ランプの宿

部屋には宿のすぐ脇を流れる清津川のザーッという瀬音だけが響く。窓から流れ込む風は、下界の熱気がウソのように涼やかだ。部屋には余計なものなど一切ない。テレビも冷蔵庫もエアコンもない。そう、ここには電気がないのだ。自ずと瀬音に耳を傾けることになる。

各部屋には夕方になるとランプが灯される。陽が落ちれば、このランプが唯一の明かりだ。控えめで頼りな気な明かりが、ボーっと辺りを照らす。しかし部屋の隅の方は暗くてよく見えない。

 

夕方灯されるランプ

夜になると‥‥

宿の横を流れる清津川

夕食が終わる頃、辺りはすっかり闇に包まれた。さあ夜の湯あみと洒落込みましょう!

夜の湯あみには行灯(あんどん)を貸し出してくれる。ロウソクに火をつけ、行灯を手に露天風呂までの道を辿る。ちなみにこの行灯は宿の手作りである。

夜の湯あみは、昼間とはまた違った風情。湯舟の傍らに置いた行灯が、湯面に映り揺れている。清津川の瀬音は昼間よりも大きく感じられる。空に薄く掛かった雲は月明かりで白く光り、行灯とともに柔らかく辺りを照らす‥‥。夜の湯あみも結構ですなぁ〜。

逆さ行灯?


翌朝、朝食の後、これから苗場山山頂を目指す友人を宿前で見送った。さらに7時間程歩き、山頂付近でキャンプをするのだという。渓流沿いに歩き始めた友人の後ろ姿はなかなかカッコ良かった。

後で友人に聞いたのだが、山口館からちょっと川沿いに上流側へ歩いたところに、河原から湯が湧いていて天然の露天風呂になっているところがあったのだそうだ。湯加減もちょうどいい塩梅だったそうで、知らずに下山してしまったのが惜しまれた。

野湯


おまけでもう一湯

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