ぐるり一周岩手の温泉


小本温泉

龍泉洞から小本川沿いに下り、海に出る直前に小本温泉はある。濃い湯が自慢という噂をこの目で、いやこの肌で確かめてみよう! 屋根に特に大きく描かれた温泉マーク、これならどんなに遠くからでもわかる。

小本温泉 黄金八大龍王の湯。玄関を入るとすぐ左側に龍神さまを祀ってあった。何でだろう?と思って見ていると、人の良さそうな御主人が話をしてくれた。10年前、建材屋を営むご主人が井戸を掘ったところ、11メートルほどの地下から硫黄のにおいがする水が出てきた。水質を分析してみると紛れもない温泉、しかも高濃度。それで日帰り温泉、さらには宿を始めることになったのだとか。しかもこの温泉の開業には不思議なエピソードがいくつも。よく夢のお告げが‥‥というが、やはり御主人も何かを暗示するような夢を何度も見たという。「稲妻が3度バーンと落ちる夢を見たんだ。またある時は夢の中で目が覚めると、周りには白や金の8匹の蛇が‥‥。同じ夢を何度も何度も見るんだ。」 また不思議な写真も掲示してあった。温泉を詰めた瓶を手にした御主人に、白い龍のような(?)モヤが絡み付く写真、御主人の足が透けてしまって背景が映っている写真、白い球体が浮かぶ写真などなど‥‥。やはりこの温泉は何かに導かれて開湯したのだろうか?

おっきな温泉マーク

龍神を祀る

さて風呂は‥‥。湯舟は3つに仕切られており、ひとつは源泉、ひとつは4:6(源泉4)で割ったもの、そして泡風呂が用意されている。他に露天風呂も。 金色のタイルで縁取られた源泉の湯だけが茶色くにごっており、熱い湯が注ぐ湯口とは別に、竜の口から源泉がちょろちょろ流れ落ちる。ここに杯が置かれているのでちょいと味を見る。 ナトリウムと塩化物を主成分としているため、かなりしょっぱい。そして硫化水素臭。ゆで卵に塩をちょっと振りすぎて食べているような感覚だ。湯舟のほうはかすかな硫化水素臭。この湯は湧出時は透明で、1時間もするとグレーに、そして一晩おくと白濁するという。加温すると再び透明になり、少し時間をおくと薄茶色になるのだとか。うーん、ややっこしい。

露天風呂

源泉風呂

源泉が盃に落ちる

やはり成分が自慢なのだろう。脱衣場はもとより、廊下や階段、部屋に置いてある宿泊案内にまで、温泉分析表が載せられている。成分総計で1kg中、16489.2mgもの成分を含んでいる。確かに濃い。岩手県の大平洋沿岸で濃い温泉が出るのは極めて珍しい。成分バランスからからみて、地下に浸透した海水に硫黄泉が混じっているのであろう。この湯を町内の人に楽しんでもらうため、本州一広い町内をご主人は毎日日替わりルートで送迎バスをだしているのだとか。

夕食は一泊二食8000円にしては豪勢な品々。濃い湯につかり海の幸をいっぱい食べればもう満足!

アワビの陶板焼き

品々

刺身

蟹の吸い物


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