肘折温泉 朝市
その夜、宿の食事と地酒で満たされて、寝がけにもうひと風呂浴びれば、寝床の心地よさは何十倍。あったかふとんですぐ眠りに落ちる‥‥。
あくる朝、まだ夜も明けきらないのに、窓の外が騒がしい。宿はメインストリートに面しており、部屋は2階。窓から下の様子をうかがうと‥‥、まだ薄暗い中、通りをそぞろ歩く人々‥‥。おっ、朝市だ! せっせと店開きの準備をするおばあちゃん、道ゆく人に声をかけるおばちゃん‥‥。でも雪が降ってて寒そーっ。
メインストリート
昨日降り始めた雪は、まだちらちら降っている。う〜さぶ〜っ! 「寒いよーっ! 買っててよー!」 なんちゅう売り言葉。きのこ、山芋、人参‥‥、意外に多い品揃え。ついつい欲しくなってしまう。朝市は毎年雪が降る頃まで、毎日続けられるそうだが、ぼちぼち今年も終わりなのかなぁ。
朝市のおばちゃん
雪が止むのを待ち、少し遅めに宿を出た。肘折の温泉街はすっかり雪景色だ。根雪にはならないだろうが、山里の冬はもうすぐそこ。ちょうどいい時に来たものだ。
山に囲まれた肘折温泉
七兵衛そば
肘折温泉を後にし、国道458号から県道36号へ折れる。やがて人家はまばらになり‥‥。ほんとにこんなとこに蕎麦屋があるの? 道を間違えたのではないか? 次第に不安が膨らんでくる。しかしそんな不安は見事に裏切られた。七兵衛そば発見! 驚くことに、車が駐車場のみに収まらず、辺りの道路にあふれているではないか! なんでここだけこんなに人がいる?
蕎麦屋というより誰かの家の座敷きに上がり込む感じの七兵衛そば。ちょうど昼時とあって、人でごった返す。客は入口で番号札をとり、順番に案内されるシステムだ。
七兵衛そば
ちょうど昼時、ごったがえす
厨房というよりは台所という感じで部屋で、おばちゃん達が見事な連係プレーで蕎麦を打っている。捏ね専門、切り専門、のし専門、茹で専門‥‥。完全な分業でまた手際がよい。みるみるうちに蕎麦が出来上がっていく。
おばちゃん達の連係プレー
切り
メニューはもりそば食べ放題(1050円)の一種類のみ。もりそば食べ放題にはおかずが3品が付く。今日はきくらげ、茄子の漬け物、おでんの3品。蕎麦猪口には大根のおろし汁が注がれている。これに蕎麦つゆを加えて食べるのだ。さっきおばちゃん達が打ってた蕎麦は、程よいコシで大根汁との相性もいい。どんぶりに盛られた蕎麦「男性なら3杯は‥‥」と店の人は言ってたが、2杯食べたところで残念ながらギブアップ。ふと隣を見やれば御婦人がおかわりしている。確かもう3杯目なのだが‥‥。
おかず3品付き、そば食べ放題
満腹!
コシの強〜い太打ちの田舎蕎麦