『テーマ館』 第27回テーマ「ドラゴン」
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ドラゴンの果て 投稿者:はなぶさ 投稿日:07月17日(土)16時31分51秒
地球から遠く離れて、銀河の中心へと向かう途中に我々ドラゴンは、
別の星で生まれたドラゴンの一団に遭遇した。我々は自分たちの星
のことを話し合った。彼らも文明を滅ぼしたという。お互いが何の
連絡もとらずに、まったく同じ行動をとった。そして、我々の姿も
同じなのだ。これは何を意味しているのだろう。
そうだ。我々は生まれた星での進化の系統から逸脱した存在であり
その目的を知らずに、不死の生命を得たものとして、生きている。
そして、ドラゴンはその星の生物の精神に発芽し、苗床にしている
ために、その星の文明の深いところまで理解し、その上で我々はそ
の文明を滅ぼしたのだ。
我々はブラックホールの膠着円盤と戯れながら、深く思索した。何
万年か同じ場所にいた。その後、また新しい文明を求めて旅立った。
我々は新しい文明を求めて旅立ったのであるが、このぶんでは新し
い文明に出会えやしないことを悟っていた。ドラゴンは文明を残さ
ず滅ぼしたと思えるからだ。
何億年か旅をする内にドラゴンは増え、数え切れなくなった。その
数に比例した文明が滅んだのだ。我々は自らの手で新しい文明を築
かなくてはいけないことをひしひしと感じていた。長い間費やした
ものだ。
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