船でしか行けない秘湯

JR北陸本線 高岡駅から加越能バスで80分。バスは庄川町にたどり着く。その名のとおり庄川の流れる町で、この川に沿って温泉が点在する。船でしか行けない秘湯として有名な大牧温泉へは、小牧ダムから遊覧船に乗り換え、さらに30分の船旅だ。冬場は一日に朝、昼、夕の3便しかない。しかし、この船こそが大牧温泉への唯一の交通手段なのだ。

冬場は一日3便の遊覧船

朝一番の遊覧船に、客は私とあとひとりだけ。船は静かに雪の残る庄川峡を進んでいく。この川の先に、船でしか行くことができない秘湯があるのだ。

遊覧船で川を遡る

「ちょっと寒いけど、上に上がってみませんか?」 船員のひとりが声をかけてくれた。小雨まじりであったが、甲板で感じる冷たい風は新鮮だ。

「この辺りは鹿もよく顔を出すんですよ。」 「えっ」 辺りにしばらく目を凝らしてみたが、それらしき姿を確認することはできなかった。

「船と一緒に岸を走ったり‥‥」 ‥‥なんとか出てきてくれないかな〜。

「この辺りは鹿も‥‥」


まもなく船は大牧温泉に到着

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