1978年11月 初めての欧羅巴浪漫紀行の思い出

今は2005年...初めて海外に出かけたのは、成田空港が開港した1978年の事でした。

それからの四半世紀ほど、記録を残しているだけで40回以上の海外行。仕事が大半とは言っても、出発のフライト での軽い緊張感は、それがわずか90分の韓国・釜山行きでも変わりません。 否、緊張感よりも快感...かも知れません♪ そして出発の度に記憶の片隅から、初めての海外行の思い出が甦ります。

初めての海外行は“1978年”、2x才の秋(11月)! 最大手J社の“コンチネンタルルート10・ウィーン コース”。最大手J社のヨーロッパ5ヶ国を巡るツァーでした。

パスポートやイエローカード(予防接種証明)の準備も終えた11月3日...ガイドブックや旅行社発行の小冊子 などを見ながら、指折り数えていた“その日”をとうとう迎えたのでした。 まだ海外旅行が一般的でなかった当時、友人達からの餞別など、今考えればおかしくなる...そんな時代でした♪


11月 3日(金):晴  ☆午後、自宅から西国分寺駅まで車で友人が送ってくれる。   中央線で東京駅着後、リムジンバスで17:30東京シティエア・ターミナル(TCAT)着!   受付カウンターでチェックイン後2Fの待合室へ。既に同じツァーの人達が20人近く集まっている。単独参加、   友人同士、夫婦等、つい一瞬前までは、全く接点のない人達だったのを思うと、巡り合いの不思議さを感じる♪  ☆出国手続き後、リムジンバスで成田空港へ...余談だが、数年前に廃止になった箱崎のTCATでのチェック   イン、出国手続きは僕にはとても重宝だった。成田での出国が楽だし、時間を有効に使える。復活してほしい!  ☆成田・北ウィング着後、直接成田集合組と無事に合流!   メンバー確認、添乗員のO氏&N氏の挨拶後、各自出国&ターミナルへ...  ☆21:30、JAL(日本航空)423便アンカレッジ経由ロンドン(ヒースロー)行は定刻に離陸。ぐんぐん   高度を上げる。鼓動は高鳴り、喉が乾く...初めての国際線に、興奮、緊張と感動が入り混じる!   禁煙のサインが消え、更に安定飛行に入ると機内食...意外に美味しいと思ったものである(笑)。   因みに当時僕は、喫煙者だった。何も疑問に感ずる事なく、機内で喫煙していた事が今は恥ずかしい!  ☆日付変更線を通過し、同日午前9時、アンカレッジ着。   当時はモスクワ経由の同日着よりもアンカレッジ経由翌早朝着が、ヨーロッパへのメインルートだった。   白熊の剥製が睨みをきかせるアンカレッジ空港のトランジット・エリアは観光客で賑やかだ。免税店で、早くも   買い物に余念のない人も多い。  ☆90分のトランジット後、JL423は出発...マッキンリー山を巻く用に高度を上げる。


11月 4日(:曇り  ☆9時間のフライトの間、映画『グッバイガール』を見たり、またかなり眠ったはずであるが...朝食後、闇の   中に地上の灯りが...前の席のKさんと親しく話をする様になったころ、着陸の態勢に入るとのアナウンス!  ☆朝6時、定刻より少し早く、ロンドン・ヒースロー空港に到着。   入国審査後、バスで今夜宿泊の“タワー・ホテル”(現在は“シルス・タワー”)へ...早朝着で疲れている   人もいるので1時間の休息。僕は親しくなった、Kさん、Iさん、Oさん、Y氏とのおしゃべりで時間を潰す♪  ☆初めての外国の街、ロンドンは目に映るもの全てが新鮮だった!   通り一遍の名所観光だったが、ロンドン塔、バッキンガム宮殿。そして何よりテムズ河畔から見る国会議事堂と   ウェストミンスター寺院が印象的だった。  ☆それにしてもこの日の昼食は中華料理、夜は悪評高き(笑)ローストビーフ。   中華は、まぁ美味しかったが“何でロンドンで中華なの?”だし、ディナーのローストビーフはイマイチ。   それでも海外旅行初日...多くの感動を得た一日だった気がする。  ☆ホテルは、愛知から単独参加されたY氏と同室。さすがに疲れていたのか、すぐに夢の中★〜


