1985年11月、晩秋のスイスへ・・・

11月、晩秋のスイスを訪れようと思う。
思い起こせば8年前の11月が、記念すべき“初めてのスイス”だった。緯度が高く、また標高が高いため、紅葉は
ピークを過ぎていたが、それでも赤く染まった落葉樹や黄色の絨毯を敷いたアルム(牧草地)♪
そして、すぐそこまでやって来ている冬を迎える準備に余念のない、谷間の村々。街は12月のクリスマスを迎える
までに仕事を片付け様と、活気に溢れている。ある意味、スイスが素顔を見せる時期。
観光客の姿が一時的に少なくなる11月、そんなスイスに触れたくて、旅立つ♪


11月 1日(金):晴 ●今回はキャセイ・パシフィック航空で香港乗り換え、フランクフルトがゲートとなる。  有給休暇を取り、昼過ぎに家を出る。スカイライナーで成田空港へ・・・チェックイン、出国手続きも無事終る♪  キャセイ(CX)505便は、18:00発。香港に向かって飛立つ。 ●約4時間半のフライトで、香港・啓徳国際空港へ。高層ビル群をかすめる様にアプローチする旧国際空港である!  2時間弱のトランジット・・・賑やかで活気のある空港だ。  そして23:10、中東・ダーランを経由してフランクフルトに向かうCX281は、定刻に離陸!


11月 2日(:快晴 ■サウジアラビア、ダーランにてトランジット。フランクフルトまでの乗客は「機内に留まる様に」とアナウンス!  少しアラブの雰囲気を感じてみたかったが、残念 (;o;)  90分後、最終目的地フランクフルトに向けて離陸。深夜2時過ぎ、食事は遠慮して、夢の中へ☆ ■8:50、ほぼ定刻にフランクフルト到着、一旦ドイツに入国である。  イミグレーション、税関・・・当時のチェックは緩かった様に思う。現在のフランクフルト空港でのセキュリティ  チェックは、アメリカ並に厳しい。スイス、バーゼルまでの列車のチケットを買うため、ドイツマルクに両替え!  空港地下にある、DB(ドイツ国鉄)の駅で、中央駅までの切符を買おうと券売機の地図を見ていたら、いきなり  怪しい英語で話しかけられた。切符の買い方を教えて、お金をせびる奴がいるとの話を聞いていたので無視する!  無事にフランクフルト中央駅まで移動、バーゼルまでの切符を購入する。65.2DM(マルク)だった。 ■バーゼルまでは、急行列車で約3時間強。車窓に、ヨーロッパの香りを感じる。田園、ブドウ畑、古い町並み♪  バーゼルのドイツ駅で入国、そのまま中央駅へ。ここからはスイス・ホリデー・カードが使える♪  午後遅く、11月のヨーロッパの日は短い。太陽は西に傾いている・・・今日はこのままベルンまで行こう! ■バーゼル〜ベルンは90分。過去の旅行で何度か使ったルートである。居眠りしつつ、列車の振動に身を委ねる♪  ベルン到着、駅構内の案内所でホテルを手配してもらう。  ホテル・コンチネンタルは、駅前の落ち着いたホテル♪ 設備は古いが、とても落ち着く☆ ■チェックインを終え、荷物を置いて、ベルン中央駅構内のレストランで軽く夕食。やっと落ち着いた (^^;


