山口すべすべアルカリ泉と花見風呂


かつて長州藩の藩都として栄え、幕末には吉田松陰、伊藤博文、高杉晋作、木戸孝允らの志士を輩出した萩。今も残る武家屋敷や町家、町のあちこちに点在する文化財。ぶらぶら歩きながら当時を偲ぶ。

萩城城下町の菊屋横丁、伊勢屋横丁、江戸屋横丁をぶらぶらしながら、木戸孝允旧宅、高杉晋作旧宅などに立ち寄る。町並みは当時のままだ。また、橋本川に向かって歩き進めば、鍵曲(かいまがり)という追い回し筋に出る。わざと見通しを悪くして有利に戦うための、城下町ならではのものである。

萩城城下町

鍵曲(かいまがり)

町中に点在する文化財、見どころには事欠かない。感心するのはこれら文化財を大切に保存、復元するとともに、一般に公開していること。そしていくつかの施設に無料の案内人を置いていることだ。

この日立ち寄った武家屋敷口羽家住宅では、教育委員会から派遣された案内人の野原緑さん(芸名のようだが本名だ)が、案内をしてくれた。以前は国語と音楽の先生をしていたそうで、大変歴史や地理に詳しく1時間以上も説明いただいた。ここには武家屋敷ならではの細工がある。例えば部屋と部屋の間に造られた隠しの間。襖の上には槍が隠してある。わずか畳み一枚の幅で、襖を締めてしまえばそこに細長い間があることは気が付かない。ここに家来を忍ばせ万が一に備えるのだという。

案内人の野原緑さん

ただのふた間続き?

細長い隠しの間

萩といえば萩焼。町中に窯元や販売店が点在する。粗目の土に白い釉薬が基本で、落ち着いた存在感が特徴である。私は何軒かの窯元で日本酒のぐい呑みを探した。千円ぐらいから品はあるが、いいなぁと思うものは大抵五千円以上はする。ずいぶん捜しまわったが結局買うことができなかった。

ある窯ではちょうど火入れを

白が基調の萩焼


蕎麦舗ふじたや

ぶらぶら歩いて腹が減った。萩という町は案外、食事処が少ない気がする。食事処よりも寺や文化財、萩焼窯元の方がよっぽど多い印象だ。そんな中やっと見つけた蕎麦屋の暖簾ふじたや、迷わずくぐった。気取らない造りの蕎麦屋である。

「おすすめは?」と聞くと「せいろそば」との答え。そして「5段になってて、あったかくて‥‥。」 暖かいせいろ?? 妙なことを言うなと思いながらも、それがオススメならとにかくそれっ! 待つことしばし、やってきました5段のせいろ! 確かに湯気をたてている。一度水でしめた蕎麦を小さめの萩せいろに盛って、暖かい湯を上からかけるのだそうだ。つゆは辛めである。つゆに落としてある卵の黄身を割ると程よい按配。

ふじたや

暖かい(?)せいろそば


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