1998年11月 スイス&イタリア 一人旅の記録

約2年4ヵ月振りにスイスに行きました。短い滞在も含めると12回目の旅になります。
今回は、僅か一日にも満たない日程でしたが、初めてイタリアにも足を運び、「アルプスの南側と北側ではこんなに
違うのか....」という新鮮な驚きを感じたり、多くの感激を味わったりしました。
行く度に新しい出逢いや発見があり、それからスイスの美しさの秘密を再確認したりと、何度訪れても感動は薄れる
事は決してありません。
拙い旅行記ですが、「少しでもスイスやイタリアの魅力を伝える事が出来れば....」と思います。


11月 8日(:晴  ☆朝7時過ぎ....家族のちょっぴり冷たい(思い過ごし?:笑)視線を背中に感じながら出発。   11時55分発、AY(フィンランド航空)74便で一路ヘルシンキへ! 隣の席は、ヘルシンキ近郊に住んで   いる日本人の方で、仕事で赴任して10ヵ月になるとの事。色々と話をしていると時間が経つのが早い。   ヘルシンキにて、863便のチューリッヒ行きに乗り継ぎ、19時過ぎにチューリッヒ着。  ☆スイス連邦鉄道(SBB)のインフォメーションでスイス・パス(8日通用)を264SFr.で購入。   前回と同じホテル・シティへ....記録が残っていたのでクイック・チェックイン! 13日の予約も入れる。   早く寝ようと思いつつ、夜中2時過ぎまでサッカーのハイライト番組を見てしまった。


11月 9日(月):曇のち晴  ☆朝食がおいしい! スイスでの楽しみの一つ....  ☆8時33分チューリッヒ中央駅発のインターシティ(IC)、キアッソ行きに乗り込む。さっきまでグリゾンに   行くつもりだったのにキアッゾ行きの列車を見たら急にティチーノ地方かイタリアに行きたくなった!   ツーグに着く手前から雨になった。ツーグのあとはベリンゾーナまでの2時間、ノンストップだ!   ゴッタルド・トンネルを抜けると陽光まぶしいイタリアの風を感じる。青空が広がっている。アルプスの南と北   ではこんなにも違うのか....家の造りも、石造りが多い。風が強いのだろうか? それにしても新鮮な印象。  ☆ベリンゾーナでロカルノ行きの各停に乗り換えて約30分....ロカルノはスイスらしからぬ南国の雰囲気が   漂っている。フェニックスの木々が風に揺れているが、オフの平日は人影も少なく淋しい感じがする。  ☆ロカルノから、FARTの快速電車でイタリアのドモドッソラに向かう。   地下駅を出発してからしばらくはトンネルの中。トンネルを抜けると渓谷と素朴な村が続く.... 美しい!   何度もスイスに来てるが久しぶりの強い印象! 柿の木がいっぱいある! 今までは余り見かけた事がなかった   のに....ふと自分の田舎とイメージが重なった。イントラグナの村の近く....  ☆40分ほどで国境のリベッラスカ。 形式だけのパスポート・チェックの後、いよいよ憧れのイタリアへ....   村の趣は、ますます素朴な美しさを見せている。   木組みの葡萄棚、山腹に寄り沿う様に集まる石造りの家々。そして「あんな高い所に!」と思う高地にも家々が。   この、北イタリアの高地の人々の生活に思いを巡らす時、ふと胸が詰まる....また来よう!  ☆ドモドッソラからはICでスイスのブリーグまで戻り、氷河急行に乗り継いでツェルマットへ。   常宿のホテル・ドームはクローズだったので、以前泊まった事のあるホテル・ダービーへ。ここにも宿泊記録が   残っていた....