  
国会議事堂とテムズ河(ロンドン 11/4)
  
バッキンガム宮殿(ロンドン 11/4)


11月 5日(:曇り  ☆朝食後、バスでヒースロー空港へ...10:35発OS(オーストリア航空)425便にてウィーンへ出発!   機内食の昼食後、13:45ウィーン・シュベヒャート空港着。イギリスとは1時間の時差があるため、2時間   ほどの快適なフライトだった。   簡単な入国審査。空港から市内までの車窓から見える牧草地や雄大な農地は、僕には初めての風景だった。  ☆ホテルは市民公園に隣接したインターコンチネンタル。アメリカ系のシティ・ホテルだが少々違和感を感じる!   チェックイン後は自由行動。   明日夜のオペレッタのチケット手配を依頼した後、同室のY氏と作曲家の銅像巡りに出かける。   市民公園の有名な“ヨハン・シュトラウス二世”,“シューベルト”,“ブルックナー”。ベートーベン広場の   ベートーベン像...リンク沿いに歩いてブルグ公園の“モーツァルト”、レコードのジャケットでおなじみの   作曲家像に感激する。更にザンクトシュテファン寺院の圧倒的な姿にも息を飲む。  ☆ウィーンの街並は中世の面影を残すために建物の高さ、色などが厳しく制限されていると言う。雑然としている   東京や日本の地方都市を思い浮かべながら、文化の違いでは片付けられない『何か』を感じた。  ☆夕食はホテルのレストランで“ウィンナー・シュニッシェル”。変哲のないカットレットである(笑)。   夜は一人で、ウィーンの街並を見ながらぶらぶらする。だいぶ旅にも慣れて来た様だ♪


11月 6日(月):曇り  ☆今日はウィーンとその周辺の観光...夜はオペレッタ観賞。楽しみである♪   朝食後、バスにて出発。  ☆ホーフブルグ、シェーンブルン宮殿、ベルベデーレ宮殿などを巡りつつハプスブルグ家の栄光に思いを馳せる!   シェーンブルン宮殿の豪華な装飾や、モーツァルトがマリー・アントワネットの前で演奏した部屋を回りながら   心は中世に...目を閉じれば、モーツァルトの数々のメロディーが甦る♪   中央墓地では、モーツァルトの記念碑に花を添える。不遇の晩年を過ごし、遺体も共同墓地に埋葬された天才は   意外に幸福な一生だったのではあるまいか...十字を切りながら、ふと思う。  ☆“トーキョー”という日本料理レストランでの昼食の後、ウィーンの森へと向かう。アルプスの末端とも言える   この丘陵にはただの森とは違った独特の雰囲気を感じる。   ハイリゲンシュタットでベートーベンの面影を追いながら、カフェで飲んだブラウナーは苦かった。  ☆夜、フォルクスオパー(国民歌劇場)にて、ヨハン・シュトラウス二世のオペレッタ“ジプシー男爵”を観賞♪   バルコニー席で、約3,500円相当だから、安い!   おなじみのメロディーの所では、手拍子やリズムを取る音が...クラシック音楽が普段の生活の一部になって   いる事を感じる♪  ☆夜、ベッドの中に入ってもまだ、メロディーが耳の奧に残っていた。


  
シュトラウス二世像(ウィーン 11/5)
  
シェーンブルン宮殿(ウィーン 11/6)


11月 7日(火):曇り時々晴れ  ☆今日はいよいよ幼いころから夢見ていた国、スイスに自分の足で立てる。昨夜は嬉しくて眠れなかった(笑)♪   ウィーン・シュベヒャート空港から、OS(オーストリア航空)211便に乗り込んだ瞬間から興奮気味。   隣はクルーシートで、客室乗務員の女性と色々と話をする。   当時は日本企業に勤めていて、英語も今ほど流暢に話せた訳ではなかったが、思いは通じた様だ(笑)♪  ☆定刻10:40離陸。30分ほどすると窓外に、雪を頂いた山々が展開する。アルプスに違いない!!   それが、ジルブレッタ・アルプスでもベルニナ・アルプスでも何でも良かった。   ともかく20年近く夢見ていたアルプスの山々が眼下に見えるのだ♪  ☆定刻12時、ジュネーブ・コアントラン空港に到着...一旦ホテル・ロイヤルに入り、すぐ市内観光へ!   スイスの地を自分の足で踏みしめている事が、まだ信じられない。明日は、ツァーの皆とは別行動。アルプスの   懐深く、一人で出かける予定である。   今からわくわくして、市内観光で訪れたレマン湖や国連の欧州本部の印象はほとんど残っていない(笑)。  ☆夕刻、明日乗る列車の切符を買いに、ジュネーブ・コルナバン駅に行く。窓口にて東インターラーケン駅までの   往復切符を発行してもらう。ドキドキしながら、切符を握りしめ、ホテルに戻る。  ☆ホテルで、パリにいる親戚に電話をしたいけど分からないというKさんをヘルプしたりする...   夕食は名物の“フォンデュ・ブルギニオン”。“こんなものかなぁ...”と言う感じ(笑)♪


