Mar.04.2006
下記の調整作業において、すべて電源は米国仕様の115VACで行ないます。調整には、375KΩ(1W)(デジタルテスタの場合は150KΩ)、510KΩ(1/2W)、100KΩ(1/2W)、6KΩ(12KΩの並列接続)(1/2W)の抵抗とAC・DCの電圧が測定できるテスタ。更にGm校正にはスライダック、100V用の絶縁トランス(1次100V,2次50〜100V程度のもので容量は小さくても可)ならびに10KΩ(2W)(1%誤差のもの)が必要です。
・電極設定用ロータリスイッチを“HS5-3460”に設定する。バイアス(Bias)つまみ、シャント(Shunt)つまみの 目盛は0にセットする。ファンクションスイッチはBレンジにセットする・USオクタルソケットの3番ピ ンと6番ピン間に150KΩ(デジタルマルチメータのようなハインピーダンス型テスタを使って電圧を測定する場合の抵抗値。以下このデジタルテスタを使う場合で説明します)の抵抗をつなぐ。
・プレート電圧を確認する。USソケットの3番ピンと6番ピン間の(150KΩの抵抗はつないだまま)DC電圧 を測定する。150VDC(150±3VDC)が出るようにラインアジャスト(LineAdjust)つまみを調整する。
抵抗BOXを利用してプレート負荷を150KΩに設定。USピンアダプタを使って電極を引き出しています。
ラインアジャスト調整で150VDCに設定
・プレート電圧を150VDCになるようにラインアジャスト(LineAdjust)つまみを調整した状態で、フィラメント 電圧が無負荷状態で、下記の(1)〜(3)およびGm信号電圧が(4)〜(6)に示す範囲内か確認する
フィラメント電圧(無負荷状態)確認
(1)フィラメントを0.6Vの位置にセットして、2番ピン、7番ピン間のAC電圧を測定する。0.65-0.72VACならOK。
(2)フィラメントを10Vの位置にセットして、2番ピン、7番ピン間のAC電圧を測定する。9.60-10.8VACならOK。
(3)フィラメントを117Vの位置にセットして、2番ピン、7番ピン間のAC電圧を測定する。116-127VACならOK。
(1)〜(3)で値が範囲のほぼセンタであればOK。
Gm測定用の信号電圧(無負荷状態)の確認
(4)5番、6番ピンのAC電圧を測定する。ファンクションBとCレンジで5±0.3VACならOK。
(5)同様にファンクションDレンジで1±0.1VACならOK。
(6)同様にファンクションE,F(TV-7D/Uのみ)レンジで0.5±0.05VACならOK。
ラインアジャスト(LineAdjust)つまみを調整しても、プレート電圧、フィラメント電圧、Gm信号電圧が 範囲に入らない場合は、整流管の不良または整流管まわりやトランスの不良が考えられる。
・上記のプレートおよびフィラメント電圧が調整できたら、ラインアジャスト時のメータ目盛調整を行なう。プッシュボタン1を押してメータの指針が60目盛になるように、R134半固定抵抗を調整する。
R134を調整してラインアジャスト時のメータ指針が60になるようにあわせる
・電極設定用ロータリスイッチを“HS5-3460”に設定する。バイアス(Bias)つまみ、シャント(Shunt)つまみの 目盛は0にセットする。ファンクションスイッチはBレンジにセットする
・USオクタルソケットの3番ピンと6番ピン間に150KΩの抵抗をつなぐ。
・USソケットの6番ピンと5番ピン間の電圧を半固定抵抗R130のタップCのネジを緩めて調整する。
R130のタップ(左からタップA,B,C)
(1)バイアス目盛が100の位置で、-40±2VDCになるように、半固定抵抗R130のタップCCを調整する。
BIAS100で40VDCにあわせる
(2)バイアス目盛22の位置で、-3.0±0.2VDCならOK。半固定抵抗R130のタップCを調整する。
BIAS22で3VDCにあわせる
(1)〜(2)が合致するように半固定抵抗R130のタップCを調整する。調整後半固定抵抗R130のタップの緩めたネジを締める。
バイアス目盛を100の位置にセットする。ファンクションスイッチをFレンジにセットする。USソケットの6番ピンと5番ピン間の電圧を4±1VDCになるように半固定抵抗R139を調整する。
ファンクションスイッチをBレンジにもどす。
R139で4.0VDCにあわせる
・バイアス目盛を0の位置にセットする。プッシュボタン2と3を同時に押して、USソケットの4番ピンと6番ピ ン間電圧が56.0±1.5VDCになるように半固定抵抗R130のタップBを緩めて調整する。調整後半固定抵抗R130 のタップの緩めたネジを締める。
R130のタップBを調整し56VDCにあわせる
・バイアス目盛を0の位置にセットする。プッシュボタン3を押して、USソケットの4番ピンと6番ピン間電圧 が130±3VDCになるように半固定抵抗R130のタップAを調整する。調整後半固定抵抗R130のタップの緩め たネジを締める。
・プレート電圧とハイスクリーン電圧の差が30V以上、または10V以下なら整流管およびその周辺をチェック する。問題ない場合は整流管83のフィラメントの1番ピンと4番ピンをつなぎ替えて、再度上述の調整を する。それでも、満たさない場合は、整流管5Y3のフィラメントの3番ピンと5番ピンをつなぎ替えて再度 調整する。(フィラメントバランスやユニット間のバランスが取れている整流管をつかえばほとんど問題な いようです。
・プッシュボタン1を押して、ラインアダジャストでメータ指示が60目盛になるようにあわせる。電極設定用 ロータリスイッチを“HS5-3468”に設定する。バイアス(Bias)つまみ、シャント(Shunt)つまみの目盛は0に セットする。100KΩの抵抗を、2つの電極ピン間に接続したときの、ショートランプ(ネオンランプ)の 点灯・消灯をチェックする。