  
静かなロカルノ湖付近
  
ドモドッソラ付近の山村


11月10日(火):曇時々晴、のち雨  ☆雲っているが晴れ間もかなり見える。予報では崩れるとの事だが、何とか持ちそうな気もする。   思い切ってフィンデルンからスネガまで出かける。スネガ行き地下ケーブルは運休中なので歩いて登る。意外に   暖かい。ヴィンケルマッテンを過ぎる辺りではもうマッターホルンの半分は雲の中。  ☆フィンデルンの村まで約1時間半。ひっそりと静まり返り、2年前の夏に訪れた時の喧騒が嘘の様だ。ライゼー   も氷結している....  ☆マッターホルンやワイスホルン山群は完全に雲の中に隠れ、イヤな風が吹いている。「これはまずい!」と思い、   急いで下り始める。ヴィンケルマッテンで雨に追い付かれた。  ☆昼過ぎ、ホテルに戻って横になっているうちに眠ってしまった。 疲れていたのだろうか、5時過ぎまで夢の中。   夜中はサッカーの番組を見る。 これのせいで今回は時差調整に失敗しているなかな(笑)....?。


11月11日(水):快晴  ☆今日は素晴らしい晴天! ゴルナーグラードへ登ろうかとも思ったが、以前訪れた時に大雪で何も見えなかった   ザース・フェーに行ってみる事にする。  ☆BVZの列車でスタルデン・ザースまで下り、ポスト・バスに乗り換える。このスタルデンの周辺も素晴らしい。   バスは深く切れ込んだザースの谷に沿って走り続ける。見上げると首が痛くなるくらい高地まで牧草地が....   ここにも人間の生活がある! 人が作り出した美しさが自然の美しさに彩りを与える....「これがスイスの   美しさなんだろう!」などと考えているうちにバスは、ザース・フェーに到着。30分余りの旅!  ☆快晴!! ミシャベル山群の山々が全てを見せてくれている。   村の奥からそそり立つヴァリス第2の高峰、ドーム(4,545m)。そしてアルフーベル等の山々が村を取り   囲んでいる。来て良かった....  ☆帰りのバスの中で、スノー・ボードをやりに来ているという青年と一緒になった。スノボーをやる人に取っては   ツェルマットよりもザース・フェーの方がおなじみで、今も20〜30人の日本人が滞在しているとの事だった。   ウィンター・スポーツはスケートしかやらない僕も、これから始めるとしたら、スキーよりもスノボーを選ぶ!  ☆ブリーグまで戻り、ICでシュピーツへ....そしてインターラーケンへとおなじみのコースを辿る。   ラウターブルンネンで泊まろうと思ったものの、ホテルは全てクローズ! 仕方なくインターラーケンまで戻り、   西駅前のエデン・ノヴァというホテルに泊まる。 素泊まりで70SFr。


  
夕刻のマッターホルン
  
ミシャベル山群の山々(ドーム等)


11月12日(木):晴  ☆インターラーケン東駅前のスタンドでクロワッサンとコーヒーの朝食を取った後、ミューレンに向かう。   ラウターブルンネンからBLM鉄道のケーブルカーで登るにつれ、メンヒ,アイガーが姿を現す! 何度見ても   素晴らしい! ユングフラウはその名前からは想像出来ない様な巨大な岩山だ!  ☆ミューレンの村もひっそりと静まり返っている。お気に入りのホテル・アルピナも12月19日間ではクローズ。   しばらくぶらぶらした後、シルトホルン・バーンの駅に行く。何とメンテナンスのため、全面運休!    シルトホルンに登るつもりはないから構わないが、またBLMで戻るのも面白くない....と思い、念のため   窓口に行ってみると、開いている。 ステッチェルベルグまでは、資材運搬用のロープウェーに乗せてくれると   いう。「これは面白そうだ」と思ったが、乗ってみて仰天!! 約300mの落差をほぼ垂直(実際には角度が   付いているんだろうが....)に下る。並の迫力ではない!! さすがの僕でも恐怖感を覚える。  ☆ステッチェルベルグからはポスト・バスでラウターブルンネンへ.... のんびりと唯一の乗客を乗せて走る。   刈り入れの済んだ牧草地を見ながら、20分のバス旅....  ☆列車でツヴァイリッチネンに戻り、グリンデルワルド行きを待つ間、買い込んでおいたサンドイッチとミネラル   ウォーターで昼食を取る。スイスに来ると、こういった感じで昼食を取っている人をよく見かける。日本の様に   レストランのランチなどというのは特別な場合以外はないそうだ。豊かなスイスでさえこうだから、食糧感覚に   対する鈍感さは、日本人がずば抜けていると言えそうだ。  ☆列車を待っていたら、「グリンデルワルドに行くにはどれにのったらいいのか?」と聞かれた。列車の行き先や   道順を良く尋ねられる....現地に住んでいる様に見えるのかな??  ☆何故かグリンデルワルドではハイキングをした事がなかった....というよりもグリンデルワルドそのものに   ”いかにも日本人好みの観光地”というイメージがあって好感を持てなかった。   今回初めて南側の高みに登ってみたり、村の周辺を歩いたりした。   おだやかな牧草地(アルム)にアイガー北壁....クモの足は良く見えなかったが、グリンデルワルドの里の   素朴な美しさを感じる。村の回りはまだ山里なのだ。ヴェッターホルンの姿も美しい。僕はアルプスでこの山が   一番好きだ!!


