1983年5月、スイス&オーストリア(ウィーン)旅の記録

前回のスイス、と言うよりも“ヨーロッパ縦断”から2年。『スイスに行きたい病』が頭をもたげて来た!
実はこの2年の間に、今まで生きて来た人生最大の出来事があった。“転職”である。
1982年、伝統的な日本企業から、アメリカ系外資の会社に移ったのだ、エレクトロニクス業界と言った意味では
同じだが、カルチャーは全く異なる事を身を持って感じた。
そして、転職一年後・・・自分で言うのも恥しいが、この間で英語力は格段にUPした。
英語力UP(笑)、それと外資特有の長期休暇への寛容さ?も手伝って、2年ぶりにヨーロッパに行こうと思う♪♪
そして今回は、オーストリア(ウィーン)にも行きたい


5月7日(:曇り ●今回は、アエロフロート・ソビエト航空である。共産圏(当時)の航空会社は初めてて漠然とした不安感があるが  当日のうちにモスクワ到着、一泊(航空会社負担で)トランジット。いつも北回りなので、変化も付けたかった! ●リムジンバスで成田空港へ・・・当時、アエロフロートのチェックインは、JALが代行していた。  JALのボーディングパスに“SU582”とシート番号がボールペンでなぐり書きされている。  SU582は、イリューシン62型と言うソ連製の、後方に4発のエンジンが付いた、なかなかスマートな機材♪  騒音は大きいらしいが、機内はエンジンが後方のせいか、比較的静かな気がする。 ●定刻12時に出発。機内サービスは、普通の国際線である。但し、機内エンターテイメントは、ない!  エコノミーなのに、機内食にはキャビアの瓶詰が・・・モスクワまでの約10時間をのんびり過ごす。 ●モスクワ、シェレメチボ空港到着。24時間以内のトランジットなので、ビザが要らない・・・が、パスポートや  復路の航空券を全て、預けさせられる。大丈夫だろうか? 不安が胸の中に広がる。  空港も暗く、あちこちにマシンガンを持った兵士が。  ホテル・シェレメチボは、空港からバスで15分。ホテルから出ない様にと念を押され、部屋をアサインされる! ●同室の方は、明日、仕事でマドリードに行くとの事。安くて、意外に快適なのでアエロフロートを使うとの事。  晩ご飯は、ホテルのレストランだが、あまり印象に残っていない・・・  シャワーも熱いお湯が出ず、廊下で会った従業員には、物をねだられ、決して快適とは言えなかったが、ぐっすり  夢の中に落ちる☆ 明日はスイスだ (^^)V


5月8日(:曇り ■朝ごはんは、コンチネンタル・スタイル。パンは余り美味しくなかった。  バスで空港へ向う。チューリッヒ行き265便は9:35発。  パスポート、航空券を無事に返却され、チェックイン。機材は、ツポレフ154で何となくB727に似ている! ■定刻に出発・・・ポーランド、チェコ、オーストリアの上空を通過し、一路スイスを目指す。オーストリア上空を  通過する頃より、眼下にアルプスの山並が見える。もうすぐスイスだ。  チューリッヒ・クローテン空港には若干早く到着。シェレメチボと違い、明るい♪ 行き交う人達の足取りも何と  なく軽く見える。 ■今日は、チューリッヒに一泊。予約は入れてなかったが、観光局で手配してもらう。  旧市街の繁華街中心近くだが、ホテル・ゴールデン・シュヴェートは落ち着いた感じ。  旧市街、リマト川畔を少し歩く。グロス・ミュンスターの鐘の音スイスにいる喜びを感じる♪ (^^)  チューリッヒは、街そのものは「ビジネス・シティ」である。観光よりもヨーロッパ金融の中心のイメージ!  それでも、ほんの少し裏道に入れば、落ち着いた佇まいを見せてくれる。 ■日も落ちて、ホテルに一旦戻る。ぼ〜っとしていたら、モスクワでのトランジット等で気持ちも緊張していたのか  眠ってしまった。朝までぐっすりであった☆ ☆ミ


