釜山の温泉アニョハセヨ!


海雲台(ヘウンデ)温泉・ふぐちり

バス、地下鉄を乗り継いで海雲台(ヘウンデ)にやってきた。海雲台(ヘウンデ)は有名なビーチリゾートであり、また温泉地でもある。地下鉄の駅から通りを抜け海辺に出ると、目の前に白い砂浜と美しい水色の海が広がった。休日とあって人出は多いようである。この海辺にあるインフォメーションに立ち寄り、温泉の場所を聞いてみよう。

「アニョハセヨ!」「モギョクタン オディエヨ(銭湯はどこですか)?」インフォメーションのおねえさんに聞いてみた。できれば鄙びたところがいいなぁ‥‥。どうやらパラダイスホテルの裏辺りに何軒かあるらしく、地図でこの辺りと教えてくれた。中でもチョンフンジャンというところがお薦めとのことだった。こいつはいい情報だ。ついでにふぐちり鍋のいい店がないか聞いた。実はここ釜山でもふぐちりを食べるらしいのだ(しかもかなり安いらしい)。そうですねぇ、安くていい店がここにありますと、地図を指差した。「カムサハムニダ(ありがとう)!」 よっしゃ! 

海雲台(ヘウンデ)の海岸

インフォメーションを後にし、意気揚々と歩き始めた‥‥のだが、急に天気が怪しくなってきた。風が吹き始め、空を雲が暗く覆う。そしてとうとう雨が‥‥。早く温泉を見つけなきゃ‥‥。小雨の中、足早に温泉を探しているととうとう本降りに。雨宿りしながらインフォメーションで教えてもらったエリアを走る。ところがその一帯は再開発か何かなのか、ほとんど平地になっている。おかしい‥‥。いよいよ雨が強くなってきた。そうだ、この先に教えてもらったフグ屋がある。ひとまずそこに飛び込もう。

店はすぐ見つかった。ハルメポックク(お母さんのフグ鍋)という店だ。もう全身びしょびしょだ。あー寒い。とにかく店内に入ろう。手拭いで水滴を拭き取りながら、奥の方にいたお母さんに声をかける。「ポクチリ(ふぐちり)モゴシッポヨ(食べたいです)」 すると「△△△△」「××××」聞き取れない早口の韓国語がいっぱい返ってきた。まったくわからん。「□□□□」「☆☆☆☆」なおも早口が続く。こうなったらポクチリと言い続けるしかない。しかしお母さん、ポクチリの言葉には何故か首を振る。どうして? 理由はわからない。そして壁のメニュー書きでポクチリの隣にあるポクチを勧める。ポクチム、なんじゃそりゃ? アジュンマは絶対これが美味しいと言っている(ようだ)。アジュンマの目は「早く決めなさい」とでも言うように次第に険しくなる。早く決めないと追い出されそうだった。もうポクチムでもなんでもいい。運を天にまかせうなづく。メニューでポクチリ(ふぐちり)の隣ってことは、たぶん何かの鍋なんだろう。今はとにかく温かいものを食べて、体の中から暖めたい‥‥。

待つことしばし、運ばれてきたのは大きな皿に盛られたフグの炒め煮。しかもどっさり。えーっ、鍋じゃなかったのぉー、がっくり。釜山でふぐちりを食べよう計画、大失敗。味は悪くないのだが、やはり鍋が食べれなかったショックが大きい。あー、でもくじけていてはいけない。次に行こう。

フグ屋さん

ポクチム

どっさり

満腹の腹をさすりながら店を後にする頃、雨はすっかり止んでいた。海岸はちょうど夕陽に照らされ、赤く浮かび上がっていた。海沿いにもと来た方へ歩く。濡れた服が寒い。しかしもう鄙びた温泉を探す元気は無くなっていた。とにかく体を暖めるため、すぐ湯につかれそうなホテルの温泉を目指す。

海雲台(ヘウンデ)の夕陽

赤く浮かび上がる海岸

海雲台グランドホテル、地上22階地下5階の高層ホテルだ。館内にボウリング場や映画館、1000人も入れる温泉などを備えている。手っ取り早くここでつかろう。ホテルのロビーで最初に目についたホテルマンに訪ねる。「モギョクタン オディエヨ(お風呂どこですか)?」「※※※※※」 ??「モルゲッスムニダ(わかりません)」 「日本人ですか?」おっと流暢な日本語だ。さすが高級ホテル。これなら話が早い。「温泉に入りたいんですが」 「じゃあ、あっちのカウンターでチケットを買って、エレベーターで4階に上がってください」 実に明解な案内でスムーズに大浴場へ。

日本のスーパー銭湯みたいな造りで機能的にできている。本当に温泉かなぁと不安になったが、壁の「天然温泉湯」の文字に安心。無色透明無臭の湯だが、塩分の感触が確かにある。日本では、湯の感触など何もないのに、湯上がりにはしっかり消毒の塩素の臭いだけつけてくれる温泉がずいぶんある。それに比べると、これまで入った釜山の温泉はどこも湯に感触があり、塩素臭い湯は見当たらない。消毒方法が違うのだろうか、しかし湯に感触があるのは確かだなぁ。日本でも韓国でも一緒だが温泉は大地の恵み、お湯が喜ぶような使い方をして欲しい。消毒薬をたくさん入れられ、さんざん循環されては湯も悲しかろう‥‥、湯の中で思うのだった。しっかり暖まったら窓辺のデッキチェアで火照りを冷ます。ここはホテルの4階にあり、夕闇に包まれる海が眺望できた。入浴料4900ウォン(約490円)。

海雲台グランドホテル

海雲台(ヘウンデ)の街


マッコリという酒は‥

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