File No. 004 /1998.3.1
★「やっら、やっらよー!」長野五輪に行って来たゼ!
仕事上、休みの不規則な私ですが、丁度長野オリンピック期間中に、運良く3連休が取れました。とはいうものの、急な3連休のため、一緒に行く人がいなかったのですが、一人でもオリンピックに行っちゃえ!ということで、一路長野へ行ってきました!
2月15日(日) 晴れ
14:30 八王子から特急「スーパーあずさ」で松本へ向かう。
16:30 松本着。松本なら、長野よりちょっとは空いてて宿が取れそうだと思っていたが、甘かった。丁度その日は、ジャンプラージヒルで、船木と原田がメダルを獲った日。白馬から大糸線で戻ってきた人達でごった返していた。
18:00 松本駅の喫茶店でホットコーヒーを飲んだ後、特急「しなの」で、とりあえず長野へ向かってみることにした。
19:00 長野着。松本以上に人でごった返していた。そりゃそうだ。日本全国から集まった観光客、外国人観光客、ボランティア、選手が一堂に会している訳だから。とりあえず、腹が減った。何か食おう。そう思った私は、海のない長野で、何故か回転寿司を食べる。でもうまかった。特にボタンエビ。
20:00 半ば途方に暮れた私は、とりあえず出来立てホヤホヤの新幹線に乗ってみるべぇと思い、新幹線で1駅隣りの上田へ向かうことにした。が、始発駅にも関わらず、座れない。ラッシュの小田急線状態だ。ただ、異様なのが、外国人の比率が高いということ。車内には、英語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語が飛び交っている。何を言ってるんだかさっぱり分からない。でも意味なく楽しそう。そんなことを思っているうちに、上田に着く。その間わずか十数分。
20:30 上田駅前を見回して、どこか泊まれそうな所を探してみる。すると程なく「サウナ&カプセル」の文字を発見。早速向かってみる。運良く入ることが出来た。しかし、カプセルは満室のため、サウナの休憩室で雑魚寝ならOKとのこと。ひとっ風呂浴びた後、休憩室でビールを飲みつつBSのオリンピック中継を見る。
0:00 いい加減眠くなった私は、仮眠室に移り、寝ることにした。が、眠れない。隣りのオヤジのいびきやら空調機器がうるさい。しかも、毛布1枚じゃ寒い!よく眠れないまま朝を迎えることに。
2月16日(月) 晴れ
6:30 起床。仮眠室のベッドは、敷布団が敷いていなかったので背中が痛い。急いで身支度を整えて長野行きの電車にのらなきゃ。
7:40 上田駅から「しなの鉄道」(いわゆる一つの在来線。新幹線開業後に第3セクターの私鉄になった。)に乗る。丁度朝のラッシュで、サラリーマンや学生で賑わっていた。首都圏の殺人的ラッシュとは程遠いが、座れない。通勤快速のため、長野までノンストップ。快調に信濃路をかっ飛ばす。
8:10 長野着。電車を降りると、ホーム前方に立ち食いそば屋を発見。そばの名産地でそばを食わない手はない。早速かき揚げそばを注文し、つるつるとかきこむ。立ち食いとはいえ、なかなかレベルが高い。さすがは長野だ。香りと歯ざわりが違う。
8:30 重い荷物をどうにかしようと、駅待合室のコインロッカーの空きを探す。が!1個も空きがない!ロッカーの管理人のおっちゃん曰く、テロ防止の為、危険物が入れられないよう、意図的に封鎖しているのだとか。(それでも、観光客の為にいくつかは空けている。)んー、やむを得ない。
それにしても、この待合室には、なんともバラエティに富んだ方々が多いこと!やっぱり長野にもいましたね、ワンカップ大関片手に朝からヘベレケになってるオヤジ。寝袋で寝ている白人青年、コンビニで買った食パンにMyバターナイフでピザソースを塗って食べてるアメリカ人夫婦、大胆にも待合室で着替えをしようとしている白人女性2人組…。ちょっと私にはついて行けない。
