蟹場(がにば)温泉

乳頭温泉は7つの一軒宿が山中に点在する温泉郷だ。温泉街はない。蟹場温泉は大釜温泉から少しだけ道を登った突き当たりにある。おおよそ文化的なものが何もない‥‥というのが、良きにつけ悪きにつけ魅力だ。蟹場という名前、付近の沢に蟹が多く住むことから名付けられたという。浴衣にもかわいいカニが‥‥。

蟹場温泉

浴衣にもカニが

冬場は露天風呂までのアプローチがいい! 案内に従い裏手のドアを開けると‥‥、まっすぐに伸びる雪の回廊。この先に露天風呂が‥‥、期待は一気に高まる。幅は1メートル程だろうか。雪の壁は身の丈以上もある。おそるおそる歩き出す。降り積もったばかりの柔らかい雪の感触が気持ちいい。

雪の回廊

ちなみに夜は‥‥

雪の壁の間を歩くこと50m。道がやや下り始める頃、極上の露天風呂が姿をあらわす。ウォー、かっちょいいーっ! しかしここで気を緩めてはいけない。雪道の下り坂、気を許せばたちまちコケる。はやる気持ちを抑え、無事たどり着くとそこは極楽。東屋根を押しつばさんばかりに積った雪。囲いや目隠しなど全く必要無い、山中の露天風呂。かっちょいいーっ!

これぞ極楽温泉!

露天風呂までの小道で、そして深々と冷えた脱衣場で、冷えた体を湯船に沈める。嗚呼、快感! まさに極上。イメージどおりの雪見風呂だ。湯加減はちょっと熱め。缶ビールなど用意しておけば申し分ない。

極上の露天風呂

東屋根を押しつぶさんばかりの雪

風呂上がりに角館で仕入れた地酒を一杯! 『さっとにごり酒』 薄く霞がかかったようにおりが入った活性生酒だ。透明感のある青い瓶に惹かれてしまった。静かに栓を開けると、シューという音がして空気が抜ける。酵母が生きているので、瓶詰めした後も少しずつ発酵をしているのだ。ひとくち流し込むと、シュワーという炭酸の感じがある。やや刺激は強い。生酒のフレッシュな感じもいいのだが、私には栓を開けて少しおいてからの方が、味が丸くなりいいようだ。

さっとにごり酒


乳頭温泉の各宿で販売している『乳頭温泉郷湯めぐり帖』は絶対に買いである。1000円で7つある乳頭温泉郷の全て湯に入ることができる。ふたつみっつめぐり湯するつもりなら、すぐもとがとれる。おまけに有効期限はない。たとえ7つの湯全てを巡りきれなくても、また訪れた時に使うことができる優れものだ。ただし、宿泊者しか買うことはできない。

乳頭温泉郷湯めぐり帖


乳頭温泉に来たら、やっぱり湯めぐり!

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