 
リマト河とチューリッヒ旧市街(5月8日)
  
ラウターブルンネンの村(5月9日)


5月9日(月):晴れ ◆今日はアルプスの懐へと入って行く・・・今回は飛行機以外、本当に何も決めてなかった。  チューリッヒ中央駅のチケット売り場に並ぶまで、まだ決断していなかったが(苦笑)、ラウターブルンネンまで  行く事に決めた! ◆チューリッヒを10時頃インターシティで出発、ベルンで乗り換えて、東インターラーケンへ。  ベルナーオーバーラント鉄道(BOB)でいよいよラウターブルンネンだ♪  シュタウプバッハの滝が迎えてくれる。1981年にも来ているので、とても身近な感じがする。  ラウターブルンネンならば、ホテルは『オーバーラント』に決めていた。まだ5月のオフシーズンなので、開いて  いるかどうか不安だったが・・・良かった、営業している様だ。 ◆早速、チェックイン。レストランでは、見覚えのあるウェイターが大きな体を揺らしながら接客している。  ハーフ・ペンション(朝夕2食付き)で2泊を予約♪ ◆まだ日も高いので、リッチュネンの谷をハイキングする事にした。  荷物を部屋に置き、谷の奥に向う道路を歩く。日差しは柔らかく、快適なハイキング。川の水音、小鳥の鳴き声♪ ◆30分ほど歩くと、トリュ−メルバッハの滝だ。氷河が抉った巨大な洞窟の中を凄まじい勢いで水が流れている!  ごうごうと音を立て、吸い込まれそうな錯覚を覚える。  対照的に、リッチュネンの谷は静かで素朴。ゆったりと時間が流れている様な感じだ。更に谷奥に向かって歩く♪  ミューレンへのロープウェー駅近く“ミューレンバッハの滝”は、ヨーロッパ最大の落差。300メートルを遙か  超える。シュタウプバッハほど有名でないのは、その位置と、水が岩に沿って流れ落ちている平凡な姿故なのか? ◆ミューレンバッハの滝から、更に30分・・・ステッチェルベルグだ。  リッチュネンの谷の奥深く、車はこれ以上奥には入れない。1,2軒の民宿があるだけの小さな集落。心落ち着く  村だ。スイスには、こうした宝石の様な村がたくさんある。 ◆さて、戻るとしよう。陽は陰り、一気に気温が下って来た。  ホテルの夕食は、お腹に落ち着いた。ワインも美味しく、やがて夢の中 ☆☆〜


 
リッチュネンの谷(5月9日)
  
登山道からのミューレン(5月10日)


5月10日(火):うす曇り ▲今日は、シルトホルン(2,971m)を目指そうと思う。勿論“行ける所まで”だが。  ホテルのレストランで朝食。空気が、そして何より景色がきれいなせいか、何もかもおいしい (^^) ▲満足の朝食の後、8時過ぎにホテルを出発♪  先ず、標識に従ってミューレン(1,645m)を目指す。ケーブルカーと登山電車を乗り継げば、約30分だが  以前から、歩きたいと思っていた。ホテルの脇から、ハイキング道に入る。  しばらくはアルム(牧草地)の中を登る。ラウターブルンネンの村並がだんだんと足許に見える様になる。  シュタウプバッハの滝も、横から眺める感じだ♪ ▲薄曇りだが雲は高く、展望は良好だ、ユングフラウ(4,158m)も全景が見える。  アルムを抜けると森の中に入る。しばらく登り続けると、やがて展望が開け、Grutshalpの南側に出る!  ここからは、登山電車にほぼ並行して作られたハイキング路をミューレンに向う。 ▲リッチュネンの谷を挟んで見える、ユングフラウ,メンヒ(4,099m),アイガー(3,970m)の姿♪  何度来ても感動のシーンだ・・・そして『アルプスの宝石』ミューレンの村並♪  ラウターブルンネンから3時間。曇っているが、山々は良く見える。 ▲シルトホルンへのロープウェー駅の中にあるレストランで、ピザの昼食。おいしい (^^)  昼食後、シルトホルンを目指して、登山道を登る。ミューレンの村並がどんどん下方になる。  残雪も多いが行ける所まで行こうと思う。が、森林限界を過ぎる辺りから残雪が多くなり、登山道を見失いそう!  振り返ると、ユングフラウに負けない高さにいる様な錯覚を覚える。さて引き返そう・・・これ以上は危険だ。 ▲ラウターブルンネンには、登って来たのとほぼ同じルートで戻る。映画のフィルムを巻き戻す様だ(笑)  夕刻、ホテルに戻って、少し早めのDinner。  ウェイターと時々言葉を交わしながら、飲んだワインのおかげでぐっすり眠れた ☆〜


