シチュエーションZERO
Part1.「プロローグ」Bパート
Written By.みゃあ
みゃあ注:
*この作品はアスカがもし来日しなかったら…という設定で進みます。
*みゃあ「純愛モード」作品。
碇シンジは、授業前の喧燥の中で、いつものように無言で窓の外を見つめている綾波レイのことを、なんとはなしに見ていた。
外界のことになどまるで興味がないように、頬杖をついてぼんやりと空を見上げるレイ。
彼女の周囲だけ、時間が止まっているかのようだ。
その透けるように白い肌を持つ少女の横顔を、シンジは複雑な表情で見つめる。
第5使徒ラミエル撃滅戦。通称「ヤシマ作戦」が成功に終わってから、すでに一週間が過ぎた。
レイの体も完治し、3日前からは学校にも出てくるようになった。
あの日以来、レイはいつもと全く変わりない様子で日常を過ごしている。少なくともシンジの目にはそう映っていた。
あの夜見たレイの表情。
雲間から淡く、儚げな月光が覗くような、慎ましやかな微笑をシンジは忘れられない。
いつも無表情な綾波。
普段心を開かない彼女の、無防備な笑顔。
あれ以来、シンジは気がつくとレイのことを目で追っている。
出会ったときから、彼女は不思議な少女だった。
そこに存在するのかどうかも分からない、希薄でありながら、見るものを惹きつけてやまない、印象的な紅い瞳。
惹かれているのは分かっていた。
しかし、こうもはっきりとそれが形になったのは、あの笑顔を見たからに他ならない。
不思議だ……。
最も手の届かない人のようで、最も近くに存在があるような……。
「(綾波……)」
心の内でそっと呟く。
神聖な言葉。彼女の名前。
気になった。
綾波レイのことが。
知りたかった。もっと……彼女のことを。
そうすれば、きっと……。
ポン。
不意に、そんなシンジの肩を叩く人物二人。
シンジのクラスメートにして悪友。
相田ケンスケと鈴原トウジ。
「よぉっ、何見てんだ、シンジ?」
振り返ると、いつものようにビデオカメラを片手のケンスケの顔。
カメラ……。
シンジはまるで自分の想いを見透かされそうで、反射的にレンズから逃れた。
そして、思わずちらりとレイの方を見てしまう。
「おやぁ……もしかして、綾波きゃ?」
目ざとく、シンジの視線の先にいる人物に気づいたトウジは、にやりと悪戯っぽく笑った。
「ち、ち、違うよっ!僕は別に綾波を見てたんじゃなくて……」
上ずった声で答えたシンジは見事に墓穴を掘っていた。
ニヤニヤニヤ……。
二人は言葉を発しなかったが、そんな音が聞こえてきそうな、からかいを含んだ薄ら笑いを浮かべる。
かあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!
シンジは頬が熱くなるのを感じて、とっさに俯いた。
「そうかそうか、綾波をなぁ……センセも結構やるやんけ」
「うんうん、シンジもやっぱり男の子だったか、お母さんは嬉しいよ」
わざとらしく茶化す二人。
シンジはますます小さくなってしまった。
ガタン………。
その時だった。
レイが椅子から立ち上がったのは。
彼女は、静かな足取りで、迷わずこちらへ歩いてくる。
「え……?」
レイの足取りが自分たち…というより自分のところへ向けられていることに気づいたシンジは、うろたえた。
ま、まさか……気に障ったのかな?
どきどきしているシンジの前に、レイはやってきて立ち止まる。
ケンスケとトウジの二人は、何が起こるか興味深そうに事の成り行きを見守っている。
「あ…綾波……」
椅子にすわったままのシンジは、自然、レイを見上げる形になった。
ドキン!
近くで見ると、より一層神秘的なレイに、シンジの心臓は大きく鼓動を鳴らした。
「………」
しばし、無言で見詰め合う二人。
レイはやはり無表情で、何を考えているのか全くわからない。
その間も、シンジの心臓は激しい鼓動を繰り返す。
「………碇くん………」
今日、初めてレイの口から漏れた言葉は、シンジの名前だった。
ぽつり、と呟くような言葉。
シンジは気づかなかったが、言葉尻がわずかに震えていた。
思わず、はいっ、と返事をしてしまいそうになるのを堪えながら、シンジはじっとりと汗ばんだ掌を制服のズボンで拭う。
「な、なに?綾な………」
しかし、シンジは最後まで言い終わることはできなかった。
フワリ。
まるで体重がないかのように、レイは動いた。
「えっ………」
次の瞬間、シンジはレイの抱擁の中にいた。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!?」
(つづく)
みゃあの後書きらしきもの
………。
待たせた挙げ句にこんなんかい(-_-;)。
………。
みなさまにぷっ飛ばされそうだな(^^ゞ。
レイちゃんほとんど出番ないし。
とんでもないトコで引くし。
うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅむ……。
この後どうなるんだろう(爆)。
がんばります。努力します。
だから見捨てないで…(;_;)。
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