信州 唐沢の蕎麦と鄙び湯


唐沢の蕎麦

長野県山形村唐沢という地区をご存知だろうか? 街からは離れ山を背に畑が広がる‥‥‥そんなのどかな里山に、見た目はほとんど民家という佇まいの蕎麦屋ばかり集う地区があるという。これは行って確かめねば!

松本から国道158号を乗鞍方面へ向かう。波田町役場の先を左に折れ、しばらく道なりに進む。波田町と山形村のちょうど境目辺り、清水高原のアーチが右手に見えたら到着だ。アーチをくぐりゆっくり車を進める。ここが唐沢の集落か。看板はあるがどれが蕎麦屋?

清水高原のアーチ、この先に‥‥

そば、そば‥、看板が並ぶ


唐沢屋

唐沢には10軒の蕎麦屋が集う。蕎麦屋らしい店構えをしているところもあるが、全くそれと分からない店も‥‥。その中で地区の名前をそのまま冠した唐沢屋、まずはここから始めましょ! 色づいた山を背景にちょいとガタつき気味の建屋が映えてます。「こんにちは!」台所に声をかけ座敷に上がり込む。店というより誰かの家に上がり込んだよう。お洒落‥‥とは対照の普通さに、かえって新鮮味を感じる。

唐沢屋

座敷

さぁて、何にしようかなぁ‥‥、と言っても品書きがそう沢山あるわけではない。シンプルにもりを注文する。「男の人なら大体ふた皿ぐらいはいきますよ!」と女将は言っているが、まずひと皿。飾り気のない皿に蕎麦がごんと盛られてくる。一皿500円にしては盛りがいい。色黒で太めの蕎麦は、その概観に等しく野太いコシ。つるつるっと食べる蕎麦じゃあない。もりもり食う、それが基本! しっかり腹にたまる蕎麦なのだ。ダシは薄めだが薬味の大根おろしとの相性はいい。 何故かティーポットで供された蕎麦湯はどろりと濃度が高く、わずかに空いていた胃袋の隙間を埋め尽くす。ぷぅ、満足。付け合せで出てくる野沢菜が、また美味しいんだよな!

もりそば一皿500円

野太いコシ

何故かティーポットで蕎麦湯?


根橋屋

結構腹が張っているが、ここまで来て一軒しか食べないのは勿体ない。もう一軒寄ってきましょ! 根橋屋、ここらの並びではかなり蕎麦屋っぽい店構え。ここにしましょか! 入口は店屋っぽいけど、中はやっぱり誰かの家に来たみたい。まあまあとにかく注文しましょ。でもいきなり蕎麦ってのも芸がないなぁ。軽〜くつまみながら酒でも呑んじゃおうかな! 野菜の天ぷら300円、おっ安い。 これいこ! お〜値段の割に盛りがいい。揚げたてのタマネギ、甘くて旨いなぁ〜。カボチャも茄子も、ちょいと塩を振るだけで充分旨い。そいでもって酒を‥‥。そば豆腐一丁500円も手頃だが、半丁も食べると飽きてくる。数人で取り分けた方がよさそうだ。ここでも野沢菜がサービスでつくが、どっちかっていうと唐沢屋の野沢菜の方が好みだなぁ。

根橋屋

野菜の天ぷら300円

そば豆腐一丁500円

そうこうしているうちに、腹は粉れるどころかさらに張ってきた。ん〜苦しい。最初から蕎麦にいっとけばヨカッタと後悔。しかしここで蕎麦を諦めたら、折角ここまで車を飛ばしてきた意味がない。もうヤケクソで蕎麦を頼む。お願いだから軽くて喉越しのいい蕎麦を‥‥と願ったのだが‥‥。もりそば500円は力強かった。今日は完敗だ。ダシはやや薄め。

もりそば500円

力強い蕎麦

たかが蕎麦、されど蕎麦。唐沢の蕎麦は手強かった。「今日はこのくらいにしといたるわぁ〜!」


温泉行きましょ、温泉!

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