5月11日(水):曇り ▼スイスに別れを告げ、オーストリアに向う日。思い切り寝坊して、9時ころの朝食。パンが美味しい (^^)  21:17チューリッヒ中央駅発『ウィンナワルツ』急行に乗る予定・・・10時にホテルをチェックアウト♪  ラウターブルンネンの谷を少し歩いて、別れを惜しみながらBOBの列車で東インターラーケンへ。 ▼インターラーケンは、登山電車の乗換と豪華なホテル群の街と言ったイメージでしか日本では紹介されていないが  ベルナー・アルプス登山の歴史以前から人々の住み着いた地域。『湖の間』の名前通り、ブリエンツ湖とツーン湖  二つの湖の中間に位置するのだが、淡水魚の漁業には歴史がある。今は、セレブの避暑のための街だが・・・  公園や遊歩道脇の花壇には、鮮やかに咲き誇る花々♪ 改めて歩いてみると、心地良い街だ (^^) ▼ふと目に付いたイタリア料理のお店で、パスタのランチ。かなり高かった割に味の印象はない (>_<)  午後、西インターラーケンからベルンへ。途中下車、ラウバン(アーケード)、石畳の道、街角に置かれた噴水♪  そして時計塔。600年以上の歴史が詰込まれた街だ。 ▼夕刻、チューリッヒ行きインターシティに乗り込む。スイスを離れる日は、次の訪問先がウィーンの様な魅力的な  街であっても寂しい (;o;) ▼チューリッヒ中央駅で、ウィーンまでの切符を買う。思い切って一等車である♪ 片道142.4SFr.当時の  レートで約¥17,000−ほど・・・今(2013年)だったら飛行機の方が安いかも知れない。  出発まで、まだ3時間もあるので、駅のビュッフェで夕ご飯を食べたり、周辺を散歩したりして時間を潰す。 ▼『ウィンナワルツ・エクスプレス』は、ほぼ定刻に入線、そして21:17、ウィーン西駅に向けて出発☆  6人のコンパートメントを一人で独占である♪ もちろん横になれる。  BGMにはウィンナ・ワルツが流れている。知っている曲ばかりだ (^^)V ▼『ウィンナワルツ・エクスプレス』と言っても、ごく普通の国際列車である。それでも、特別な列車に乗っている  気がする♪ スイスとオーストリアの国境駅Buchsの辺りでごく形式だけのパスポートチェック、それ以降は  のんびりと明日の予定を考えたりする。 ▼この列車は、深夜1:32にインスブルック、そして朝方5:02にザルツブルグに停車する。せめて駅名票だけ  でも見ようと思っていたが・・・夢の中(インスブルックは見た様な気がする)☆☆ミ


 
シルトホルン登攀途中(5月10日)
  
ウィーン行き切符
  
ベートーベン像(5/12)