11月 3日(:快晴 ◆朝、カーテンを開ける。まだ薄暗いが空を仰ぐと快晴(^^)  朝食はコンチネンタル・スタイルかと思ったが、ハムやチーズ、フルーツも美味しい。旅先では食欲が進む♪ ◆ホテルをチェックアウトしてから、ベルンの街をたっぷり楽しもうと思う♪  有名な“マルクト通り”。石畳の道と両側のアーケード(ラウバン)の入り口には牢獄塔が。そして、グラム通り  入口に立つ時計塔・・・500年にも渡り、時を刻み続けている時計に中世の面影を見る。 ◆グラム通り入口から右に折れると、アーレ川に架かるキッフェンフェルト橋。橋の上から振り返ると、連邦議会の  優雅だが威風堂々とした姿、更に大寺院。  石畳の通りには、数々の噴水が置かれている。それぞれの噴水が600年に渡る歴史を、静かに物語っている。 ◆ベルン出発・・・BLS(ベルン=ロッシェベルグ=シンプロン鉄道)の急行列車でブリーグへと向う。  車窓にツーン(Tune)湖が見え、やがてシュピーツからは本格的な山岳地帯に入る。紅葉はまだまだ美しさを  十分過ぎるくらいに残している。感動の車窓風景が続く。 ◆ブリーグからは、もうお馴染みになったBVZ(ブリーグ=ヴィスプ=ツェルマット鉄道)へと乗り継ぐ。  ヴィスプ河の断崖に沿って、ツェルマットまでの90分は、何度通っても飽きさせない。  そして、快晴の空の下、ターシュの駅を出て、何度かカーブを曲がった直後、何の前触れもなく視界に飛び込んで  来るマッターホルン(4,478m)。初めて訪れた誰もが息を飲む瞬間である! ◆駅前通り沿いにある“ホテル・ダービー”に旅装を解く。  1979年以来、2度目である。予約はしてなかったが、記録が残っていたので、チェックインもスムース♪  夕刻のツェルマットを、少しぶらぶらする。郊外のヴィンケルマッテンからは、夕暮れのマッターホルン。明日も  天気は良さそうだ♪ ◆コースの晩ご飯・・・一人の食事は味気ないが、ダービーでは何故か落ち着く。ツェルマットの定宿になりそう♪


  
マルクト通りと時計塔(11月3日)
  
キッフェンヘルト橋から連邦議会(11月3日)


11月 4日(月):快晴 ▲ホテル・ダービーの朝ごはんで一番のお気に入りは、ハチミツをたっぷり付けたパン (^^)V  勿論、淹れたてのコーヒー、チーズも美味しい・・・そして、今日も快晴♪ ▲イタリアとの国境に近い、トロッケナー・シュテーク(2、939m)に登る。ロープウェーでだが!  ツェルマット郊外ヴィンケルマッテン近くのロープウェー駅から、青いカラーリングのロープウェーに乗り込む♪  往復で29.5SFr(スイスフラン)。高度を上げるに連れ、マッターホルンの姿が迫って来る。更にFuri  そしてFruggとロープウェーを乗換える。ブライトホルン(4、146m)の稜線も視界に入って来る! ▲標高3,000mに近い、トロッケナー・シュテーク。快晴である。  ヴァリス・アルプスの全ての山々が紺碧の空の下、全てを見せてくれている♪ ワイスホルン(4,506m)を  盟主とするワイスホルン山群、ドーム(4,545m)とミシャベル山群、更にヴァリスの最高峰4,634mの  モンテローザ・・・雪原の向うはイタリアである。 ▲マッターホルンは正面に東壁を見せている。きれいな二等辺三角形だ・・・この上ない、夢の様な時間♪  しかし、寒い。気温は氷点下。展望台のカフェに入って、少し早いが、サンドイッチとコーヒーでランチにする♪  快晴、ヴァリスの山々、暖かいコーヒー。夢ではないのか? ▲昼過ぎ、ロープウェーでツェルマットに一旦戻る。これから、スンネガ(2,300m)に行こうと思う。  地下高速ケーブルで10分足らず、マッターホルンが最も美しい角度で見えるお気に入りの場所♪  スンネガからはツェルマットまでトレッキング。先ず、フィンデルン(2,069m)まで下りる。ねずみ返しの  穀物小屋、小さな教会の向うにマッターホルンのツェルマットを紹介するパンフレットに必ず出て来るシーンだ♪  美しい。更に、崖にへばり付く様なトレッキング路。頼りない手摺り。一歩間違えば、500mの高さから転落! ▲11月・・・ツェルマットに戻った、4時頃には日が翳って来る。そろそろ家々の窓にも灯りが燈り始める。  ダービーに戻り、部屋でひと休みしてからDinner♪ ワインも料理も美味しい。今日は白身魚のフリッタ♪  ペルシェとの事。ワインの効果か、ゆったりと眠りに付く☆


