第33回テーマ館「天使」



インタビュー はなぶさ [2000/05/27 07:23:26]


現代の唯一神にまで成り上がったヤハーウェの神が、まだ多くの神々の
なかのひとりだったころから、天と地を結ぶ役割をしていた有翼の民族
らは、未だに私たちの近くに住んでいて、たまに姿を現す。

彼らは人間よりも、ちょっと前に進化の系統樹から分かれたから、非常
に人間に近い形質を持っている。ただ人間より抜群に高い知性を持って
いるため、人が文明を築く前から天を駆けるための船を持っていた。

彼らの染色体は、年月を経ても変化しにくいという特質を獲得し、その
ために考えられない長寿になった。そのために更に知力を高めることに
成功し、そして自ら生殖能力を無くしていった。そういう意味から生物
の系統から逸脱した存在になったのかもしれない。

彼らはワームホールを利用して、遠くの星系へも行くことができるよう
になったらしい。地球に近いところに発生したワームホールを利用して
いるところをヤコブが目撃したことが記録にも残っている。

私は彼らを追い続けて、彼らと接触することに成功した。彼らは見た目
は人間と全く同じ様に見えた。それに東洋系の姿の人も、西洋系の人も
いた。それは不思議なことだった。人と分化したのは、人種が分かれる
以前だったはずだった。

それに対する答えは以外に簡単で、彼らの話すところによると、全てが
獲得した形質だというのだ。いわゆる擬態ということらしい。彼らは人
間の中に溶け込むことで、自分を守っているらしい。

そんな彼らとごく最近話をする機会があった。彼らの話すところによる
と、彼らの辿った道を人間も辿ろうとしていると言うのである。近年発
展がめまぐるしい遺伝子操作によって、自らを不老長寿にするだろう。
そして時間の制限の無い星への旅を可能するだろう。その時に人は「天
使」たちの心が理解できるというのである。

私はその話に興味を憶えて詳しく話を聞いてみたが、彼らは多くを話さ
ずに微笑みながら言った。

「すぐにわかるさ、本当の寂しさ・・・」

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