「雪麗の帰還」 Part 1


雪麗の帰還〜序〜   投稿日 2001年11月16日(金)


今日、日本神魔界に1艘の船が到着する。
中国から日本への船・・・。この船に古くからの友人、雪麗(ユキリ)が乗っているらしい。
つい先程「あと23分で着くから迎えにきて(はーとまーく)」という鳥肌モノの電報が届いた。
彼女は雪女のなりそこねである。要するに「中途半端仲間」なわけだ。
そんな彼女に会いに行くにはかなりの勇気がいる。というのも・・・

 

雪麗の帰還〜前編〜   投稿日 2001年12月14日(金)

実は彼女、はっきり言ってしまえば「二重人格」なのである。
しかも、自分で意識していないあたりが最大多数の最大恐怖なわけで・・・。
先程の手紙を黙殺する事も当然可能なわけだが、というか私の場合ほとんど黙殺するのが常なわけであるが。
雪麗相手にそんなことしようものなら、何処まで追ってくるか分かったものではない。
ま、単に暇なんですけどね。お互いに。
などと考えながら船着場にまで到着してしまった。
船が・・・見えてきた・・・。あ、さっきの手紙が届いてから20分になります。
すこし遅れたようですね・・・ってうわ!!あいつ飛び込みましたよ!?今っ!!
おっ、泳いでます!!ウォーターリッパーもびっくりのスピードです!
いや、ここだけの話、実はリッパーってカナヅチなんですけどね。西洋組で一番早いのはナイトギアなんですよ。
意外ですよね。ってな話はまたいつかっ!!!
雪麗(以下雪)「ひーーーーーっ、久し振り。」
夕爛(以下夕)「相変わらず時間通りですね。」
雪「やーーん。誉められちゃったああああああーーーーーーーーー」
夕「お前・・・またえらくぶりっ子度増して帰ってきたね・・・」
雪「ほおう!!俺に喧嘩売ってんのか!?」
夕「ったく。ほんとにどこにスイッチあるんだか。」
雪「知らねーな。」
夕「ほう。「ある」ってことは認めるんだな??」
雪「やだーーーーーっ。また夕爛がいじめるーーーーーー」
夕「ぎゃーーーーーす!!どっちかにせんかあっ!」
雪「どっちか?何がっ??(にこにこ)」
夕「いや、いいよ。うん。」
雪「相変わらず変だね♪」
夕「雪麗に変って言われるうちはまだ大丈夫なんだなあ、って安心できるよ。」
雪「あのねっ!!お願いがあるの!」
夕「聞いちゃいねえ・・・。何?」
雪「あたしね、中国で歴史勉強してきたでしょ?」
夕「失礼。おねーさん、漢方薬の勉強に行ったはずだよね?」
雪「あ゛あ゛?」
夕「いーえ、お気になさらず!単なる独り言ですわ!!歴史!そう歴史でしたわね!で、何か面白いことでも?」
雪「あのね、冷羽様にお会いしてみたいの!!!」

 

雪麗の帰還〜中編〜   投稿日 2001年12月29日(土)

夕「なんで冷羽かなあ?」
雪「向こうで幽華ちゃんと何回か話して・・・そしたら冷羽様のお話聞いたの!」
夕「それで会いたくなって、突然帰国したってこと?」
雪「・・・いや・・・ほら・・・コミケの時期だったし?」
夕「爛火と同じ事言ってやがる・・・。」
雪「爛火?」
夕「あ、知らないか。第2層の。」
雪「ふうん。2層はコス仲間のおねーさんしか分からないや。」
夕「ん゛・・・?いや、じゃあ知ってるよ。きっと。」
雪「あれ?どうしたの??目が遠いよ?」
夕「気にしないでいただきたいですわね。」
雪「だから第3層に連れてって!!」
夕「私はどこでもドアですかい?」
雪「・・・歩くどこでもドア?」
夕「絶対連れてかない。」
雪「ひっどーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!」
夕「というかね。最近彼女機嫌悪いらしいんだよね。一昨日松風が逃げてきた。」
雪「まっつーもいるの!!???」
夕「まっ、まっつー・・・・・・」
全く恐ろしいノリである。
こんな勢いで冷羽のところにおしかけたら・・・どうなることやら・・・・。

 

雪麗の帰還〜後編〜   投稿日 2002年3月13日(水)

