らいぶらりぃ
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ポートピアニューイヤーコンサート2000

ロンドン・モーツァルト管弦楽団

●日 時2000年1月30日(日)15時開演
●会 場ポートピアホール
●出 演マティアス・バーメルト指揮ロンドン・モーツァルト管弦楽団
ピアノ:仲道郁代
オーボエ:宮本文昭
●曲 目モーツァルト/セレナード第13番ト長調K.525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
       ピアノ協奏曲第27番変ロ長調K.595
       オーボエ協奏曲ハ長調K.314
       交響曲第40番ト長調K.550

 イギリスで最も長い歴史と伝統を誇るという、ロンドン・モーツァルト管弦楽団の来日公演です。その小編成の室内オーケストラの音色は、どこか独特の響きを持っているようで、魅力的です。何と言うか、とっても艶っぽいんですね。とびきり上等のワインをいただくような、香しさというか、上品な色っぽさみたいなものを漂わせていて、それが、モーツァルトの音楽にぴたりと合っているのです。「アイクラ」からして、その色っぽさが前面に出ていて、なかなか素晴らしい演奏であったと思うのです。「40番」にしても、この曲自体が持っている繊細な美しさというものが、このオケの音色で見事に再現されていると思うのです。それは、まさに、これこそが本当のモーツァルト、と言うてもいいくらいのものです。

 そして、これに花を添えているのが、ソロのお2人。仲道さんのピアノは、いつものごとく、温かなで可憐な中に、しっかりとしたタッチの音色で、このオケの音色とうまく溶け合って、モーツァルトの音楽を作り上げています。演奏中に、じぃっとオケの方を見ていらっしゃる姿が、可愛らしかったりするのですが(失礼でしたら、ごめんなさい…)、そこには、神戸でずっとやっていらっしゃる、ベートーヴェンのソナタ全曲連続演奏会で見るようなお姿とはまた別の、モーツァルト弾き、としてのお姿があったと思うのです。ますます、その音楽に深みを加えてきた、ということでしょうか。久しぶりに仲道さんのピアノを聴いて、心洗われたような気持ちでした。

 一方の宮本さんのオーボエもまた、素晴らしいですね。今では、NHKの「あすか」のテーマ曲の演奏者としてもお馴染みですが、やはり、その演奏は、日本を代表するオーボエ奏者としてのものだけはあります。非常に深みのある音に加えて、そこに込める感情移入というものが、聴く者の心を捕らえるようですね。サイトウキネンでもお馴染みの宮本さんですが、ソロでの演奏は、初めて聴いたので、その演奏の内容の深さに魅了されたのでした。いや、素晴らしい。

 演奏会全体は、オール・モーツァルトということで、多少、辛いこともなかったではないのですが(^^;、それでも、これだけの内容で、存分にモーツァルトを味わうことができたと思います。ニューイヤーコンサートと言うには、ちょっと遅いような気もするのですが、素敵な演奏会でした。