順番に端子をつなぎ替えてショートテストを実施
・次に100KΩの抵抗を取り510KΩの抵抗を接続したときに全てランプが消灯することを確認します。
ピン番 号とランプの点灯・消灯条件を下表に示す。このようなパターンになっていればOK。
|
抵抗接続 |
|
|
ファンクションスイッチ |
○:点灯 |
|
|
|
電極A |
電極B |
ピン番号A |
ピン番号B |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
スクリーン |
サプレッサ |
4 |
8 |
○ |
○ |
○ |
○ |
○ |
スクリーン |
C.グリッド |
4 |
5 |
|
○ |
○ |
○ |
|
スクリーン |
プレート |
4 |
3 |
|
○ |
○ |
|
|
C.グリッド |
カソード |
5 |
6 |
○ |
○ |
○ |
|
○ |
C.グリッド |
サプレッサ |
5 |
8 |
○ |
|
|
|
○ |
C.グリッド |
プレート |
5 |
3 |
|
|
|
○ |
|
プレート |
サプレッサ |
3 |
8 |
○ |
|
|
○ |
○ |
フィラメント |
プレート |
2 |
3 |
○ |
○ |
|
○ |
○ |
フィラメント |
C.グリッド |
2 |
5 |
○ |
○ |
|
|
○ |
フィラメント |
スクリーン |
2 |
4 |
○ |
|
○ |
○ |
○ |
フィラメント |
サプレッサ |
2 |
8 |
|
○ |
|
|
|
フィラメント |
カソード |
2 |
6 |
|
|
○ |
|
|
・等価真空管を用いて調整する。等価真空管の回路とTV-7D/Uへの接続を下図にし示す。
・プッシュボタン1を押して、ラインアダジャストでメータ指示が60目盛になるようにあわせる。電極設定用 ロータリスイッチを“HS5-3460”に設定する。バイアス(Bias)つまみ、シャント(Shunt)つまみの目盛は0に セットする。
・トランス2次側が50VACになるようにスライダックを調整する。
等価真空管回路によりキャリブレーション
・ファンクションスイッチはBレンジにセットする
・プッシュボタン3を押して、メータ指示値が40±0.5目盛になるように、半固定抵抗R113、R115を調整する(指示値が40.5より大きくなったときは、R113を調整。39.5より小さくなったときは、R115を調整する。)
R113,R115を調整
・ファンクションスイッチをCレンジにセットする。プッシュボタン3を押して、メータ指示値が20±0.5目 盛になるように、半固定抵抗R113、R115を調整する。
・同様にファインクションスイッチDレンジ、Eレンジ、Fレンジでプッシュボタン3を押して、メータ指示値 が40±0.5目盛になるように、半固定抵抗R113、R115を調整して収束させる。
・フアンクションスイッチをAレンジにセットする。プッシュボタン1を押して、ラインアダジャストでメー タ指示が60目盛になるようにあわせる。
・シャントつまみを回して目盛が90の位置にあわせる。
・USソケットの3番ピンと6番ピン間に6KΩの抵抗(12KΩの並列接続)を接続する。
・プッシュボタン3を押してメータの指示が0±2目盛になるように、シャントコントール用可変抵抗の巻き線を調整する。この巻線調整は、ボリウムの裏側のキャップ(缶)のはんだ付けを外して、中の巻線を調整します(通常は、この調整は初期の設定で変化していることはないはずですので、さわらなくてもOKです)。
この調整には、6L6が必要です。無い場合は、6L6と等価(たとえば807など)か近い特性の真空管などで代用ができますが、そのときのロータリスイッチの設定は、条件データブックの設定にすること。
・プッシュボタン1を押して、ラインアダジャストでメータ指示が60目盛になるようにあわせる。電極設定用ロータリスイッチを真空管6L6の条件である“HS5-3481”に設定する。
・バイアス(Bias)つまみの目盛は100に、シャント(Shunt)つまみの目盛は0に設定する。
・ファンクションスイッチをBレンジに設定する。
・プッシュボタン3を押して、メータの指示値が120(フルスケール)になるようにバイアスつまみをあわせ る。
・ファンクションスイッチをレンジCに切り替える。・プッシュボタン3を押してメータの指示値が60になる ように、半固定抵抗R114を調整する。
以上でひととおりの調整は完了です。
ここでの説明はTV-7D/Uを例に説明しましたが、シリアル番号が1201以降のTV-7A/UおよびTV-7B/Uの機種は、ほとんど同じ手順でできます。ただしTV-7/Uの初期型およびTV-7A/Uのシリアル番号1200以前の機種だけは、半固定抵抗だけの調整ではありません。固定抵抗を交換するか、並列、直列に抵抗を追加するなどの方法が必要です。シリーズによる調整方法の違いや調整に必要なパーツの場所など詳細な説明が下記のドキュメントに記載されています。所在はGoogleなどの検索サイトで調べると、いっぱいヒットしますので、適当なところからダウンロードされることをお勧めします。
参考ドキュメント
TM11-6625-274-35Department of The Army Technical ManualField and Depot Maintenance ManualTEST SETS,ELECTRON TUBE TV-7/U TV7A/U TV-7B/U AND TV7D/U
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