『テーマ館』 第27回テーマ「ドラゴン」


「ドラゴンの果て」へ

ドラゴンの破片 投稿者:はなぶさ  投稿日:07月21日(水)02時27分40秒

銀河系を離れてから、数億年が経過した。我々はドラゴンの群れと
      なり、そして総質量が我々を引き合わせた。我々は密集し、我々は
      お互いの体が熱くなるのを感じた。我々は融合し、数百匹に一匹の
      割合でスーパードラゴンへと変貌していった。我々は思念をも融合
      させることが出来たので、力に加えて知力も増大させることに成功
      した。

      我々は宇宙を住処として、何者にも依存することなく、我々の進化
      を遂げようとしている。これで、我々が夢見ていた文明を築くこと
      が出来るのだと思い、胸が熱くなった。ドラゴン達は、これほどの
      知力を得るまで、文明を築くのが恐かったのである。昔、私の断片
      である地球人が築いた文明の脆弱さの記憶が、私の心の中に棘とな
      り、躊躇させていたのだ。

      我々は有頂天になっていた。スーパードラゴンは皆で、歌を作り、
      踊りを考え、楽しくお祝いをした。我々は全てにおいて、完璧な文
      明を目指していた。我々は大いに語り合った。

      その語り合いの時間は、あまり長く続かなかった。我々は攻撃を受
      けたのである。その攻撃は眩しく、誰もその正体の確認はできない
      でいると、次の攻撃を受けた。私の目の前で、スーパードラゴンは
      バラバラになり、宇宙に四散した。

      重い思念を感じ、私は遠くを見詰めると、遠くには私たちと同じ姿
      をしたスーパードラゴン達が新しい兵器を携えている。私は驚き、
      彼らの意図を探ろうと思ったが、次の瞬間私も四散する肉片となり
      意識も宇宙へ広がった。そして納得した。彼らは、少しだけ早くド
      ラゴンの文明を築いたものたちなんだ。彼らは敵を見出し、そうす
      ることで文明を発展させただけなんだと。

      私の破片がどこかで泣いた。