山口すべすべアルカリ泉と花見風呂


俵山温泉

××グランドホテルだの○○亭○○などといった、観光地にありがちな巨大ホテルはひとつもない。××屋とか○○旅館といった小さな宿が40軒程も肩寄せて立ち並ぶ。そのほとんどが温泉を持たない宿だ。温泉は町の共同浴場を利用するのだ。

鄙びた温泉街

ここに来たら温泉につからなければ始まらない。温泉街や宿にこれといった娯楽はないのだ。湯治のための温泉地なのである。俵山温泉には川の湯、町の湯の2軒の共同浴場がある。

まずは川の湯につかる。あーら、川沿いに桜が(取材日:2001.4.5)。地元の人は今年の桜はつきが悪いと言っていた。川向こうの源泉をひいているという湯は、無色透明でやや湯の華が浮く。肌触りは滑らかでぬめりがある。この湯は皮膚病にいいのだとか。(もうひとつある共同浴場、町の湯は神経痛やリューマチにいいのだとか)

川の湯

窓の外には桜

ちょっとつきが悪いかな

町の湯もはしごした。ヌルっとする感触は川の湯よりやや弱めかな。かすかな鉱物臭がする。

湯上がりに脱衣場の温泉分析表をみていると、地元の御老人に声をかけられた。「興味があるのかい?」「ええ」「温泉法の基準に達している項目はありゃせんよ。」 (おっ、素人ではないな‥‥。温泉法では成分ごとに基準値が設けられていて、その基準に一項目でも達していれば温泉とみなされるのだ。)「そうですねぇ。強いて言えば温度ぐらいですかねぇ。」「そう、温度だけなんじゃ」 一見批判的な意見だが、それだけ冷静に温泉を見つめていることに驚いた。おらが町の温泉が一番だという頑な方も多い中、かえって新鮮で頭が下がった。


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