  
マッターホルン東壁(11月4日)
  
ワイスホルン山群(11月4日)
  
ミシャベル山群を望む(11月4日)


11月 5日(火):曇り ▼目覚めると、外が暗い。昨日までの快晴から一転、雲が厚い。昨夜の予報でも低気圧の接近を伝えていた (>_<)  今日はベルナーオーバーラント=ラウターブルンネンまでの移動日だ。  スイスの朝ごはんを美味しくいただいてから、チェックアウト。再訪を約束して、出発。移動だけなので、雨でも  構わないが、スイスでは晴れてほしい!!  BVZの列車でブリーグへと、一昨日のルートを戻マッターホルンにお別れしたかったが、雲の中・・・ ▼ブリーグからも一昨日と逆に、シュピーツへと戻るのが最短だが、アンデルマット経由のルートを取ろうと思う!  実は今日のルートは一昨年までは、途中のフルカ(Furka)峠が豪雪地帯のため、10月〜4月の間は運行が  出来なかったのだ。しかし昨年、この間を結ぶ全長15.4kmのフルカ・トンネルが開通し、通年運行が可能と  なったのである。そこを通ってみたかった。トンネルなので天候も関係ないし(笑) ▼ブリーグからは、FO(フルカ・オーバーアルプ)鉄道の赤い可愛い列車。オフシーズンの今は運行本数が減るの  だが、それでもほぼ1時間ごとにある。スイスの鉄道は、本当に便利だ (^^)  途中の小さな村や町に停まりながら、1時間20分ほど走ると、オーバーワルド・・・ここから新線でトンネルに  入り、一気にリアルプ=Realpに抜ける。以前は50分かかっていた所を、わずか15分である。 ▼アンデルマットからは、FO鉄道の支線でゴシェネン=Goshenenに向う。わずか15分だが、この路線の  途中、ゴッタルド峠の谷に架かる橋が見える。「悪魔の橋」だ! 遥か昔、余りに難工事だったため、悪魔の力を  借りて橋を架けたのだが、その代償として「最初に橋を渡る者を生贄に捧げる」との約束をしたのだった。完成後  約束を果たせと迫る悪魔・・・そして最初に橋を渡ったのは、何と一匹の犬だった。  橋のたもとには、犬が悪魔に噛み付いているペイント画か描かれている。 ▼ゴシェネンからはSBB(スイス連邦鉄道)の急行で、アルト・ゴルドー乗換え、ルツェルンへ・・・残念ながら  ルツェルン観光の時間はない (ToT) ▼ルツェルンからは、インターラーケン・オストへと抜け、お馴染みのBOB(ベルナー・オーバーラント鉄道)で  ラウターブルンネンへ。今夜はここで宿泊する。18時・・・辺りは真っ暗である。  過去、2回ほど宿泊した、ホテル・オーバーラントはオフ・シーズンでクローズ。ホテル・シュッツェンに旅装を  解く。ここも、木造の山小屋の雰囲気を残した居心地の良いホテルだ。 ▼予報では、明日も天候は良くないらしい。こればかりはどうしようもない。晩ご飯の後は、早々とBEDへ☆


