クマチュー!!レトロ館

あばれはっちゃく特集

コラムあばれはっちゃく

001 歴代はっちゃくは一体何年生だったのか?

原作の桜間長太郎は、連載開始の6月時点で「美玉市立第一小学校の5年生(2組)」。翌年4月に6年に進級し、さらに1年後に無事卒業しています。基本テレビシリーズもそれを踏襲しているようでして、歴代はっちゃくも番組スタート時には5年生…なはずなんですが、改めて見返してみると「あれあれ?」と思うところがちらほらあるのです。シリーズ5作の長太郎って、そもそも一体何年生だったのでしょうか?



◆初代はっちゃくはのび太式?

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3/24の第8話では黒板に「春休みの注意」が。

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3/31の第9話は春休み中のはずだが…?

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4/7には何事も無かったように新学期が始まっている。

初代「俺はあばれはっちゃく」は1979年の2月3日にスタートしましたが、初期のアバンタイトルで「美玉市立第一小学校の5年生だ!」と自己紹介している事から、この時点で原作通りの5年生。ただし、クラスは原作とは違い5年3組です。ここでいきなり関係ない話ですが、当時「5年3組魔法組」という特撮ドラマがありまして、当時の小学生は5年3組になるのが憧れであった事を思い出します。

脱線しました。さて、79年の3月24日に放送された第8話は、学校で通知表を渡すシーンから始まり、長太郎が「あ〜あ、またまた嫌な季節が来てしまった」とボヤいております。教室の黒板にも「春休みの注意」が書かれていて、終業式の日のエピソードだという事が分かります。この後、長太郎はあろう事か公一の通知表から点数部分を切り取って偽造するという、どう考えてもすぐバレる小細工で小遣いアップを謀ったり、自殺未遂の婆さんに振り回されたりと、ドタバタが繰り広げられます。

ところが、次の週に放送された第9話では、3学期が終わり春休み期間中となっているはずにも関わらず、何故か5年3組は普通に授業をしています。職員室のシーンでは行事予定表が4月になっているのでこの時点で年度が変わっていたのは明らかなのですが…。

さらに、4月に入ってもアバンタイトルでは変わらずはっちゃくは「5年生だ!」と自己紹介し続けています。あれ?普通に考えると新学期になって6年生になるはずなのでは?4月7日に放送された第10話では、黒板の日付も「4月7日(土)」になっているんですが、長太郎のクラスは終業式前と同じく5年3組として今まで通り何事もなかったかのように授業をしているのです。

つまり、初代はっちゃくは新学期で学年がリセットされてしまう、のび太式の永遠の小学5年生だったのです!!

…ワタシが思うに、実のところは当時は製作側もあんまり深く考えてなかったのではないでしょうか。原作が5年生だから5年生で始めようという事と、番組スタートが2月という半端な時期で新学期に放送がかぶるけど、そこはまぁフワっとさせとこう、みたいな。当初は2クールも続けばいいと思っていたらしいですから、シリーズ化なんか考えてもいなかったのでありましょう。



◆二代目はっちゃくはいつ転校してきた?

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3/24の第1話で5年3組に転校して来るが…。

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黒板に日付が無いので、いつ転校してきたか分からない。

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6年3組の表札は5年の時とちょっと変わっている。

二代目「男!あばれはっちゃく」がスタートしたのは1980年の3月23日。1話で長太郎は群馬の赤城山近く(前橋?)から東京は世田谷区のちとせ第一小学校の5年3組へ転校して来るので、スタート時で5年生です。しかし、リアルタイムだと終業式の頃であり、次の週からは春休みなので、この時期に転校するのはよっぽどの理由が無い限り不自然。その後春休みや始業式の描写もなく普通に授業をやっているので、放送では3月開始だがドラマ上では4月の始業式後から開始という設定であったと考えるのが妥当でしょう。

個人的に二代目の1話で常々違和感を感じていたのは、転校先のクラスの雰囲気です。長太郎が正式に転校して来たのが何月何日か分からないので何とも言えませんが、おそらく始業式以降だとして、普通5年生になる時にクラス替えがあるはずです。ちとせ第一小学校のクラス替えについては、1年後の4月4日に放送された53話で長太郎が「6年生になったらクラス替えがある」と言っており、実際クラス替えが行われてレギュラーメンバーの女の子が一部入れ替わり、克彦が転校して来ます。

6年でクラス替えがあるのに5年でクラス替えが無いとはなかなか考えにくいので、それからするとちとせ第一小学校は毎年クラス替えがある学校のはず。その割には年度が変わってクラス替えしたとは思えないほど先生も生徒もずいぶん馴染んでいる感じのところに、長太郎が「今日から新しい友達が増えた」と紹介され、その後クラス全員から猛反発されるところがワタシ的にはなんとなくモヤっとしてしまうのです。

…と言う事で、結論としては二代目もやっぱり実のところは当時はその辺あんまり深く考えてなかったのではと思います。3月スタートだけど長太郎が5年生ってのはデフォなんで、そこはまぁまたフワっとさせとこう、と言う。そんなとこ、誰も突っ込まないだろうと。蓋を開ければ人気が出て6年に進級させなければならなくなるとは、この時点ではまだ誰も考えていなかったのではないでしょうか。



◆三代目はっちゃくは始業式からスタート

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三代目も5年3組に転校して来る。

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ちゃんと4/5(月)始業式の日に転校して来ている。

続きまして、三代目「熱血あばれはっちゃく」ですが、この番組がスタートしたのは1982年の4月10日。1話で長太郎は栃木の日光から世田谷区立あけぼの小学校5年3組へ転校して来ますが、先生が最初の挨拶で「いよいよ新学期、君たちは5年生だ」と話しており、黒板にもでかでかと「始業式」と書かれているので、5年生の始業式スタートという設定である事がはっきり分かります。黒板の日付は「4月5日(月)」なので、放送開始日よりちょっと前のお話と言う事になります。