11月 8日(水):晴(快晴)  ☆朝6時過ぎ、Y氏を起こさない様にそっと部屋を出て、まだ暗闇の中をコルナバン駅へと急ぐ。   一日の自由行動。出発前からプランしていたベルナーオーバーラント行き...心は踊る。   売店で買った地図を持って、6時47分発のインターシティに乗り込む。   定刻に発車...夜が明けるに従って深い霧が車窓から見える。時々霧の合間から見える朝日がきれいだ!  ☆8:41、ベルンで東インターラーケン行きに乗り換える。霧が晴れて青空が見える。   9:31、東インターラーケン着...ベルナーオーバーラント鉄道の切符を買い、ラウターブルンネン行きの   電車に乗る。木製の座席が新鮮だ。ほどなく発車。   霧はぐんぐん晴れて濃い青空の下に巨大な岩山が見えた。この時はこれがユングフラウだとは分からなかった!  ☆30分ほどでラウターブルンネン到着。巨大な滝が...シュタウプバッハだ。300mの落差に圧倒される!   更にBLM鉄道のケーブルカーでミューレンへ向かう。   高度を上げるに連れて、先ずユングフラウ、そしてメンヒ、アイガーが姿を現す。それは僕が持っていた、山に   対する概念を一変させた。その巨大な岩の迫力に息を飲む...言葉が出ないという感覚を初めて味わった。  ☆ケーブルカーからミューレンへの登山電車に乗り換える。台湾から来た青年と友達になる...こんな出会いが   旅に彩りを添えてくれる。   電車の左窓からのベルナーオーバーラント三山の姿は本当に美しい。ユングフラウの巨大な姿の迫力も驚きだ!   ミューレンまでの15分間は、まるで夢の様だ。本当に来て良かった...涙が溢れそうになる。  ☆11月のリゾートは人影も少なく閑散としている。それが逆にスイスの山村の素顔を垣間見せてくれている気が   する。すれ違う人と交わす挨拶も楽しい。  ☆ミューレンからは、支柱間の距離がヨーロッパ最長のシルトホルン・バーンのロープウェーで山頂を目指す。   シルトホルン(2971m)の頂上は雪が積もっている。007の映画でおなじみの“ピッツ・グロリア”にて   周辺の山々を眺めつつコーヒーを啜る♪   ヴェッターホルン、アイガー、メンヒ、ユウグフラウ、ブライトホルン...信じられない。夢ではないのか?  ☆台湾の青年と別れ、同じルートでジュネーブへと戻る。   東インターラーケン駅からベルンに戻る列車の中、車窓からはオレンジ色の夕陽を浴びたユングフラウ、メンヒ   そしてアイガーのオーバーラント三山が輝いて見える。ちょうど実家の山梨に帰る時、笹子トンネルを抜けると   展開する、赤石岳を主峰とする南アルプスの山々の景観とイメージが重なって、込み上げて来るものを感じた!  ☆ジュネーブ、コルナバンには8時前に到着。   ホテルに戻るとちょうど食事の最中だった。興奮しながら皆に説明する(笑)



ミューレンとアイガー(11/8)

ベッターホルン&アイガー(11/8)


