2000.1.29 /updated

 

お待たせしました!!
2000.1.1 On Sale
待望の2nd Album「LOVE IS THE MESSAGE」の鯰流ライナーノーツ&感想!

前作「Mother Father Brother Sister」から約1年半、待望の2ndアルバムがお披露目されました!去年の春あたりから、「ニューアルバムは、いつだいつだ??」って噂が飛び交ってましたが、ようやくリリースとなりました。待たされた時間が長かっただけに、お世辞抜きでかなりの力作となってます。Misiaのファンの方には勿論のこと、ファンじゃない方にもオススメのアルバムだと思います。まだ持ってない方は、今すぐCD屋さんにGO!!

 


BVCS-21014(74321-72895-2) \3059(in tax) BMGファンハウス

01 OPENING
02 BELIEVE
03 sweetness
04 It's just love
05 Sweet pain
06 アツイナミダ
07 雨の日曜日
08 愛しい人
09 あの日のように
10 花/鳥/風/月
11 One!
12 忘れない日々

(additional track)
13 LOVIN’YOU(MISIA 1999 LIVE VERSION)


鯰なりの率直な感想です。(※著作権の問題が絡んでくるので、歌詞やメロディの掲載は出来ませんが、「あ、こんな感じなんだー!」って分かって頂ければ幸いです。)
※シングルに収録されている曲のライナーノーツは、簡略化させていただきます。

 

@ Opening〜A BELIEVE〜Bsweetness
このアルバムを買った人が、普通まず最初に聞くのがこの部分だと思います。というより、このアルバムは、好きな曲だけをピックアップして聞くよりも、最初からノンストップで聞いてもらいたいと思います。というのも、このアルバムは、曲と曲のつながりや「流れ」をすごく大事にしてるからなんです。

まずTrack@では、飛行機の機内(?)と思しきSEが入っており、そこに外人男性の声で「Love is…the message…Love is…loving you」という謎の語りが入ってきて、間もなくして飛行機が大空に向かってテイクオフ…そしてBELIEVEのイントロが聞こえてきます。よく聞いてもらえれば分かるんですが、BELIEVEのイントロのドラムソロの部分は、シングル版よりも2小節長くなってます。

このアルバムの雰囲気を出来るだけ心の中でビジュアル化してもらおうという製作者側の心配りだと思いますね。まさにジャケットの写真(雲の上をMisiaがボートで漕ぎ出す写真)を音で表現したらこうなるんだろうなあって感じの作りです。

そして、BELIEVEが終わって、飛行機が飛び立つ音が入り、クロスフェードするようにsweetnessのイントロが入ってきます。この辺のつながりも良く出来てるなあって感じました。

1stアルバムでは、アップテンポの「K.I.T」がオープニング曲になっていて、Misiaの力強さが前面に押し出されてましたが、今回はBELIEVE〜sweetnessというように、ミディアムテンポの曲からスタートしており、しっとりと歌い上げるイメージ、前作よりも大人になったイメージを醸し出しているように感じました。

 

CIt's Just Love  (6’24”)
作詞:Misia 作曲:Misia、島野聡 編曲:島野聡

前作から比べて、Misiaの成長が顕著に表れた作品だと思います。
ミディアムスローのギターバラードです。アコースティックギターが前面にフィーチャーされた切ないバラードです。「キスして抱きしめて」が好きな人は気に入ると思います。

この曲のいい所は2つ。まず、「生」の感覚を生かしてる点。Misiaの曲は、アップテンポの曲だったら打ち込み音楽中心で機械的でカッコイイ感じに仕上げたり、逆にスローテンポで聴かせる曲の場合は、演奏のライブ感を生かした仕上がりになったりと、その使い分けが上手いんですね。この曲は、しっとり聴かせようというする為、ギターの音でも、フレット操作の「キュッキュッ」というノイズ音もちゃんと入っていて、むしろその音がいいアクセントにもなってます。