5月12日(木):晴れ ■朝8:45、ウィーン西駅に到着。ほぼ定刻だ♪ ぐっすり眠れた☆  取りあえず“今夜のホテルを確保しなければ”と思い、駅構内のインフォメーションに行く。何人か並んでいたが  10分ほどで僕の番。いくつかの質問に答えた後『ホテル・オーストリア』を紹介される。そこにする♪ (^^)  まだ朝だが、チェックインもOKとの事。助かった♪ ■『ホテル・オーストリア』は、伝統を感じさせる落ち着いたホテルで、シュテファン寺院や市民公園にも近い♪  部屋に通され、先ずは天井の高いのに驚く! そしてバスルームの広い事。トイレも広くて落ち着かない(笑)♪ ■早速荷物を置いて、出かける。憧れのウィーンだ。ツァーで来た、1978年以来♪  先ずはザンクト・シュテファン寺院、荘厳なゴシック建築&140mの尖塔。その圧倒感に感動する。しばらくは  そこを離れられなかった・・・どのくらい、そこにいただろうか? ■気を取り直し、ケルントナー通りをホテル・ザッハーに向う。そう、ウィーンでの楽しみ“美味しいケーキ”だ!  午前11時前、空席はある様だ。宿泊客ではないが、入口で聞いてみると、感じの良いウェイターが「OK」と♪  伝統を感じるカフェだ。ここに来たからには「ザッハートルテ」。組合せはモッカ(Mokka)をブラックで♪  ザッハートルテに添えられているクリームをモッカに少し入れる。これをやってみたかった♪♪ ■一旦リンク(環状道路)に出て、市民公園へ・・・多くの作曲家達の銅像が置かれている事で有名だ。  シューベルト、最も有名な“ヨハン・シュトラウスU世”、ブラームス。市民公園の近くにはベートーベン広場♪  ここのベートーベン像もCDの写真などでお馴染み。 ■数々のコンサート・ホールも素晴らしい建築物だ。コンツェルトハウス、そしてかつて、クナッパーツブッシュや  ワルター、『カラヤン』が指揮を執った国立歌劇場(スタッツオパー)、更にモーツァルト本人が指揮棒を振った  ブルグ劇場・・・本当に、確かに僕はウィーンにいるのだ。心から歓びを感じる♪ ■ブルグ公園のモーツァルト像、これもCDのジャケット写真でお馴染み♪  ホーフブルグ、市庁舎、再びブルグ公園から市民公園へとウィーンを愉しむ。疲れたら、公園のベンチやカフェで  ひと休み。道行く人々や行き交うフィアカー(馬車)を見ながら、気分は100%ウィーンっ子♪  ■夜、ホテルのレストランで、名物の『ウィンナー・シュニッシェル』を食べていると、頭の中で音楽が巡り出す♪  ベートーベンのシンフォニー、ヨハン・シュトラウスのワルツ、シューベルトの室内楽曲、そしてモーツァルトの  ディベルティメント♪ 憧れのウィーンにいる感動に涙が出そうになる♪♪


 
国立歌劇場(5月12日)
  
モーツアルト像(5月12日)
  
シュトラウス像(5月12日)


5月13日(金):晴れ ●ヨーロッパを離れる日。憂鬱である (*o*)  朝食、9時過ぎにチェックアウト・・・エア・ターミナルは市民公園隣接のヒルトン・ホテル近くなので、歩く!  バスで、ウィーン・シュベヒャート空港へ。30分ほど、車窓からの田園風景がのどかだ。 ●シュベヒャート空港は(当時の)チューリッヒ同様に使いやすそうな雰囲気の良い空港だ♪  モスクワ行きSU262は、定刻12:35に離陸。機材のツポレフ134はDC−9に似ていた。  約2時間のフライトで、モスクワ・シェレメチボ空港到着。18:55発、成田行きSU581便に乗り継ぐ。


5月14日(:曇り ◆9時間30分のフライト! 10時前、ほぼ定刻に成田到着


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