八町温泉共同浴場

この日の宿は玉梨温泉。玉梨温泉は只見川から支流玉川を数キロほど上流に遡ったところにある。川を挟んで向いには八町温泉。それぞれ温泉宿が一軒づつ。共同浴場も双方に一軒づつ。これって贅沢じゃありません? 

それでさっそく八町温泉の共同浴場を探したのだが、なかなか見つからない。地元の人に聞いたとおり、ゆっくり確認しながら歩いてみる。橋を渡って恵比寿屋旅館さんの横を通り過ぎて‥‥、そしたら川へ降りる道があって‥‥、おっと、これかよ! ガードレールの隙間にちょっとした踏み跡が‥‥。国道脇なのだが、こりゃわかりづらい。ま、とにかく早くつかりましょ!

引き戸をガラガラ‥‥、ハァ〜、鄙びた感じがギュッとハートをワシづかみ。入口を入って左に男子脱衣所、右に女子脱衣所。ここは混浴なのです。赤茶に染まった浴槽と床、胸は自然と踊ります。ルンルンワクワク。さっそくつかる‥‥が、湯が熱い。源泉をそのまま注いでいるのだ。でもこんな熱さにはくじけません! じーっとガマンガマン‥‥。

八町温泉の鄙びた湯小屋

2本のパイプから注ぐ源泉

湯舟に湯を注ぐ2本のパイプのうち、左が八町の湯、右が玉梨の湯である。近年、湯量の少なくなった八町の湯に、川向いの玉梨の湯を足しているのだとか。湯量は玉梨の方が多く温度も高い。味は玉梨が鉄分等の金気が多く「とてもマズイ」のに対し、八町は「ややマズ」。

湯の熱さにも慣れ、辺りを見渡す。湯小屋は天井が高く、自然に外気が流れ込むので熱気がこもらない。壁には注意書きやら寄付金を寄せてくれた人の名が掲げられている。そんな中に何故かお習字が‥‥。それもよく目立つところに‥‥??? なんか胸がほんわりあったかくなるいい共同浴場でした。

寄付一覧

何故かお習字


玉梨温泉

今宵の宿は旅館玉梨。施設こそくたびれてはいるが(失礼!)、その分を料理でということなのか、料理は素晴らしい。馬刺しは特に旨かった。膳に並ぶ山菜などの小鉢もみな旨い。紙の鍋で供される鍋物もよい味だった。炭で炙られているヒメマス、ニシン、シンゴロウ(御飯にエゴマ味噌をつけて焼いたもの)。ヒメマスは頭からしっぽまで全部食べられる。また、干し柿の天ぷらなどの変わり種も‥‥。

紙の鍋

どれも旨い!

ヒメマス、鰊、シンゴロウ

食事は舞茸の釜飯、手打ち蕎麦と続く。さらにとち餅、ゆべしも食べてみてくださいと‥‥。これだけ食べれば、もう腹め一杯。最後にでてきたこごみのアイスクリームは、一口頂くのがやっとだった。とにかくどれも旨い!

とち餅とゆべし

手打ちそば

こごみアイスクリーム

さてお風呂は‥‥。岩風呂にやや褐色の湯が満ちる。石は茶色に変色し湯舟の縁は変形している。浴室には窓がない。透明なビニールの覆いがかかっているが、外気が自然に流れ込んむので、風を感じる内風呂(?)になっている。湯は奥のパイプから注がれているが、これがクセ者。約10秒程の間隔でゴボッという音とともに勢いよく噴出するのだ。うっかりこの噴射口(のような湯口)の前に身を沈めれば、この源泉弾の直撃を食らう。射程距離は約5mといったところだろうか。後で宿の御主人に聞いたのだが、温泉のガス成分がパイプの中で気化したものが、ある程度溜まると勢いよく噴出するのだとか。アブナイ! しかし泉質は素晴らしい。

内風呂

露天風呂もある。こちらは内風呂とは別の源泉で赤茶けていない。立ち上った湯気が冷気で冷やされ、辺りの枝や葉に凍りつき白く光っている。この露天、灯りがないので(壊れてる?)夜は真っ暗。朝一番で行ってみたら、湯気が朝の光にキラキラ輝いていた。

露天風呂

湯気が凍りつき‥


やっぱり蕎麦、そして最後の湯

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