もう一つのいい点、それは情景がはっきり分かる詞。「忘れない日々」のライナーノーツにも書きましたが、Misiaが見たこと、感じたこと、伝えたいことをストレートに詞にぶつけたスタイルが新鮮でいいと思いますね。例えば、別れた彼の思い出に浸りながら、電話に自ずと手が伸び、自分の指が覚えてる彼の電話番号にダイヤルしてしまいそうな…という内容の歌詞(←著作権の関係で、詳しくは書けませんが…)は、うまく出来ているなあと改めて感じました。

この曲は、化粧品のCM(松嶋菜々子の「ななこなでしこ」)で使われてます。

 

DSweet Pain  (6’22”)
作詞:Misia 作曲:筒美京平 編曲:島野聡

あの日本歌謡界の大御所、筒美京平氏がMisiaのために曲を提供してくれました!

筒美京平氏といえば、鯰が生まれた頃から歌謡曲の作曲をしてた方で、古くはいしだあゆみの「あなたならどうする」とか、あのおなじみの「サザエさん」の主題歌(♪お魚くわえた…)を作曲したり、80年代のアイドルに楽曲を多く提供している偉大な作曲家です。最近ではNOKKOの「人魚」とか、藤井フミヤの「タイムマシーン」などの作曲も手がけていて、今だ第一線として活躍中の方です。

最初、筒美京平氏の曲ということで、歌謡曲チックなものが出来上がるとばかり思っていたのですが…、見事なディスコサウンドで、正直圧倒されました!

この曲は、70年代風のミラーボールギラギラのディスコサウンドです。(←サタデーナイトフィーバーとか、「ザッツザウェイ、あはあは!」みたいな感じ)DDRの好きな人には絶対オススメです。鯰的にはこの曲にDDRの脚譜を付けたいですね。(「たんたん、たたたん」っていう8分の3連打がピッタリ合いそうですね。)Misiaサウンドお得意のストリングス生演奏(ストリングスアレンジは鷺巣詩郎氏じゃなくて、筒美氏本人によるものです。)が入っており、本当にファンキー(そういう表現がぴったりだと思いますね)な曲に仕上がってます。ストリングスの演奏は、98年の武道館ライブで生演奏した「Royal Mirror Ball Orchestra」によるものです。

曲も力強いですが、詞も力強いです。「戻れない」「振り向かない」「思い出したりしない」「投げつけたい」…などなど、意志がはっきりした言葉が多く出てきます。音的にも、上手い具合に韻を踏んでいて、歌としてのアソビの部分も大切にしてると思いますね。

曲がフェイドアウトして、Interlude(「sending my love」)が入ってきて、次の曲へとつながります。(Across The Viewのジングルっぽいですね。)

 

E アツイナミダ(6’27”)
作詞:Misia 作曲・編曲:佐々木潤

最近の流行のR&B色が一番色濃く出た作品だと思います。音作りとしては、TLCの「No Scrubs」を彷彿させますね。出だしからギターのアルペジオと「シュビドゥン ダバダン ダバデーオ…」というMisiaのバックコーラス(多重録音で5和音位?)で始まり、かなりインパクトがあります。全体的な音作りは、ピアノと生ギターとMisiaのコーラスと打ち込みのドラムとレコードのスクラッチという、クラブ系を意識した、シンプルながらも洗練された感じです。全体的に高音が強調されて、軽めの印象に仕上がってます。

この曲の醍醐味は、やはりMisiaのコーラスです。コンサートに行かれたは分かると思いますが、Misiaという人は、絶対音感の持ち主だと思うんです。バックの伴奏なしでも、音程が全然狂わないんですね。歌が上手いからこそ、Misia一人の声で多重録音で見事にハモれるんだなあと改めて感じてしまいます。

この曲がフェイドアウトして、雨音が入ってきて、次の曲へとつながります。

 

F 雨の日曜日(4’46”)
作詞:クロスチヒロ、Misia 作曲:楠木達志 編曲:松井寛

一番Misiaっぽいなあと感じた曲です。「つつみ込むように…」や「小さな恋」と同系統のミディアムテンポのsweetな曲です。世間一般の人が抱いている、Misiaの曲のイメージに一番ぴったり合っている曲だと思いますね。

