適用初年度における税効果会計の取扱い
(適用初年度における過年度に発生した一時差異等に係る税効果相当額の取扱い)
31.
税効果会計が適用される最初の事業年度において、過年度に発生した一時差異等に係る税効果相当額については、損益計算書の当期未処分利益の計算区分において前期繰越利益(損失)の調整項目として処理するものとする。
すなわち、適用初年度の期首における繰延税金資産と繰延税金負債を算出し、その差額につき、損益計算書上、当期未処分利益の計算区分において「過年度税効果調整額」として一括して前期繰越利益(損失)に加減し、当事業年度の法人税等調整額には含めないことに留意する。
なお、適用初年度に限り、当該年度中に税率が変更された場合には、第19項の定めにかかわらず、適用初年度の期首における繰延税金資産と繰延税金負債の計算には、決算日現在における変更後の税率を使用する。
(税効果会計適用前に利益処分方式により計上された諸準備金等に係る税効果額の処理)
32.
適用初年度において、利益処分方式により諸準備金等が資本の部に計上されている場合には、将来課税されることになる金額が諸準備金等の金額に含まれているため、当該諸準備金等にかかわる繰延税金負債の金額を、当該諸準備金等から控除して計上するものとする。
すなわち、適用初年度の期首における繰延税金負債は、第31項の処理を通じて損益計算書の当期未処分利益の計算区分において「過年度税効果調整額(借方)」として計上するが、これに伴い取り崩した諸準備金等は、同じ区分において「税効果会計適用に伴う(特定目的)積立金取崩高(貸方)」等その内容を表す適当な科目をもって計上するものとする(「設例5」におけね損益計算書の表示方法を参照)。
(税効果会計適用に伴う長期納税引当金の取扱い)
33.
既に長期納税引当金を計上している会社においては、当該長期納税引当金を直接繰延税金負債に振り替えるものとする。ただし、当該一時差異にかかわる過年度税効果調整額が当該長期納税引当金の金額と異なる場合には、その差額については、総益計算書の当期未処分利益の計算区分において「過年度税効果調整額」に含めて前期繰越利益(損失)に加減し、当事業年度の法人税等調整額には含めないこととする。