雪「んじゃあ、去年の夏コミのパンフあげるから、ね?」
夕「ふっるー!!まあいいや。」
雪「やったーーーーー♪あ、ねえ、まっつーは?まだこの辺にいるの?」
夕「たぶん。」
雪「まっつー!!???松風〜〜〜〜〜〜〜っ!!・・・はあ。いないみたいだね?」
夕「いや、いてもそれじゃ出てこない。」
雪「なんで??」
夕「おーーーーい!!茶運び人形一号っ!!」
松風(以下松)「きーーーっ!いっつもいっつもそうやって、失礼この上ないっ!僕は
第三層冷羽の従者様だぞーーーっ!」
夕「従者と学友とどっちが偉いと思う?」
松「従者。」
夕「あ、そ・・・」
雪「きゃーーーーーーーっ!まっつーだ!本物っ!!嬉しーーーーっ!!」
松「なっ、なんなんですか、騒々しい」
夕「って言いながら顔がニヤけてるけど〜?」
松「そっそんな事ないですよっ!!何なんです、この子は?」
雪「雪麗ですぅ〜」
夕「あ、ちょっと目眩が・・・」
雪「やーん、大丈夫〜??」
夕「冷羽ちゃんの顔見ればすぐなおるよ・・・。さて、んではまっつー、君も行くよね?」
松「夕爛・・・やけに楽しそうですね・・・?」
夕「気のせいだよ」
雪「あたしがまっつー持ってくねっ、いいでしょっ?」
夕「どうぞどうぞ。是非どうぞ。お池にはまってさあ大変♪」
松「どうして僕じゃなくてこんな奴に聞くんですかっ!!」
雪「さあ〜行こう行こうっ、冷羽さまにお会いできるわあっ」
松「れっ、冷羽っ!!や、やっぱり僕はここに・・・」
雪「んだとお!?」
松「ひっ・・・」
夕「ああ、そやつ二重人格だから。ま、すぐ慣れるよ。んでは、れっつらごー」

 

そして・・・冷羽との出会い   投稿日 2002年3月13日(水)

ひゅおおおおおおおおおお〜〜〜〜〜〜〜っ(第三層・吹雪)
雪「あれが冷羽様邸?綺麗ね〜〜〜〜」
松&夕「綺麗?」(顔を見合わせる)
夕「後で裏庭見たほうがいいよ。」
松「うわー・・・冷羽まだ機嫌悪いですよう。」
夕「そもそも何で機嫌わるいん?何かやったのか?お前?」
松「違いますよっ!学校から帰ってきてからずっとこうなんです。」
夕「ああ、学級委員になれなかったからねえ。」
松「ええっ!?冷羽が?」
夕「ほら、人望が。リリスに負けたんだよ。」
松「いや、ちょっと待ってください。リリスに人望なんて・・・」
夕「意外と鋭いねえ。そうだよ。彼女休み時間に全員にうま@棒3本ずつ配ってたんだよ。」
雪「ねえっ!よく分かんないけど冷羽さまはっ!?」
夕「ああ、ごめん。行こうか。」
松「ううっ」
夕「大丈夫だと思うよ。昔っからこいつ、人なだめるの得意だから。だからこそ連れてきたわけで。」
松「雪麗が?」
夕「うーん・・・正しくは脱力させる、だけど。冷羽にはまともに効くんじゃないかなあ?」
松「あの性格ですからね。持ち上げ作戦でいきましょう」
がらがらがら・・・・(木戸)
夕「冷羽ーーーーーーーーーーっ!!客だよーーーーーーーー」
冷羽(以下冷)「客?こんな時に?」
雪「・・っきゃああああああああああああ!!冷羽様っ!お初にお目にかかりますっ!ご機嫌麗しく存じますっ!
秋風が寂しくなってきましたがいかがお過ごしでしょうかっ!早春の光をあびて僕達私たちはこの学校を卒業しますっ!」
冷「なっ、何ですの?」
夕「因みに、訳すと初めまして。ご機嫌いかがですか?あなたにお会いすることができて大変嬉しく思います。
ってとこかな。」
冷「あなたもたまには役にたちますわね・・・」
松「通訳しか能がない」
夕「西洋長かったからねえ。」
雪「冷羽さまっ!お屋敷一部屋貸してくださいっ!」
冷「は?」
雪「わたし、中国から帰国したばかりなんですっ。向こうで冷羽さまのお話聞いて・・・!!
皆とても誉めてたから、よっぽどスゴイ方なんだろうなあ、と思って楽しみにしていたんですっ。
予想通り、すごく素敵でっ!冷羽さまの御側でお仕えしたいんです!!」
冷「まっ、まあ、素敵だなんて・・・ほほっ、ほほほほほっ・・・」
夕「松風・・・行くよ。」
松「はい、先行は頼みました。」
夕「もう、雪麗帰ってくる前から、大騒ぎしてたんだよ?冷羽様冷羽様、って。たしかに日本神魔界が
誇る監視者だし、なんていうか、雰囲気がすごく立派でしょ?気持ちは分からないでも無かったけどね〜」
松「そうですよ!!規律はぴしっと守るし、茶道・華道・おし置きその他なんでもこなしますしね!!」
冷「そろいもそろって、まあ・・・ほほほっ・・・宜しいでしょう。奥の部屋をお使いなさいませ。
松風、ご案内を・・・。夕爛、久し振りにお茶でも御たてしましょうか?」
夕「ん゛?ありがとう。でも遠慮しとくよ・・・寮の門限が。」
冷「そうでしたわね。ではごきげんよう・・・」

私の目には、スキップをしながら屋敷に入っていく冷羽の姿がくっきりと・・・。
この日この瞬間を忘れることはないだろう。今はただ、松風と雪麗の無事を祈るばかりである。
ああ、私は帰るとしよう・・・。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜完〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


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