詞の内容は、早い話が失恋ソングなんですが、一日も早く立ち直って、次の恋愛につなげよう、もっと大きな自分になろうという、非常に前向きで、元気を与えてくれる曲です。「止まない雨はない」ってことですね。1コーラス目と2コーラス目の歌詞が対照的なのも特筆すべき点でしょうね。1コーラス目は、失恋で落ち込んで、心の中も詞に描かれている風景も暗くて湿っていますが、2コーラス目では、この湿って重い空気を一掃しようと窓を開けて、新鮮な朝の空気を吸い込んで、次の自分へと進もうとしています。

 

G愛しい人  (5’05”)
作詞、作曲:Misia 編曲:百石元

sweetnessのカップリング曲です。また、99年夏のツアーに行かれた方なら、記憶にありますよね。そう、アンコールで初披露されたあの曲のオリジナルです。(ちなみに、ツアーの中で録音されたライブバージョンは、「忘れない日々」の方に入ってますので…。)軽快なミディアムテンポで、「恋する季節」っぽいなあって感じました。

出だしの「Hi,Darlin〜Oh,Darlin」というMisiaのウィスパーボイスが、今までになくsweetですね。曲も終始その甘い雰囲気を大事にしています。音的には、乾いた感じで、エコーやリバーブは控えめで、からっと爽やかな感じに仕上がってます。アコースティックギターと生ピアノが前面にフィーチャーされてて、甘い雰囲気のギターポップに仕上がってます。そんな甘い雰囲気の中でも、サビの部分のコーラスが重厚だったり、1コーラス後の間奏でエレキギターとオルガンが絡んでくるあたりは、力強さも感じさせます。(ちょっとアメリカンロックの雰囲気も入ってますね。)緩急をうまく使い分けたなあという感じの曲だと思いました。

この曲の後には「so in love with you」というinterludeの曲が入ってきます。そして川のせせらぎの音が入ってきて、次の曲へとつながります。

 

Hあの日のように  (5’32”)
作詞、作曲:Misia 編曲:島野聡

Misiaにとっての心の歌といえば、Minnie Ripertonの「Lovin' You」ですが、この曲は「Lovin' You」を強く意識して作られたスローバラードです。川のせせらぎの音が曲の最初から最後まで入っており、エレクトリックピアノの音が強く前面に押し出されているあたりは、小鳥のさえずりとエレピが前面にフィーチャーされている「Lovin' You」と相通ずる所があります。作詞作曲はMisiaですが、Misiaがやりたかった音楽なんでしょうね。思い入れの強さが伝わってきます。

この曲も失恋ソングなんですが、「雨の日曜日」とは対照的です。終わった恋にいつまでもしがみついて、あの日のことを思い出す内容の詞です。

この曲は、「間」を大事にした曲だと思いますね。曲の最後の歌詞の部分が終わった後のエンディングの部分が1分以上もあるんですね。切ない雰囲気がよく伝わってくる作りになってるなあって感じました。

 

I 花/鳥/風/月【hana tori kaze tsuki】 (5'53'') 
作詞:クロスチヒロ/作曲:Misia、松井寛

BELIEVEのカップリング曲です。

まず、曲のタイトルなんですが、「かちょうふうげつ」ではなく、「はな、とり、かぜ、つき」と読んで下さい。このタイトルからは想像つかないと思いますが、70年代風のソウルナンバーです。メロディは、Misiaと松井寛氏(「Into the light」の作曲者)による合作です。懐かしさのなかに新鮮さを感じる一曲です。女性のコーラスが何ともソウルフルですね。

「花鳥風月」とは、本来、「自然界の景色」とか「風流」のことを意味しますが、この曲の「花/鳥/風/月」とは、「風のように、花のように、飾らないピュアな心でいよう。月のように、鳥のように、夢見る心を忘れず、この思いを届けよう。」という心の叫びを表しています。本来の「風流」を描いた上に、Misiaの心の叫びを重ねたところに、この曲の上手さを感じますね。

 