11月13日(金):晴  ☆すじ雲が少し見えるがイイ天気だ。今夜までにチューリッヒに戻らなければならないので、ルートの選択に迷う。   結局、ザース・フェーと同じく、前回は大雪で何も見れなかった”ゴールデン・パス”を回ってみる事に決める。   シュピーツまで出て、ツヴァイジンメン行きの急行に乗る。”パノラマ・エクスプレス”のコースである。  ☆比較的おだやかな谷.... 牧草地と高地まで切り開かれているのは他と同じだが、ザースの谷等と比べると   傾斜が緩やかなせいか、のんびりとした印象を受ける。 それでも昨夜の雪の跡は冬の厳しさを思い起こさせる。   ツヴァイジンメンでモントルー行きの、”パノラマ・エクスプレス”に乗り換える。4分の乗り換え時間の間に   窓口で指定席券(6SFr.)を買う。他の乗客は皆、あらかじめ購入していた様だ。2分ほど発車を遅らせて   しまった....m(_ _)m  ☆車窓を展開する景色は、昨夜の雪が輝いていて感動的! ともかく美しいとしか言い様がない。   河岸段丘に敷かれた線路を走る列車....白くおおわれたアルム、屋根に棉帽子を被った家々や教会、そして   モミの木の森....おとぎ話の世界。  ☆列車のビュッフェからオーダーを取りに来たので、久ぶりに(10年以上ぶり?:笑)フランス語を使ってみた。   スイスは英語が充分に通じるが、わずかコーヒー一杯のオーダー程度とはいえ、フランス語やドイツ語を使うと   相手の表情が一層和む。でもロマンドでドイツ語、アレマニックでフランス語はNG(笑)?  ☆レマン湖は雲天の下、暗く見える....ツヴァイジンメンから約100分、モントルー着。   モントルーからローザンヌに出て、ICでベルンへ.... 久しぶりに歩くベルンの街。記憶の片隅に残って   いたシーンが鮮やかに甦る。 PM3時になるのを待って時計台に行くが故障でもしているのか、飾りの動きが   ぎこちない。  ☆ベルンからは、SBB新鋭の2階建てのICでチューリッヒへと向かう。ベルンの駅で「チューリッヒへはこの   列車でいいのか?」と尋ねられる。   チューリッヒでは、8日にも泊まったホテル・シティへ....


  
ミューレンから見たアイガー
  
グスタード付近の村


11月14日(:雨  ☆あっという間の一週間。「もう少しいたいなぁ!」と思いつつ、ホテルを出て空港へ....   11時25分発、AY862便でヘルシンキへ向かう。ヘルシンキで東京行きの73便に乗り換える。   隣は、仕事で日本の大手電機メーカーのT社に行くというノルウェーの青年。 医療機器関連の仕事をしている   との事。 やはり色んな話をしていると、9時間のフライトも大して苦にならない。


11月15日(:晴  ☆10時15分、無事に成田空港に到着。

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