第65回テーマ館「図書館」
図書館で暗号〜Another Story しのす [2007-06-24 01:25:55]
私は子どもの頃から本が大好きで一日中ずっと本を読んでいた。友だちは本だけだったから
本がいっぱいある図書館が大好きだった。そしていつの日か図書館で働きたいと思っていた
が図書館の勤め先は全くなくてただ図書館を利用するだけだった。図書館で働いている人た
ちを見ると憧れと羨望で胸がいっぱいになる。あの人たちは私の夢を実現しているのだと思
うととてもうらやましいしとてもまぶしい。毎日図書館に通うのは本を読むためだけどあの
人たちを見ることも目的であった。
今日も閲覧室で本を読みながらカウンタの方をチラチラうかがっているとすらっとした素敵
な職員が何か紙切れを見て困った顔をしていた。高雄さんという名前だった。高雄さんに別
の職員が声をかけている。大川という職員だ。意地悪そうで私の嫌いなタイプだ。二人は紙
切れを見ながらああだこうだと話ていたが、やがて大川はパソコンを触り出した。そして何
か高雄さんに話かけ二人は私の方を見た。憧れの図書館職員と視線が合い私はうれしかった。
それにしてもあの紙切れに何が書いてあったのだろう。高雄さんがカウンタを離れた隙に大
川が置いていたのだが。大川は絶対高雄さんに気があるに違いない。醜い顔をした男のくせ
に。
「図書館で暗号」へ
戻る