続・釜山の温泉アニョハセヨ!


東菜ハルメパジョン

さっぱりしたところで晩飯食いに行くか。私は東菜でひとつ食べたいものがあった。前回食べれなかった東菜パジョンだ。パジョン(ネギのお好み焼き)というとぱりっと香ばしく焼いたのを思い浮かべるが、こちらではそれとは違ったパジョンがあるという。

東菜ハルメパジョン、いろいろなガイドブックに紹介されているこの店を目指した。温泉場(オンチョンジョン)駅からふたつ目、東菜(トンネ)駅で降りて東に歩く。この辺りのはずだが‥‥。有名店ならきっと店構えも大きく、すぐ見つかるだろうと思ったのだがなかなか見つからない。

露天のおじいさんに聞いてみる。「シルレハムニダ(すいません)トンネハルメパジョン(東菜ハルメパジョンは)オディエヨ(どこですか)?」 東菜ハルメパジョンのハングルの綴り示しながら聞いたのだが、「おりゃ目が悪いからよぉ」と言っている様子(よく聞き取れない)。「ハルメパジョン、パジョン‥」と繰り返すと「アー、パジャン! ハルメパジャン!」 やっと通じた様子。「イッチョク(こっち) チョチョク(あっち)?」 と聞くと、おーあっちだと指を差す。地図も書いてくれた。「ここを右に曲がって、ここで左、右側にも店があるがそれは通過し、左に入っていくとあるんだ」と言っている様子(全然聞き取れません)。「ナンバーワン、パジャン」と言って親指をたてる。何でそこだけ英語なんじゃ。ともかく地元の人のお墨付きなら確かに旨いのだろう。期待大。

えーっと地図どおりに‥‥、ところがこれが着かない。地図はアテにならない。結局また道を訪ねてやっと見つけることができた。店は思ったより小さかった。しかも太い通りに面しているわけでもない。いったいどんなパジョンが食べられるのか?

メニューはあまりごたごた種類があるわけでなくシンプルだった。食べたいものは決まっている「パジョンハゴ(パジョンと)メクチュ(ビール)ジュセヨ(ください)!」 まず運ばれてきたお通しは5品。酢の物やムルキムチ、辛爽やかに味付けされた野菜サラダ、これ好きなんだよなぁ。こいつをつまみながらビールをやる。ンーッ、旨い! やがてやってきたパジョン。何だこれは? それはいままでに食べたどんなパジョンとも違う。何と言えばよいだろう。ふわっとしてい箸で持ち上げることができない。お好み焼きとも違う。まず一口‥‥、甘くトローリとしたネギが旨い! しっかり主役だ。食べ進むとエビやカキがごろごろ出てきて、それがまた旨い! 酢醤油やタレはない、というか必要ない。ふわっとした生地が甘くなったネギや海老、カキをふっくら包み込む。海鮮衣とじと言った方がいいかもしれない。

酒がもう少し欲しいなぁ。トンドン酒を注文。どのくらいの量なのかわからなかったので、指でとっくりの形を作りながら、この位? それともこの位?と聞いてみた。この位と教えてくれたのはずいぶん大きい。飲みきれそうにないなぁ。ちょっと困った顔をしていると、紙切れに1/2と書き示した。半分でも注文できるんだ、じゃそれっ! トンドン酒はとっぷりしたとっくりでやってきた。黒い大きめのぐい呑みに注ぐと、ドブロクのように白濁している。本来トンドン酒はマッコリ(ドブロクのような濁り酒)の上澄み部分のことを差すのだそうだが、実際はこの店のように濁り酒をトンドン酒と呼んでいたりする。蒸した米に麹(麦麹のようだ)と水を加えてつくるところなど、日本酒の親戚と言えるかも知れない。

さて味は‥‥。あれっ? もう一口‥‥、やはり‥‥。見かけはドブロクのようで濃い酒のように見えるが、とても爽やかでマイルドな味。甘味とヨーグルトのような爽やかな酸味、そして軽い余韻はふわっと広がった後、すぅーっと消えていく。いいぞぉ! マッコリやトンドン酒はアルコール度数6〜8%程度。日本酒が14〜15程度、ワインが13〜14%程度なのを考えると、ずっと低アルコール。スルスル喉を滑り落ちていくと言うのが正直な感想だ。ぐい呑みをぐっと傾けながら思った。日本酒でもこんなドブロクがあったらいいのになぁ‥‥。

お通しは5皿

パジョン(小)

トンドン酒

パジョン(小)15000ウォン(約1500円)はかなりのボリュームがあり、2〜3人でつつくのがよさそう。大満足の夕餉はパジョンにビールとトンドン酒で占めて21000ウォン(約2100円)。チャルモゴッスムニダ(ごちそうさま)!


市場大好き

INDEXに戻る

次のページへ進む