J One!(5’57”)作詞:Misia 作曲:松井寛 編曲:松井寛、鷺巣詩郎

Misiaの原点に帰った曲ですね。作曲は「Into The Light」の松井さん、ホーンアレンジは「Never Gonna Cry!」や「Melody」でおなじみの鷺巣さんという組み合わせです。

曲は70年代ディスコ調で、「Never Gonna〜」の続編といった感じです。70年代のディスコナンバーが好きな人は絶対気に入りますよ!ホーンアレンジが「Never Gonna〜」よりも派手で、きらびやかですね。渇いたドラム音にハンドクラップが入って、70年代ディスコのお約束がぎっしり詰まった楽しい曲です。後半の「You're〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜my love,the only one」というフレーズが、遊び心たっぷりで、しかもMisiaの本領発揮って感じがしましたね。詞の内容ですが、この曲調の勢いの良さと同様の内容になってます。「世界で一番のあなたに、いつもそばにいて欲しいーーー!」って感じですね。オーケストラのアレンジは、ほんと最高の出来だと思いますよ。

 

K 忘れない日々 (5’48”)
作詞:Misia 作曲:松本俊明 編曲:阿部潤

「One!」のきらびやかな雰囲気から一変します。木枯らしの音が入ってきて、イントロが流れます。木枯らしの音がいい雰囲気を醸し出しているような気がします。

99年夏のツアーに行かれた人は、この曲を椅子に座ってゆったりとした気分で聴きましたよね。
あの時のアレンジは、David Foster調の正統派バラードといった感じだったと思います。しかし、このバージョンは、あの時のいい雰囲気を残しつつも、R&Bテイストを大切にしています。Drum'n Bass調の、ドラムの打ち込みが非常にアクセントになってます。ドラムのリズムも所々3連符が入ってたりして、複雑になってます。コンサートの時と印象がかなり違ってましたね。打ち込みを多用した、Babyfaceっぽいアレンジになってますね。コンサートの時は生ドラムで、ずっしりと重厚なイメージでしたが、打ち込みのスネアドラムの音と、所々に入っているトライアングルの音が、非常に乾いて軽い音なので、マライヤ・ホイットニー系の「力で押しつける」バラードとは違い、あっさりと聴けるなあという感じですね。押し付けがましくなく、自然体で聴けるバラードだと思いました。

 

L Lovin' You (Misia1999 Live Version) (6’08”)
作詞・作曲:Minnie Riperton、Richard J Rudlph 編曲:阿部潤

一本取られました!(笑)

この曲は、99年夏のツアーで、アンコールのラストに演奏された曲です。この曲の前には、「愛しい人」が演奏され、そのライブ版がシングル(忘れない日々)のカップリングとして収録されるということで、舞台脇から録音機材が物々しく出てきてセッティングされたんですね。てっきりライブ版は「愛しい人」だけだと思ってたんですね。「愛しい人」の演奏が終わった後も機材が撤収されなかったのは、こういうことだったんですね。

録音されたのは、99年8月31日の東京国際フォーラムです。ちょうど鯰が行った日なんですね!あの時の感動が蘇ってきます。

先ほども書きましたが、Misiaが一番お気に入りの、Minnie Ripertonの「Lovin’You」を、阿部ちゃんのピアノだけで歌うというものです。オリジナルよりもテンポをグッと落とし、じっくりと聴かせてくれます。ラストのアドリブが、Misiaの歌手としてのプロ根性を強く感じます!

ちなみに、あの日、コンサートの後、ゲーセンに行って、Beatmania2DXの「Lovin'You」(Monday満ちるがカバーしたバージョン)を初めて演奏し、「同じ曲でも随分違った印象だなあ」って強く感じました。


鯰多忙のため、ちょっと(いや、だいぶ)遅れましたが、ライナーノーツ、完成しました。

今回のアルバムも非常にいい出来だったと思います。MFBSで確立したMisiaスタイルを上手く継承し、発展させていったなあと強く感じました。

冒頭にも書きましたが、このアルバムは曲と曲のつながりや「流れ」を非常に大事にしています。暇がある時に最初からノンストップでじっくりと聴き込んでみて下さい。