11月 6日(水):雨のち晴れ ●小雨が降りしきっている。窓を開けると、雲は厚いが、風を感じる。天候が回復する予感♪  お腹いっぱいの朝ごはんの後、クライネ・シャイデック(2,061m)まで登ってみる事にする。  ラウターブルンネンから、WAB(ウェンゲンアルプ鉄道)は、霧の中を登り続ける。晴れていれば、右側の車窓  いっぱいに、ユングフラウ(4,158m)の雄大な姿が展開し続けるのだが・・・(ToT)  クライネ・シャイデックも霧(雲)の中。オーバーラントの山々は、片鱗すら見えない。 ●売店で絵葉書を買って、カフェでコーヒーを飲みながら、旅先の思いを綴る (*^^*)  天候の回復は望めそうもないので、一旦ラウターブルンネンに戻る。しかし戻るまでの40分間に、視界が明るく  なって来た感じがする。風が少しずつ雨雲を東に追いやってくれているのだろうか? ●そうだ、ミューレン(1,645m)に行こう。僕は“アルプスの宝石”と勝手に読んでいる♪  BLM鉄道でケーブルカー、登山電車と乗り継いで30分・・・到着するのを待ちかねた様に、雲が切れ始めた♪  軽い登山の準備はして来ている。シルトホルン(2,971m)の南側を巻く登山道方面にルートを取る。  ラウターブルンネンは雨だったが、ここは雪だった様だ。足跡をトレース出来るし、シューズも比較的雪に対応が  出来るものを履いている。時間的にも装備的にも山頂までは不可能だが、行ける所まで登ってみるつもりだ! ●雪を被ったアルムから、岩場に差しかかる。森林限界を過ぎてからの状況から、2,200m辺りか? そろそろ  限界だった。振り返ると、アイガー(3,970m)、メンヒ(4,099m)の上空に青空が広がっている。  登山道脇の雪を一掴みして口に入れる。きのせいだろうが、甘い気がした♪ (^^) ●ミューレンのカフェでコーヒーを飲みながら、雲が戯れるベルナーオーバーラントの山々を見つめる。  明日は、フランクフルトに戻らねばならない。  ホテルに戻って、ディナー・・・スイスでの6日間を思い起こしながら眠りに付く☆☆ミ


  
シルトホルンへの登山道(11月6日)
  
ミューレンからのアイガーとメンヒ(11月6日)


11月 7日(木):曇り ■今日中にフランクフルトに戻れば良いので、少し寝坊(笑)する。  朝食をゆったりと頂く♪ 9時過ぎにチェックアウト、ラウターブルンネン〜インターラーケン・オスト乗換えで  ベルン経由バーゼルへと向う。バーゼルには昼過ぎに到着、遅めのランチ♪ ■フランクフルトを経由してハンブルグまで、ドイツを縦断する、インターシティ“Ratia”のバーゼル発車は  13:14にバーゼルSBB駅を発車する。バーゼルで、フランクフルトまでの切符を購入、60SFr.  定刻に発車、バーゼル・ドイツ駅で入国審査。どんよりとしたヨーロッパの晩秋の空。2日のルートを逆に辿る!  そしてほぼ定刻の16:15、威風堂々としたフランクフルト中央駅に到着する。 ■駅構内のツーリスト・インフォメーションでホテルを手配してもらう。  駅近く“エクセルシオール”を紹介されたが、伝統を感じさせるホテル。115DMなので、ホテルのランクから  すれば“お得”である。 ■晩ご飯は、駅構内のレストラン。カジュアルな服装でもOKだし、味に外れはない事は、過去の旅行で実証済み♪  そして深夜まで、たまたま知合ったドイツ人の方とおしゃべりとビールを愉しむ。  ヨーロッパ最後の夜は更けて行く☆☆〜


11月 8日(金):曇り ◆今朝も余裕の朝寝坊♪ 朝食もゆっくり味わい、9時過ぎにチェックアウト。フランクフルト空港まで列車で。 ◆香港行き、キャセイ(CX)280便は12:55発。  この便は、ダーラン経由で明朝9:40に香港到着・・・乗り継ぎのCX500、16:45発が予約してある!  香港市内の観光をするには中途半端。10:45発のCX450便だと乗り継ぎ時間が際どいが、それに変更して  もらう。本来は格安の変更不可能なチケットなのだが、親切に対応してくれた。 ◆定刻より20分ほど遅れて、13:15フランクフルトを出発。ダーランにてトランジット!


11月 9日(:曇り ▲ダーランでも若干遅れて、嫌な予感が的中 (>_<)  香港乗り継ぎが20分・・・係員の誘導で、乗り継ぎカウンターへ。成田行きCX450のボーディング・パスを  受取り、ちょうど「フランクフルトからのお乗継ぎのお客様を待って出発します!」とのアナウンスが流れている  機内へ駆け込む。冷たい視線を感じる m(__)m15分ほど遅れて離陸。台北経由で成田到着。定刻での到着だった♪


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