設例8 税効果会計に関する注記例


財務諸表等規則第8条の12第1項の規定によると、税効果会計を適用したときは、次の事項を注記することとされているが、そのうちの@からBの注記例を示すと、以下のとおりである。

@.繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳
A.法定実効税率と税効果会計の適用後の法人税等の負担率との間に差異があるときは、当該差異の原因となった主な項目別の内訳
B.法人税等の税率の変更により繰延税金資産及び繰延税金負債の金額が修正されたときは、その旨及び修正額
C.決算日後に法人税等の税率の変更があった場合には、その内容及び影響

なお、財務諸表等規則第8条の12第2項では、繰延税金資産の算定に当たり、繰延税金資産から控除された金額がある場合には、当該金額を@の事項に併せて注記することとされている。


  1. 繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳の注記例


    X0年3月31日
    X1年3月31日
    現在
    現在
    繰延税金資産


    貸倒引当金損金算入限度超過額
    600
    800
    賞与引当金損金算入限度超過額
    140
    150
    未払事業税否認
    600
    650
    退職給与引当金算入限度超過額
    1,400
    1,500
    その他
    260
    350
    繰延税金資産小計
    3,000
    3,450
    評価性引当額
    △100
    △100
    繰延税金資産合計
    2,900
    3,350
    繰延税金負債


    固定資産圧縮積立金
    △400
    350
    繰延税金資産(負債)の純額
    2,500
    3,000



  2. 法定実効税率と税効果会計適用後の法人税額の負担率との間に差異があるときの、当該差異の原因となった主要な項目別の内訳の注記例


    X0年3月31日
    X1年3月31日
    法定実効税率
    51%
    51%
    (調整)

    交際費等永久に損金に算入されない項目
    6.3
    5.2
    受取配当金等永久に益金に算入されない項目
    -
    △1.0
    住民税均等割等
    0.1
    0.1
    税率変更による期末繰延税金資産の減額修正
    -
    3.3
    その他
    -
    1.2
    税効果会計適用後の法人税等の負担率
    57.4%
    59.8%


    (注) 税率はX1年1月1日の公布により、X1年4月1日以後開始する事業年度から51%に代えて46%を適用する。


  3. 法人税等の税率の変更により繰延税金資産及び繰延税金負債の金額が修正されたときの注記例

    「繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に使用した法定実効税率は、前期51%、当期46%であり、当期における税率の変更により、繰延税金資産の金額(繰延税金負債の金額を控除した金額)が326減少し、当期費用計上された法人税等の金額が同額増加している。」

    (注) 上記の税率の変更による法人税等の増加額は、期末現在の一時差異及び税務上の繰越欠損金の残高に新税率と旧税率との差額を乗じて算出するものとする。




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