山陰温泉紀行島根編 −島根県中部をめぐる−


温泉津(ゆのつ)温泉

かつて銀の積出港として栄えた温泉津。「温泉津」と書いて「ゆのつ」と読ませる。温泉ファンならきっとウットリするネーミング。「いつか必ず行こう!」ずっと心に暖めていた温泉地である。

まずは温泉街をぶらぶら‥‥。温泉津港へと続く道の両側に温泉宿が点在する。歓楽的な感じはない。そのかわり温泉の湧く静かな漁村‥‥的な雰囲気が漂う。この温泉津温泉には元湯藤の湯ふたつの共同浴場がある。まずは元湯につかりましょか!

温泉津温泉街

元湯

浴室の床は見事に赤茶に変色している。う〜ん、渋い。歴史が染み付いているようだ。湯舟には温度計が 付いており、熱い湯は46度、ぬるい湯は42度であった。脱衣棚は一般用の他に常連用があり、入浴道具が 置きっぱなしに。きっと毎日来るんだろうなぁ。

元湯の浴室

温度計

こちらは藤の湯、楕円形の湯舟がひとつ。湯は元湯よりちょっと色が薄いかな。湯口は何故かナマズの形。ここの湯は明治5年の浜田地震で湧いたのだという。 それに因んでのナマズなのだ。湯からあがり脱衣場で涼んでいると、元漁師さんだという人が声をか け てきた。皆顔見知りで、私だけよそ者だったらしい。横浜 から温泉を巡りに来ていると言うと、「若いの に温泉が好きだとは変わった人がおる!」 「よくここへ体が悪くて長くつかっていく人がおるが、温泉につか って悪いところが治れば病院はいらんわい!」ちと厳しい。言葉は厳しいがそれでも歓迎してくれ る。懐はひろいのだ。

藤の湯

楕円形の湯舟


温泉津をはじめ島根県内にはやきものの窯元が多い。温泉津には温泉街から歩いてまわれる窯元がいくつかある。窯元めぐりをするのもまた楽しみ!

森山窯をちょっとのぞいてみよう。ギャラリーには作品の数々が展示されている。全体的に落ち着いた色合い。長く使える飽きのこないデザインだ。「どうぞゆっくり見ていってください!」 それじゃ工房もちょっと‥‥。工房では皿や器などの作品を創っていた。軒先には焼かれるのをまって陰干しされている器が‥。

森山窯

製作中

軒先きで陰干し

こちらは椿窯。この温泉津には椿窯という名の窯元がふたつある。それぞれの御主人は兄弟で、別々に窯を構えているのだという。作品に描かれているトレードマークの椿も、それぞれの窯でデザインが違う。

椿窯

ギャラリー

焼く前の器にも椿が


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