9:00 オリンピックのチケットを買わなければならないのだが、プレイガイドが開くのが10:00の為、それまで時間つぶしをしなければならない。待合室を出て、改札前の自由通路を見ると、何やら面白いモノを発見。銀行のキャッシュディスペンサーのような機械が3台並んでいる。「オリンピック・ビデオ・オン・デマンド・システム」なるもの。それは、その機械のタッチパネルを操作することで、オリンピックの結果や、感動の金メダルのシーンなどを目の前のテレビモニターで見ることが出来るというもの。早速私は、昨日の船木と原田の見事なジャンプを見る。そして、先日のスピードスケートの清水の華麗な滑りも見る。こりゃなかなか面白い。機械を適当にいじくってみると、東京オリンピックの映像も見ることができると分かり、100m走の映像も見る。まだ白黒だ。戦時中のニュース映画を見る気分だ。
10:00 丁度よく時間がつぶれたところで、チケットを買いに行く。駅前広場では、「ちけとー、ちけとー!」と外国人ダフ屋数人が叫んでいるが、そんなのには目もくれず、チケットぴあの窓口のある、「MIDORI」というダサい名前の駅ビルに向かう。当日券が買えることを期待していたが、それは無理だと判明。まあ、明日も休みだから、明日でもいいか。窓口横の競技スケジュールを見る。さすがにジャンプ団体は既に売り切れ。アイスホッケーは高すぎる。バイアスロンは地味すぎる。結局行き着いたのが、「複合女子回転」だった。値段も3100円、そこそこスピード感もあり、見応えがあるのではと考えたので、即購入。会場と開始時間を確認する。八方尾根スキー場・9:30開始…、「八方尾根ってどこだ?」と、壁に貼ってある地図を見ると、白馬村のジャンプ会場のすぐ近くだと分かる。ってことは、相当早起きしなきゃならないな。
11:00 無事チケットを入手した私は、「牛に轢かれて」、もとい、「牛に引かれて善光寺参り」で有名な善光寺へ向かう。参道には、やはり大勢の人だかり。お土産屋の軒先では、野沢菜や「おやき」、オリンピックのピンバッジなどを売っている。割と普通の光景だ。しかし、境内に入ると雰囲気は一変!入るといきなりカメラのクレーンが、そして横を見ると高そうな放送機材とパソコン数台が並んでいる。アメリカ3大ネットワークの一つ、NBCがここを拠点に放送しているのだ。丁度行った時も、夜のスポーツニュースの収録をしていた。でも、何で寺にスタジオを設けなきゃなんないんだ!?アメリカ人のこの感覚には理解に苦しむ。
その収録現場のすぐ横を見ると、もっと凄い光景に出くわす。オリンピックのTV中継を見ていると必ず出てくる、あの紋付き袴のオヤジがいるではないか!
観光客と一緒に記念写真を撮っている。(というより、撮られている。)ところで、このオヤジの正体は何?リレハンメルでもバルセロナでもソウルでもロサンゼルスでも見かけたぞ。オリンピックのない時期には何やってんだ?
まあ、およそ寺の境内とは思えない光景を見ることができて、いいんだか何だか…。
12:20 不思議な不思議な善光寺から歩いて数分の、ウチのスーパーマーケットチェーンの長野店を訪れる。外国人向けに、店内の案内表示に英語が併記してある。オリンピック観戦特設コーナーもある。手袋、ニットの帽子、使い捨てカイロ…、あれっ、防水スプレーがないぞ。防水スプレーも並べた方がいいんじゃないか?…いかんいかん、どうしてもお仕事の目でみてしまう。
13:20 スーパーを出て、近くのアーケード街の中にある中華料理屋に入る。店内のテレビを見ると、みのもんたが説教していた。あ、もうこんな時間か。あんかけラーメンを注文し、腹ごしらえする。
14:00 腹一杯になったところで、長野駅に向かって繁華街をぶらぶらする。途中で今日(2/16)の日付の入ったピンバッジを買う。これで1500円は高いような気がするが、記念だと思い、ついつい買ってしまった。
