ぐるり一周岩手の温泉


須川温泉

さあ、さっぱりしたところで今日の宿、須川温泉へ行きましょう! 一関から真湯温泉までは快適なドライブコースだったが、その先須川温泉までは一転、道は急にくねくねの山道に。勾配も増しどんどん高度を上げていく。天気は晴れかつ雨で風強しのビミョーな天気。途中振り返れば、谷間にはが‥‥。しかもかなり濃い。 晴れて日差しも強く、雨も降るビミョーな天気ゆえの妙景。

鮮やかな虹

高度を増すにつれ、風はだんだん涼しく‥‥、いや寒くなってくる。道路わきには残雪が‥‥。車の暖房のスイッチをいれる。 雪の上をすべる濃い霧‥‥、いやあれは湯気だ! 須川温泉は秋田県との県境の峠に建っていた。 車から降りると冷たい雨混じりの風が吹き付ける。寒〜い! あー早く温まらなければっ!

林床に残る雪

湯気発見!


須川高原温泉にチェックイン。外が寒かったので、部屋に案内されるなりすぐ温泉につかりたかった。しかし時間はちょうど夕食の少し前、たいてい旅館の風呂は、このくらいの時間が一番混雑する。かといって外は雨、露天風呂まで歩くのは億劫だ。大浴場の他に風呂がないか館内を探す。 ‥‥と、湯治棟の方に中浴場を発見。おっ、割りとすいている。ここでつかろう! 浴室の3分の2は湯舟、贅沢に湯を使っている。天井は中程が一段高くなっており、湯気抜きとともに、明かりとりにもなっていて、明るい浴室になっている。 湯ははじめ熱くピリピリ感じられたが、慣れてくるとちょっと熱めのいい湯加減。湯は微白濁。しっかりパワーを感じる湯だ。湯口近くに置かれたコップで、源泉をちょっと口に含んでみる。ウワッ! 酸っぱい! レモンのような酸っぱさ、さすがpH2.2の酸性泉。そのまま含んでいると歯が溶けそうなので、すぐに水で口を漱ぐ。

熱くピリピリする湯

機能的な天井

夕食後、大浴場に行ってみた。湯気がもうもうとしていて、どこまでが浴室なのか全く分からない。それどころかわずか5メートル先も見えないのだ。換気は十分されているのだが、贅沢に注ぐ源泉と浴室に導かれた冷たい外気の温度差により、たちまち湯気もうもうとなる次第。恐る恐る湯舟に足を入れ、ゆっくり奥にすすむと、これが意外に広い。やがて浴室の9割以上は湯舟であるということがわかった。これが千人風呂と呼ばれる風呂なのだ。以前は混浴だったそうだが、今は男湯と女湯に仕切られている。‥‥ということは500人風呂?

翌朝、雨が止んだので露天風呂に行ってみた。ここはもう天国かというくらいの湯気。幻想の世界だ。時折ハダカの人がぬーっと湯気の中から現れては消えていく(妙に可笑しい!)。風に吹かれ、視界が一瞬開けることもあるが、逆に全く見えなくなることも。 裏の岩場から導かれる源泉、その48度の源泉をそのまま湯舟に注ぐ。なんにもしなくても適温。毎分6000リットルの圧倒的な湯量。豊富にわき出す源泉はそれでも使いきれなくて、大部分は川となって流れていく。

湯気もうもうの大浴場

露天風呂も湯気もうもう

源泉をそのまま湯舟へ

露天風呂の後ろには大日岩、この岩場のあちこちから湯が湧きだしている。湯はたちまち冷たい外気と出会い、もうもうと湯気をたてる。硫黄の匂いに酸っぱい匂いが加わって、秋田の玉川温泉のような匂い。方々から湧き出た湯は流れを集めて川となる。

源泉が祀られている

源泉のわき出し

湯は川となって流れていく


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