ひとり −その後− by はなぶさ
( 「ひとり2」)
ふと気が付くと、私は地面に仰向けに寝ていた。朦朧とした意識
の中でマンションの自分の部屋から飛び降りたことを思い出した。
私の住んでいたマンションはこうやって見上げると更に高く感じ
る。
しばらくすると通り掛かりの人が私を見つけて寄って来た。人は
どんどん増える。私を見る目は優しいものではなく哀れなものを
見る目だったり、好奇な目だったりした。何処かに行ってくれと
思った。
消えかかる意識の中で私は強烈な視線を感じた。その視線は遠く
であるが、どんどん近づいている。手には花束を持っている。私
の方へ一目散に近づいて来る。綾だ。
綾の顔は蒼ざめているようだ。走って来たのか汗をかいている。
今日の夕方の約束から数時間遅れての登場と言うわけか。すっぽ
かされたわけじゃなかったのか。
綾の視線の源が私の顔に最接近するころには私の意識はなかった。
(おわり)
(02月23日(月)19時53分17秒)