11月 9日(木):曇りのち晴れ  ☆朝食後、バスでジュネーブ・コアントラン空港へ。   9時45分発AF(エールフランス)633便にてパリ、シャルル・ド・ゴールへと向かう。ジュネーブからの   パリ便に限り、ここで出入国手続きが行われる。つまり、国内線扱いになる訳だ。  ☆10時40分、パリ、ド・ゴール空港着! 未来都市を思わせる空港ターミナルだが、空港公団のストライキで   エスカレーター、歩道がストップしていて、ずいぶん長い距離を歩かされた(苦笑)。  ☆空港からはバスで簡単な市内観光に...コンコルド広場、モンマルトルの丘、シテ島を観光する。   途中、日本料理レストランで、和食の昼食。   モンマルトルの丘...IさんやOさんと一緒にサクレクール寺院とテルトル広場を回る。テルトル広場に集う   絵描き達。パリにいるという実感♪   しかし、とても半日で回れるはずもなく、明日の午後も市内観光をするとの事。  ☆ホテルは、モンパルナスにある“シェラトン”。ウィーンでもそうだったが、せっかくのヨーロッパ紀行なので   アメリカ系より“設備などは不便でも、古いホテルの方がいいなぁ”などと思ったりする。


11月10日(金):曇り  ☆午前中は、オプショナル・ツァーに参加。“ベルサイユ宮殿”に行く。   バスで30分ほど。外見から圧倒される...多くの絢爛豪華な部屋、マリー・アントワネット縁の部屋等々♪   一体いくらかかったのか...などと俗な思いが過ぎる(笑)。   ただ個人的には、東のベルサイユとも呼ばれる、ウィーンの“シェーンブルン宮殿”の方が好ましい。  ☆和食のランチボックスで軽くお昼を摂った後、昨日の続きのパリ市内観光♪   “ルーブル美術館”は楽しみの一つだった。   エントランス近く(と記憶している)の“ミロのヴィーナス”、“ナポレオンの戴冠式”、そして何と言っても   “モナリザ”。モナリザの前で20分以上、その神秘的な微笑みに見入る。  ☆パリ...そこは“憧れを映す街”。美しさそのものは、スイスの自然やウィーンの街並の方に軍配を上げる!   しかし、パリの持つ“得も言われぬ”魅力...芸術、歴史、カフェでのさりげないおしゃべり。   三分の一も分からないが、唄う様に流れるフランス語の会話...それ等は正しくパリのエスプリ。  ☆ディナーはシェラトン・ホテルのレストラン。   アンティパストのエスカルゴは、やけにスパイスが効いていた♪


  
ベルサイユ宮殿(11/10)
  
ルーブル美術館(パリ 11/10)


11月11日(:濃霧/晴れ  ☆本来は10時55分オルリー発のLH(ルフトハンザ)113便にてフランクフルトに出て、JAL446便に   乗り継ぎ、帰国の途に付く予定であったが、オルリー空港が濃霧で閉鎖。   何とバスでフランクフルトまで移動して明日の出発に変更である。オルリーのレストランで昼食。バスの出発は   午後6時との事なので、Iさん、Oさん、K氏と4人でもう一度パリに行く事にする♪  ☆タクシーで凱旋門まで出る。もう一度、シャンゼリゼをぶらぶらした後、メトロでAnvers駅へ!   モンマルトルの丘...何と、真っ青な青空の下にサクレクール寺院の白い姿♪   オルリーとの距離は、ほんの20km足らずのはずなのに、この天気の違いに戸惑う。  ☆4時過ぎ...パリの街並に別れを告げ、オルリー空港へと戻る。  ☆ルフトハンザの代替バスは、高速道路をひたすらフランクフルトに向かって走る。途中で2回ほどの休息と国境   での出入国手続き。   フランクフルト空港近くのホテルに入ったのは、日付が替わってだいぶ経っていた。時差ボケ解消のため起きて   いようと思ったが、いつの間にか夢の中☆〜


11月12日(:曇り  ☆あっという間の10日間。最後にちょっとしたアクシデントがあったものの、楽しい旅だった。   「もう少しいたい!」と思いつつ、ホテルからフランクフルト空港へ...既に、この時“来年も来るぞ!”と   心に決めていた。但し“ツァーではなく個人で”と...   11時30分発、JAL434便でハンブルグ、アンカレッジ経由成田へ向かう。


11月13日(月):晴  ☆15時、無事に成田空港に到着。   Kさん、Iさん、Oさん達と写真の交換の約束をして別れ、それぞれ帰途へ。

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