らいぶらりぃ
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レニングラード国立バレエ「白鳥の湖」

●日 時2000年1月29日(土)15時開演
●会 場神戸国際会館こくさいホール
●演 目チャイコフスキー/バレエ「白鳥の湖」
●出 演オデット/オディール:イリーナ・ペレン
ジークフリート:ドミトリー・ルダチェンコ
ロットバルト:イーゴリ・ソロビョフ
王妃:スヴェズダーナ・サリンバエワ
家庭教師:アンドレイ・ブレグバーゼ
パ・ド・トロワ:オリガ・ステパノワ
        アリーナ・ロパティナ
        アンドレイ・メリクリエフ
大きい白鳥:イリーナ・コシェレワ
      エレーナ・フィルソワ
      イリーナ・ニーロワ
      アリーナ・ロパティナ
小さい白鳥:ユリア・アヴェロチキナ
      ナタニア・ニキチナ
      ヴィクトリア・シシコワ
      イネッサ・ソブカ
二羽の白鳥:エルビラ・ハビブリナ
      ガリーナ・ラリチェワ
スペインの踊り:アレクセイ・マラホフ
        フョードル・シャチロフ
        ユリア・カミロワ
        アンナ・ノヴォショーロフ
ハンガリーの踊り:ロマン・ペトゥホフ
         エレーナ・フィルソワ
マズルカ:マリーナ・フォラトワ
     ニーナ・ハバノワ
     タチアナ・ミリツェワ
     ドミトリー・シャドルーヒン
     ヤン・スミルノフ
     ヴィクトル・イワノフ
     アンドレイ・クリギン
3幕4羽の白鳥:オリガ・プリギナ
        ズヴェズダーナ・サリンバエワ
        エレーナ・フィルソワ
        ユリア・カミロワ
セルゲイ・ホリコフ指揮レニングラード国立歌劇場管弦楽団

 最近、毎年のように来日している、レニングラード国立バレエ。今年は、来日回数が10回目を迎えたということで、いわば記念の公演であります。かつてバレエを習っていたことがあるという、妻と一緒に、行ってきました。

 さて、私自身はというと、生でバレエを見るのは、これが2度目です。ちょっとはバレエの魅力も分かるようになってはきましたが、それでも、まだまだ、技術的なことなど、分からない部分もたくさんあったりします。でも、今回の「白鳥の湖」は、さすがにバレエの定番と言われるだけのこともありますね、分からないなりに楽しむことができます。それも、レニングラード国立バレエですから、言うてみれば、お家芸的なものです。その美しい舞台に、はたと見とれてしまうのでした。何と言うても、随所で繰り広げられるバレエのどれもが、それはそれは優雅で美しいのです。どのバレリーナ達も素晴らしい技術を持っているのでしょう、各ソロになるところでは、ここぞと言わんばかりの美を表現しているかのようでした。

 特に印象的なのは、やはり主役のオデット&オディールを演じたペレンさん。昨年の来日公演の時にも同じ役で出ていらして、かなりの好評を得ていたようですが、今回もまた、素晴らしいダンスを見せてくれています。1幕のオデット姫の登場してくるところから、その華麗な容姿に加えて、表現力豊かな演技に、すっかり魅せられてしまいます。そして、圧巻は、何と言うても、お決まりの部分ですが、2幕でのオディールのソロのダンス。見ているこちらの方が目をまわしてしまいそうなくらいに、くるくると舞う、そのダイナミックさには、惚れ惚れとします。いや、実に素晴らしいものです。客席からも、盛んに拍手が起きていましたが、なるほど、これは確かにブラボーものですね。

 他の出演者達のダンスも見事なものばかりで、それはまさに美の競演というもの。1幕での農民達の踊りから、2幕での花嫁候補達の踊りに、スペインの踊り、ハンガリーの踊りと続く、様々な踊りは、雰囲気がそれぞれに変わっていき、見ていて、本当に飽きないものです。そして、やはり、会場にもいた多くの女性達が魅了されるというものが、白鳥達の踊りなのでしょうね。バレエを習っていますよ、というような感じの小さなお子さん達も会場には、多く見受けられましたが、そのような子達も、こういうものを見て、いつかは、ああなりたい、と思うのでしょうね、きっと。確かに、この”白鳥”というものは、バレエで表現しやすい題材だと思いますし、バレエの魅力を最大限に引き出すことのできるものであると思うのです。私も今までは、この「白鳥の湖」をあまり真剣に見たこともなく、せいぜい、音楽だけを聴いて楽しんでいたくらいだったのですが、これは、考えを改めないといけないのかもしれません。バレエの素晴らしさは、音楽にあわせて、オペラのように”言葉”で感情を表現していくのではなく、”肉体”を使って情景や感情を表現していくということにあり、それは時に、言葉以上に訴えかけてくるものがあるのだ、ということを、痛感するのでした。

 また、演出が素敵だったのも、よかったと思う点です。舞台美術が素晴らしすぎるというくらいの出来なのです。1幕では、あたかもそこに本当の木が生い茂っているかのようなリアルさ、また、湖の場になると、本当にそこの湖がさざなみを立てているかのようなリアルさ、2幕では、本当にぶ厚いカーテンが垂れ下がっているかのようなリアルさ、どれを取っても、これまで見てきたオペラ等と比べても、一番素晴らしいものだと思うのです。こんな舞台で演技をすることができるということは、バレリーナ達にとっても、素敵なことなのでしょうね…

 今回の来日では、この他にも、「くるみ割り人形」や「ドン・キホーテ」、「海賊」、「ジゼル」、「ファウスト」等も上演しているようですが、また来年等にも来日してきた時には、そうした、「白鳥…」以外の演目も見てみたいものです。11回目以降の来日公演も楽しみにしたいと思います。