U.プログラムカードの自作方法


メーカのデータシートを基にプログラムカードを準備すれば、どんな真空管でも測定できます。HICKOK社の説明書を見ると、当時は、穴のあいていないブランクカードとパンチ(その昔、駅の改札で駅員さんがはさみのようなもの切符を切っていた時代がありました。そのはさみのようなパンチです)がセットで販売されていたようです。

そこで、新しい真空管用のカードや手元にないカードは、作ってみようと思い立ちました。

オリジナルのカードをノギスで測定してみました。その結果、横76mm、縦142mm、厚さ0.4mmのプラスチックカードです。それにプログラムのための穴が11列、17行に配列されております。その穴のサイズは約0.45mmΦです。端にはカードの逆さし防止のためのノッチがあります。

このプロジェクトは3つのステップが必要です。
@プログラムカードを作るための材料さがしと,そカード作成方法、
Aカードに穴を空けるパンチさがし

B測定したい真空管用の条件設定方法(どこの位置の穴をあけるか、すなわちプログラム方法)
の3つが課題です。@Aは、何とかなりそうですが、Bが難関です。

まず@の材料探しから

最初は厚紙でできないかと思い、適当な厚さの紙をカードサイズに切って、カードリーダに挿入したんですが、挿入時のピンの押さえ圧力が大きいせいか、見事に穴があいてしまいました。結局、紙は使用できないことがわかりました。やっぱり、もう少し強度の強いプラスチックを使うしかありません。そこで、近所のホームセンタや東急ハンズへ出かけ適当な樹脂の板材がないか、いろいろ調べて見ました。0.4mm厚さとなると、なかなか手ごろなものが見つかりませんでした。その中で使えそうなものは、プラ板(模型用やクラフトワーク用として売られている)、塩ビ板がくらいです。

まず、サンプル的に数枚購入してきました。これを押し切で先ほどの寸法にカットします。そしてその上に1117行の穴を空ける部分のマトリックスを印刷します。最初はパソコン用のプリンタで印刷しようと考え、図に示すような印刷パターンをドロー系のソフトで作ってみました。そしてインクジェットプリンタで印刷したのですが樹脂の表面にはインクののりが悪く、うまく印刷できませんでした。インクジェットプリンタ用のOHPシートのように表面がある程度、粗化されているとうまくいったかもしれません。


一般にプラスチックなどの表面に印刷する方法としては、シルクスクリーン(孔版)印刷があたりまえなのでしょうが、素人の私には道具もないし方法も見つかりませんでした。

そこでふと思い出したのがプリントゴッコです。数年前までは、パソコンとプリンタが普及するまで年賀状印刷といえばこれしかなかった時代がありました。早速、いまでもプリントゴッコなんか売ってるところはあるんだろうかと思いながらインターネットを調べてみると、いまでもちゃんとありました。早速価格を調べてみると、結構の値段です。

購入するかどうか思案です。買ってうまくいかなかったら1ケ月の小遣いの損失です。

そこで、近所のリサイクルショップで売ってないか探しに行きました。幸いにも、ずいぶんお得な値段(千円以下)で中古品が売られており、即購入してきました。版をつくるCD-1という熱転写プリンタとPG10スーパーというプリントゴッコの2つを買ってきました。

それを使って、印刷を試みました。まず、版の作成からです。先ほどのカードの印刷パターンをCD-1印刷機で版を作ります。

原稿を読み取っているところ

CDマスタで版を作っているところ

完成したマスタ

そしてプリントゴッコの版に焼き付けます(詳細はプリントゴッコの取説を参照ください)。これでは版は完成です。

まず葉書に印刷します                プログラムカードの部分を切り取り枠を作ります

プラ版で作った生カードに印刷します

この版を使って、プラ板で作ったプログラムカードの生カードに印刷します。インクの色は、プラ板が白なので、使い古しの黒インクを使いました。初めてのプリントゴッコによる印刷なので、要領がつかめず、カットアンドトライをしながら何とか印刷できました。

結果は、まあまあでした。インクの量が多すぎたのか、にじんでしまいましたが、特に使うには問題ないレベルです。あとはインクが乾くのを待つだけです。

アルテックの204−8Aをつかったミニバスレフで音楽をききながら、インクが乾くのを待ちます


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