山陰温泉紀行島根編 −島根県中部をめぐる−


千原温泉

私は道路地図にある千原温泉の文字がなぜか気になっていた。これは温泉人としての勘である。情報は全くなかったのだが、地図の「千原」の文字に向かって進んでいった。この日、不思議と勘は冴えた。全く迷いもせずそれは見つけることができた。

千原温泉湯治場、入り口で声をかけると、奥からおばあちゃんがでてきた。とにかく風呂に入れさせてもらおう‥‥。ところがこれが思いのほか難関。

「どっから来なさった?」「どうしてこの温泉へ?」「どうしてこの温泉にはいりたいのか?」「今日どこか他の湯に入ったか?」「どのくらいの時間入ったか?」「昼はどこで食べたか?」「夕べはどこにとまったか?」「今晩どこに泊まるか?」‥‥

次々に投げかけられる質問、まるで口述試験だ。ここでOKにならないと風呂には入れてくれない。勘に導かれてやってきた千原温泉、そう簡単には引き下がれない!

「ここは湯治専門。体の悪い人にはいい湯だが、元気な人が入ってもしょうがない。そういう人には帰ってもらってる。」 おー、厳しい。私はじっくり温泉への熱き思いを語った。これでもまだ合否ボーダーライン上。ダメなのか‥‥。しかし私の手荒れを見るなり、おばあちゃんの態度は一変した。「あんたは入っていった方がいい!」そして「30分つかるのがいい。」という温泉処方をいただいた。やったー! なんとここまで40分。(住所名前をノートに書かされる)

千原温泉湯治場

最大の難関

晴れて入湯! 湯は‥‥、おっすばらしい! 黄褐色の湯が湯舟の底からぼこぼこ湯が湧いている。‥‥といっても泉温は34度だから熱くはない。ここにじっとつかるのだ。尻の下から泡がポコポコ湧き上がってくる。たいした源泉だ。これをおばあちゃんは守ってるんだねぇ。ここも小屋原温泉同様、炭酸ガスがでる。暑い時期に多く出るようで、息苦しくなったら回すようにと扇風機が用意されている。

湯舟の底から湯が湧く

浴室

息苦しくなったら‥‥

この温泉は治療の人しか受け付けないので、ただの温泉ファンはご遠慮下さい。門前払いを食らいますよ!


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