのシャント抵抗を選定しています)。
1234型の軍用仕様であるAN/USM-118Bは上述したようにメータの保護回路がトランジスタ回路で設けられています。
HAUX B+電源部
275VACを6203(1234型は6X4、USM118A,B型は6203)で全波整流し6CL6、6AU8-Pによる定電圧制御電源で30〜300Vを発生しています。電圧の設定は、コンパートメント(パネル表面隠し蓋の下)にあるポテンショメータで設定します。
AN/USM118Bのコンパートメント部
さらにコンパートネント内には、調整時に使うポテンショメータなどがあります。またフィラメント電圧を被測定真空管の電流負荷によって電圧変動するのを補正するためのフィラメントアジジャストもあります。
以上この真空管テスタの機能を説明しましたが、この真空管テスタでは、123A,R型と比較して、任意のプレート電圧やスクリーン電圧が設定できるので、真空管メーカの発表するデータシートに基づいた条件での精密な測定が可能です。