14:50 日も傾いてきたので、今夜の寝床を探そう。まずは、昨日泊まった上田へ向かおう。だけど、雑魚寝はもう嫌だから、昨日のサウナ以外を探そう。
15:30 上田着。早速ホテル探し。数軒当たるが、どこも満室。見事に玉砕。まあ、そりゃそうだ。たまたま昨日は運が良かっただけだ。仕方ない、戻るか。
17:00 長野に戻る。上田がダメとなると、どこに行けばいいんだろう?長野からさほど遠くなくて、外国人観光客が来そうにないところはどこだろう?そう思いつつ、分厚い時刻表の路線図のページをめくる。そして、決断を下す。「直江津」……ここなら、長野まで電車1本で1時間弱で来れる。しかも、あそこは新潟県だ。長野じゃない。外国人はまず寄りつかないだろう。一か八か行ってみるか。
17:50 特急「みのり」に乗り、直江津を目指す。
19:00 直江津着。改札を抜け、駅前に出ると、あまりの寂しさにびっくり。ここは佐渡の玄関口で、北陸方面の乗換駅だから、もっと開けててもよさそうなのに。商店街の店はどこもシャッターが閉まってる。飲食店も居酒屋以外は開いてない。寂しい駅周辺を歩くこと約10分、一軒のこぎれいなビジネスホテルを当たってみる。結果は、あっさりOK。読みは当たった。部屋の鍵をもらって、部屋に入る。割と新しくてきれいだ。よかった、今日はぐっすり眠れそうだ。
19:30 腹が減ったので、飲食店を探しにでかける。駅前は期待できそうにないので、駅とは反対の大きな国道の方を目指す。案の定、国道沿いの方が開けている。完全にロードサイド型の街だ。歩いて5分ほどで、「ガスト」を発見。夕食はガストお得意のハンバーグを頂く。
21:00 ひとっ風呂浴び、適当にTVを見る。
23:30 明朝は6:50の電車に乗らなければならない為、とっとと眠りにつく。おやすみなさい。
2月17日(火) 大雪!
6:00 起床。カーテンを開け、外を眺める。雪だ。しかも吹雪いてる。白馬も吹雪だったら最悪だなあ。
6:50 長野行きの普通電車に乗り込む。地方特有の手動ドアが何とも言えない。それにしても寒い!ドアの隙間から入り込んでくる冷気がたまらない。足元がスースーする。途中、通学時間帯のため、女子高生の集団が乗り込んでくる。驚いたことに、ミニスカートにルーズソックス、しかも生足だ。元気だねぇ!
8:20 長野着。例の待合室にある、立ち食いそば屋で海老天そばを注文し、急いでかきこむ。んー、暖まる!食べ終わって、ふと後ろを見ると、昨日の「ワンカップ大関」のオヤジが今日もいる。この人、一体何やってんだ!?
9:00 白馬行きのシャトルバスに乗り込む。ひっきりなしにバスが発車しているため、待たずにすぐ乗れる。
10:20 山道を走ること約1時間、白馬の「松川駐車場」という所で降ろされる。ここから先、ジャンプ会場も複合女子回転の会場も歩きになる。それにしても、この雪は激しい。前が見えない。しかも、この駐車場から八方尾根スキー場までは20分以上かかるとのこと。ひえええーっ!重い荷物を引きずりつつ、猛吹雪の中を必死で歩く。
10:40 スキー場までの道の途中に、スキー客用のレストハウスを発見。中に入り、暖をとる。頭はもはや藤本義一状態。頭上の雪を払い落とし、靴の中にもホカロンを入れ、寒さに備える。
ところで、今日はジャンプ団体の日でもあり、レストハウス内のテレビではジャンプの生中継を流している。中にいた人達は皆、テレビに釘付けになっている。丁度1回目のジャンプで船木が飛び終わったところ。日本は5位とのことだった。
11:20 やっとの思いで八方尾根スキー場に到着。それにしても、靴が普通の靴だった為、足が滑る。たどり着くまでに、思いっきりコケること3回。いずれも柔道だったら一本負けする位の派手なコケ方。かっこわりー!
