佐賀 陶磁器・温泉・海の幸

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伊万里 大川内山

江戸時代、佐賀鍋島藩の御用窯が置かれていた大川内山。伊万里市街からやや山に入ったここで、朝廷への献上品などの高品質の焼き物が生まれ、「鍋島焼」として昇華した。大川内山は三方を山に囲まれている。この山奥で鍋島青磁の原石が取れるという。残る一方の谷には関所が置かれ、鍋島藩はその技術を厳しく管理したのだ。当時の様子を焼きつけた大皿が、伊万里・有田焼伝統産業会館で見ることができる。 現在、大川内山には30数軒の窯元が集まり、それぞれの技を競っている。

古伊万里という言葉があるが、これは江戸時代に伊万里有田一円の焼き物が、伊万里港から世界に積み出されていたことに由来する総称である。この大川内山では伊万里焼と総称で呼ばれることに抵抗があるようだ。皆一様に「鍋島焼」だと胸を張る。

大川内山の鍋島集落

大皿に描かれたかつての鍋島集落

窯元が軒を並べる

大川内山では窯元ごとに店を開いているので、店ごとに窯の特徴が出ている。 鍋島青磁が得意な窯。色鍋島に技術を発揮する窯。 伝統的なデザイン、斬新なもの。 呉須(ごす:青い染め付け)の鮮やかなもの、渋い色合いのもの‥‥。 商人町の有田のようにいろいろな窯の作品が混ざらないので、 それぞれの特徴を発見しながら散策できるのがおもしろい。

大川内山に34軒にある窯のうちのひとつ、鍋島御庭焼(おにわやき)は、伝統的な色鍋島の作品に定評がある。色鍋島とは白磁に青、赤、黄で彩色を施したもので、鍋島染付け(白磁に青のみで彩色したもの)、鍋島青磁と合わせ鍋島焼と呼ばていれる。青で描かれた青海波模様のパターンが特徴だ。

鍋島御庭焼

きれいな青海波模様

伝統的な色鍋島

ここ虎仙窯(こせんがま)では、ろくろや絵付けを見学することができる。私もちょっとのぞかせていただいた。作品に対峙する真剣な眼差し。ピーンとはりつめた空気に息を飲む。息づかいや鼓動までもが伝わりそうな程に引き締まった空間。土の固まりは目の前で一歩一歩作品に近づいていく‥‥。

ろくろ

下絵付け

順番に色がのせられていく

長春窯(ちょうしゅんがま)は鍋島青磁の傑出した作品を生み出す。この大川内山の山奥で採れる青磁原石を釉薬(ゆうやく)に用い、独特な緑を焼き出している。厚く塗られた釉、燃焼温度が高くても低くても美しい深みのある色にはならない。バラの花を連想させる貫入が入った器には溜息がでる。見事としか言い様がない。わずかに藤色の混じった美しい色合いで心を打つ。同じデザインのミニ版、ぐい呑みをひとつ購入した。これに酒を注ぐのが楽しみだ!

バラの花を連想させる貫入

厚く塗られた釉

釉薬の原料の青磁原石


温泉つかりましょ!

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