長太郎はその前日にお約束通りクラスメートとなる子供達と一悶着を起こしているので、転校早々早速煙たがれるのですが、ここでやっぱりクラス編制については多少疑問が残ります。始業式にも関わらず、先生は自己紹介もせず長太郎を「このクラスに新しい仲間が増えたので」と紹介しているので、ワタシには「4年生からクラス替えが無く、先生も変わっていない」ように思われるのです。

最終回で6年生に進級する際に先生が持ち上がりになるか分からないという話題が出て、結局そのまま先生が担任である事が分かった後「先生は持ち上がりだし、クラスはそのまんま同じだし」という台詞があるので、あけぼの小学校は「クラス替えは基本的に無いが担任の先生が変わる場合がある」学校という設定だっと考えれば、何となく…納得、いきますかね。相変わらずモヤっとする所はありますが。



◆四代目はっちゃくはちょっと異色パターン

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「おめぇは明日から新しい学校に通う事になってるんでい。」と長治が台詞で説明。

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4/8(金)始業式の日にまゆみとともに転入して来る。

四代目「痛快あばれはっちゃく」がスタートしたのは1983年の4月2日。今回の長太郎も転校して来るのですが、今までと違って学区編成が変わってつくし第三小学校からつくし第一小学校へ編入する事になったという設定。つまり唯一元々東京在住の長太郎と言う事になります(初代は転校していないが、設定からおそらく神奈川県在住)。

転入前日、夕食の場で長治から「おめぇもいよいよ小学校5年生だ」と言われているように、やはり5年生の始業式スタートです。始業式当日の朝、長太郎は落とし物を交番に届けた際、お巡りさんに何度も住所を書き直させられて始業式に出られなかった(これもヒドい話)ため、長太郎と同じく学区編成で転校して来る設定のマドンナまゆみちゃんの紹介が終わった後に教室に駆け込んできます。この時、黒板の日付は「4月8日(金)」なので、「熱血〜」とは逆に放送開始日よりちょっとフライングしたお話と言う事になります。

で、今回もやっぱりまたクラスの雰囲気的に「4年生からクラス替えが無く、先生も変わっていない」ように感じます。この後クラス委員を決定するシーンがあるのですが、長太郎が委員長に立候補した際、始業式の日なのに「このクラスの事を良く知ってから」と却下されていますし、清が「信彦がいいよ、なぁみんな!」と推薦すると満場一致で賛成になる事から、このクラスは4年から変わっていないのではと思われます。(ちなみにここで長太郎が飼育係に推薦される際、信彦の「丁度転校して行った前の係の荒木に、君似てるしさ」という小ネタ台詞(前作主演が荒木直也)があります。)

「痛快〜」はあまりビデオを持っていないので、6年になる際クラス替えがあったかは覚えていません(仲良しグループの女の子が一人入れ替わりましたが)。DVD-BOXが出るので、手に入れたら検証してみたいと思います。



◆五代目はっちゃくは1話では4年生だった!

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五代目長太郎は4年3組に転入して来る。

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黒板に日付が無いので、何月に転入したのかは分からない。

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4月以降は5年3組になっている。

最後は五代目「逆転あばれはっちゃく」です。スタートしたのは1985年の3月2日。今回の長太郎は茨城からあけぼの小学校へ転校して来る設定。ちなみに三代目もあけぼの小学校でしたが、五代目のあけぼの小学校は大田区立です。

さて、今までの長太郎は多少謎な部分はありながらも、番組開始時には全員小学5年生でした。しかし、五代目だけは小学4年生からスタートしています。担任の先生は「4年3組の担任の山西ケンジロウです」と挨拶し、長太郎は4年3組に案内されます。主演の酒井一圭は、長太郎役オーディションの時小学校3年生だったらしいので、無理のない範囲で実際より1学年上の4年生の設定としたのではと思われます。確かにそれまでより幼いイメージはありましたが、そこまで違和感は無かったのでかなり大きめの3年生だったのでしょう。

さらに番組スタートが3月の初旬と言う事と、初代のようにのび太式にするのも何だかと思ったのか、「番組スタート時は4年生の終業式前」の設定になったのではないかと思われます。クラスの雰囲気は、長太郎が教室に来る前に「おい!転校生だぞ!」とザワついており、「今日からみんなと一緒に勉強する事になった新しい友達」として紹介される事から、もうすっかり出来上がったクラスである事は想像に難くないですが、いくら一家で新天地で頑張る事にしたとは言え、4年生の学期末に転校するのも変な話です。という事で転校して来た日については黒板などにも書いてなく、やっぱりフワっとされています。

3月にスタートしたという点では二代目に似ていますが、実際4月以降は長太郎は5年3組に進級しているところが違います。「逆転〜」のビデオはあまり持っていないので、4年から5年に進級した経緯は確認できないのですが、少なくともメインのクラスメート(「逆転〜」は前4作品に比べて仲良しグループ外の生徒についても描かれる)が変わった様子が無いので、5年になる時点でクラス替えもなく、担任も持ち上がる学校だったのではと思われます。



◆結局どうなの?

結局のところ「逆転〜」の長太郎も含め、はっちゃくシリーズの長太郎はおおむね番組開始時は5年生、という事でいいんじゃないんでしょうか。まぁ、はっちゃくシリーズ全体としてそもそもその辺は、あんまり深く考えて無かったんじゃないか、というのがワタシの結論であります。全シリーズのDVDが出ればその辺さらに検証できるので、早く実現して欲しいものです!


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