入場ゲートで厳重なボディチェックと持ち物検査を受けた後、仮設の売店で長野名物の「おやき」を買う。代金を払おうと、財布を取り出し途端、足元が滑り、前のめりにコケる。その時に右のあばら骨を強打し、一瞬息苦しくなる。痛っってえええーーっ!!後にその痛さは2週間以上も続くことになる。
11:30 会場に入る。既に1回目の競技が終了し、2回目にむけて総勢約50人でコース整備をしている。その合間にちょっとしたDJと、会場内の巨大モニターでジャンプの中継を流している。渋い声のバイリンガルDJに、最新の洋楽からKinki
kidsまで…全く節操がない。
ジャンプで日本人選手が登場すると、DJは中断し、中継の音声に切り替わる。会場内の視線は巨大モニターに集中する。まずは葛西が飛ぶ。大ジャンプだ!会場内は大いに沸く。次は斉藤。これもデカい!メダルが見えてきた。さあ、次は原田だ。緊張なのか、寒いからなのか、顔がこわばっている。ゆっくりとスタート。テレビ画面を前にして、チアホーンの大合唱。そしてジャンプ!デカい、デカい、デカい!K点を大きく越え、測定に時間がかかる。1分後、ようやく距離が出る。136m!会場、再びチアホーンの大合唱。私も思わずシャウトする。そして、ラストは船木。相変わらずのきれいなジャンプ。K点は越えてきたぞ。125m。そして順位が出る。1位!やったぞ金メダル!船木はのけぞって喜び、他の3人の選手は船木のもとに駆け寄る。八方尾根でもチアホーンの大合唱と万歳三唱、そして「WAになって踊ろう」の大合唱。うぉーーうぉうぉーーー、さぁWAになって踊ろう、ランララランラーーラーー……両手を振って場内大合唱。オリンピックの感動を嫌というほど味わった。まあ、でもよかったよかった。リレハンメルの屈辱が晴らせて。
13:00 待ち時間1時間30分にして、ようやく競技再開。参加選手はわずか20数名。日本人選手はわずかに1人。(山川純子選手。)
これは、会場の様子。まあ、こんなもんです。悪天候のため、あんまりデジカメ撮影できなかったので、これでご勘弁を。
さて、競技の方はテンポ良く進む。左へ右へシュッシュッと音を立てて滑り降りてくる。速い!さすがは世界レベルだ。
13:20 あまりにテンポ良く進みすぎたので、競技が終わってしまいました!結果はドイツ人選手が金銀銅を独占。力の違いを見せつけた。それよりも驚いたのが、競技が終わった瞬間、周りにいたコース整備の人から審判から総勢約100人が、ゴール地点に駆け寄り、万歳三唱している様子だった。オリンピックの主役は選手達だけじゃないんだと改めて感じてしまった。
それにしても、待ち時間1時間30分・競技時間20分は、かなり御粗末!寒い中待たされたのに!
13:40 いい加減、寒いので、さっさと長野に戻ろう。会場を後にして、さっきの松川駐車場までえっちらおっちら歩く。雪はますますひどくなる。
14:10 途中休憩しつつも、松川駐車場近くまで到着。がっ!物凄い長蛇の列。長野行きのバスを待つ人達が列をなしていた。行列は一向に進まない。雪の激しさはピークに達し、頭は再び藤本義一状態に。
15:40 吹雪の中、待たされること何と1時間30分、ようやくバスに乗れる。頭の雪を払い落とすと、髪の毛が凍ってバリンバリンになっている。殆ど拷問だぁ!やっと乗れたバスも暖房の効きが悪く、腿から膝にかけて異常にスースーする。しかも渋滞でバスが進まない。地獄としか言いようがない。
17:00 やっと長野駅に到着。すっかり冷えてしまった為、駅の喫茶店でホットコーヒーを飲む。暖房が効いている!冷凍食品が電子レンジで解凍されるような気分だ。
18:00 予定としては、この後、繁華街にあるセントラルスクエアでジャンプの表彰式を見るつもりでいたが、さっきのダメージがあまりに大きかった為、さっさと東京に戻ることに決めた。明日は仕事だし…。
新幹線に乗り、一路東京を目指す。軽井沢付近の急坂もビュンビュンかっとばす。かつての在来線の面影はあったもんじゃない。テクノロジーの進歩やね!
19:50 東京到着。中央線と小田急線を乗り継いで、まっすぐお家へ帰る。
てな具合です。まあ、いろいろありましたが、一生の記念になりました。あらゆる意味で。